シングルライフのマンション活用マネープラン
今はシングルでも、将来ライフスタイルが変化していく可能性がないとはいえません。
このことは、購入前に考えておかなければならないことです。
そこで、内田さんと「一問一答」してみました。
内田由香さんに予測されるマンションに関する問題点の整理
- 結婚問題
⇒もし良い縁があれば、このマンションは賃貸に出す予定。
但し、ローン返済は自分で働いて返済していきたいので、その点を理解してもらえるかが条件。
- 親との同居問題
⇒今は両親とも元気だが、一人になれば同居を提案する。
500万円の資金話の際に、3DKの広さがあるので同居も可能であると伝えた。
- いわゆる「マンション投資」と考えるのか?
⇒駅の近くで利便性が良いため転売可能とは思うが、一生住む予定で転居は考えていない。
- 固定金利か変動金利か?
⇒過去にもっと金利の低い時代があったので、また低金利がくる可能性はあるが、性格上、変動金利で一喜一憂するより3.14%という固定金利のほうが良いのではと考えている。
内田由香さんは、シングルとして生きていくうえで今の生活をもっと豊かに向上させたいので、家賃+αをマンション購入費に回し、充実した生活に使いたいと強く希望されていました。
「女性専用の住宅ローン」を利用しない手はない!
女性の社会進出に伴って女性のライフスタイルも変化し、シングル女性のマンション購入希望者も増えてきたようです。そこで、ポジティブな人生を送ろうとする女性を支援するため、各銀行では「女性専用の住宅ローン」の扱いが増えてきました。
「女性専用住宅ローンって?」
かつて女性には経済的に返済能力がないと考えられており、女性のローンは、かなり厳しい融資条件となっていました。公的融資である住宅金融公庫にいたっては、最初からシングル女性は融資対象外でとなっていたほどです。しかし、近年は女性の社会的地位の向上もあり、これまでのような融資規制は払拭されつつあるといえます。そこで登場したのが、銀行の「女性専用住宅ローン」です。特徴としては、借り入れ条件が緩やかで、出産・育児休暇中には元金据置にする等の優遇制度が設定されています。社内であった住宅相談会ですすめられた、りそな銀行の「凛Lin」について特徴を見てみましょう。
(1)利用の条件
- 20歳〜66歳まで。最終返済時の年齢が80歳未満の女性。
- 前年の税込み年収が100万円以上。
- 団体信用生命保険に加入できる。
- 給与所得者は1年以上、給与所得者以外の方は3年以上の勤続年数がある。
(2)金利優遇
- 変動金利を選択すると、店頭表示金利より1.2%の優遇
- 固定金利選択型の2、3,5,7年を選択した場合には、店頭表示金利より0.8%の優遇
- 固定金利選択型の10年を選択した場合には、店頭表示金利より1.0%の優遇
(3)その他特典
- ローン保証料が無料
- 繰上返済手数料が無料
- ローン返済支援保険が付いている
※ りそな銀行のHPから
この他にも、「女性向け住宅ローン『凛Lin』フラット35(機構買取型)」というフラット35を利用したローンができました。
『凛Lin』そのものは期間固定の最長は10年でしたが、フラット35とリンクした『凛Lin』フラット35(機構買取型)は固定の期間が15年以上35年まで自由に設定ができます。また融資条件は今までと同じで、優遇金利も1%が優遇されるということです。独身女性でもローン選択の枠がさらに広がり、マンション購入の筋道がつきやすくなったといえそうです。内田由香さんはこの女性専用ローン「『凛Lin』フラット35(機構買取型)」の利用が可能ということになりました。
※この「女性向け住宅ローン『凛Lin』フラット35(機構買取型)」も他のフラット35と同様、融資実行後ただちにローン債権を住宅金融支援機構に譲渡(売却)し、住宅金融支援機構はローン債権を証券化して投資家向けに販売するという不動産の証券化の流れを汲んだものとなっています。ただ、ローン債権譲渡後も、窓口となっている銀行は住宅金融支援機構との業務委託契約により、ローン返済等に関する事務の取扱いを行う事になります。
借入先 |
融資額 |
ボーナス分 |
返済方法 |
期間 |
金利 |
毎月分 |
ボーナス分 |
凛フラット35 |
2100万円 |
0 |
元利金等 |
25年 |
3.14% |
101,120円 |
0 |
マンション購入後のキャッシュフローが将来「赤字」にならない計画を立てよう
フラット35の住宅支援機構のホームページには「資金計画診断システム」というのがあり、融資額から返済額まで、各人別にシミュレーションができます。それを使いながら検討しましょう。
( http://www.jhf.go.jp/simulation/shindan/index.html )
購入計画
総費用 |
総資金 |
|
金額(万円) |
割合(%) |
|
金額(万円) |
割合(%) |
マンション購入費 |
3,500 |
97.4 |
フラット35 |
2,100 |
58.4 |
諸費用・税金 |
94 |
2.6 |
財形融資他 |
0 |
0 |
|
|
|
自己資金 |
1,494 |
41.6 |
合計 |
3,594 |
|
合計 |
3,594 |
|
自己資金はどれくらい必要?
