節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

インプレス「できるインターネット」2002.3月号掲載記事
こばやし・かつよ 料理研究家・エッセイスト
大阪生まれ。食の仕事を中心に、テレビ、雑誌、講演などに活躍。生活に視点を置いた姿勢が支持される。『小林カツ代家庭料理大事典』(朝日出版社)など、著書は140冊以上。寒い日も、心までポカポカ温まりそうなお粥のレシピが満載の新刊『美人粥』(文化出版局)が好評。

 食と健康は切り離せないものだとは思うけど、私はカロリー計算なんかしないし、ぼけた薄味のマズイものは作りたくないから、油や塩分を控えたりもしません。この料理にはどのくらいの油でどのくらいの塩加減なら美味しいかということしか考えてないんです。でもね、私たぶんどの料理の先生方よりも元気よ。
 健康の秘訣は、美味しいいものを楽しく食べること。美味しいというのが先ですよ。結果としてそれが、体にいいんです。
 ここ何年も、毎日忙しくて、睡眠時間は平均して4〜5時間だけど、元気に見せようと思ったことは一度もないし、ちっとも無理していないのに、元気ねえと言われるの。
 気分に波がなくていつも安定しているってことも、健康の秘訣かしらね。もちろん、落ち込んだり気分が昂ぶったりすることはあるけれど、意味もなく不機嫌になることはないんです。
 それはきっと、好きなこと、好きなものがいっぱいあるからでしょうね。映画観て、本読んで、好きな音楽聴いて、友達に会って……。無性に映画が観たくなったときは、夜中のレイトショーにもさっさと行きますよ。本屋も大好きで、わずかの時間でも飛び込んで本を買いこむの。どんなに忙しくても、好きなことをやるための時間は自分で作り出すようにしています。

 あとは、失敗を恐れずになんでもやってみるってことですね。できるかどうかは、やってみなきゃわかんないものね。これは母のお陰だといまだに感謝しているんですけど、母は私に対して一度たりとも、「そんなこと、できっこないわよ」と言わなかったの。いつも「やってみたら」って。だから「もし失敗したら、その時はその時」って気楽に考えて、色々なことにチャレンジすることができたんです。
 今では笑い話ですけど、私は家計のやりくりが苦手で、夫と結婚して初めての生活費を10日で使い果たしちゃったのね。それで「お金がなくなったから、またちょうだい」って言ったら、スゴク叱られたんです。
 私は夫に「ハンドバッグ買ってもいい?」とお伺いをたててから買ったりするのは向いてないと思ったし、そういうのがとてもイヤだった。だから、自分の仕事を持ったんです。
 私が世にも料理が速い研究家(笑)になったのは、かつての私と同じように、子育てしながらあくせく働いている女性たちに、自分の経験から得たことを伝えたかったから。私自身、年子の子育てをしながら仕事して、PTAの役員まで引き受けて、自分のやりたいこともいっぱいあって、夜中は原稿書きに追われて……。そんな状況で、お腹を空かしている子どもたちに、「おいしいもの作るから1時間待ってて」なんて言えないわよね、5分でさっとなにか作ってあげる方がいいじゃない。
 最近スローフードという言葉が流行したりもしているし、昔から、手の込んだ手料理がいちばんなんて言われてるけれど、それが出来ない人たちもいっぱいいる。そういう現実に目を向けることも忘れないようにしたいですね。私の手早くできるクッキングは、そんな女性の味方なのよ。
 アリとキリギリスなら、私はキリギリスなの。あの話、アリばかり褒め称えられているけれど、アリもキリギリスも人生においての楽しみは同じよ。キリギリスは若いときに楽しんだのよね。
 昔から「お金は天下の回りもの」って言うように、回さなきゃダメなんですよ。生活を切り詰め、いろいろ我慢して、老後に備えてひたすらお金を蓄えてる人がいるけど、老後って、老いた後ってことよ。今使わなくて、どうするの?
 生き方は人それぞれだと思うから強制するつもりはないけれど、自分の経験から今の若い方たちに言いたいことは、「誰かに依存する生き方はしなさんな。自分の買いたいものは、自分の力で買える人になりなさい」ってこと。
 自分で稼いだお金で、美味しくご飯を食べて元気に楽しく暮らすのがいちばんよ。
 私はこれからも、自分の好きなこと、やりたいことのためにどんどん時間を刻んで、まんべんなく使って、死ぬその日まで、楽しく生きていこうと思っているんです。本来けっこうのんびり屋だから、どんなに忙しくても、せかせかした気持ちにはならないんですよ。

インタビュー・松井京子 写真・広中秀俊


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