マンション購入費以外に、登記代・保証料などの諸経費として94万円が必要になります。融資額2100万円であれば、自己資金は1494万円必要となります。今の貯蓄総額が1300万円なので、内田由香さんがご希望されている300万円の生活資金を残すとするならば1000万円しか頭金に回せなくなります。
親が用意してくれた資金を貰うのではなく借りましょう。
そこで、ご両親が結婚資金にと準備してくれている500万円を利用したいところです。実際に結婚したときに貰うのであれば、消費する(貰っても使ってしまう為)と想定され、贈与税はかかりません。しかし、マンション購入で貰う場合は資産形成となるため贈与税がかかり、大きな負担となります。ここは貰うのではなく、借りることにしましょう。手続きとしては、「借用証書」を作り、「返済明細書」どおりに「毎月、親名義の銀行口座に振込」ます。500万円を30年ローンで返済するとして、年間19.2万円となります。
返済はどれくらい?
年収に対するローン返済負担率は24.2%なので年収の4倍基準(返済額は25%以下)に収まります。
|
返済全期間 |
年間返済額(月あたりの返済額(注2))(円) |
1,213,440円(101,120円) |
住宅以外のローン(円) |
0 |
年収(円) |
5,000,000 |
総返済負担率(%)(注3) |
24.2% |
購入後の家計の収支状況の把握
年収に対するローン返済負担率は24.2%なので年収の4倍基準(返済額は25%以下)に収まります。
毎月の家計(万円) |
1年目 |
11年目 |
ボーナスの家計(万円) |
1年目 |
11年目 |
見直後 |
見直前 |
見直後 |
見直前 |
手取収入(可処分所得) |
30.41 |
30.41 |
手取収入
(可処分所得) |
53 |
53 |
支出 |
34.40 |
41.40 |
34.90 |
41.90 |
支出 |
0 |
0 |
生活費 |
18 |
23 |
18 |
23 |
住宅ローン返済額 |
0 |
0 |
住宅ローン返済額 |
10.2 |
10.2 |
10.2 |
10.2 |
住宅以外ローン返済額 |
0 |
0 |
両親へローン返済額 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
|
|
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生命保険料など |
1 |
3 |
1 |
3 |
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|
団信生保特約料/12 |
0.5 |
0.5 |
0.5 |
0.5 |
|
|
|
修繕積立金 |
0.7 |
0.7 |
0.7 |
0.7 |
|
|
|
維持管理費 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
|
|
|
駐車場代 |
0 |
0 |
0 |
0 |
|
|
|
固定資産税/12 |
0.6 |
0.6 |
1.1 |
1.1 |
|
|
|
都市計画税/12 |
0.3 |
0.3 |
0.3 |
0.3 |
|
|
|
収支差額 |
▲3.99 |
▲10.99 |
▲4.49 |
▲11.49 |
ボーナス収支差額 |
53 |
53 |
このままでは赤字!どうすれば?
毎月の家計は10万円余りの赤字です。そこで「補填はボーナスで」と考えたいところですが、年間120万円強の赤字を53万円のボーナスでは、はっきり言って無理です。やはり支出面の見直しが必要ということになります。
※ローン返済には、基本的にボーナス返済を使わない。これは、ボーナスは何かあったときにフレキシブルに対応できるよう、拘束しない方が良いからです。またボーナス自体も、今後の25年間にどのように変化していくのかが予測困難な時代となっています。
生活費の見直し
まず基本生活費の無駄はないかと検討してもらいました。努力目標ですが23万円を5万円減らして18万円とします。
実行可能か?は新生活に入ってみないとわかりませんが、「決死の努力の覚悟」は出来ているとのことでした。
生命保険の見直し
新入社員のころ勧められるまま大きな死亡保障に加入されていたようです。今の内田由香さんが保険を考えるときの基準として、「万一があった場合残された遺族が経済的に困らない額がいくらぐらいなのか?」を考えてもらったところ、独身ということもあり、わずかな葬式費用程度が必要ということでした。医療保険はそのままにして、死亡保障は減額で検討したところ、見直しによりトータルで保険料月額3万円を1万円に減額することができます。
見直しのまとめ
生活費・保険料の見直しをしても月々の収支は赤字です。ボーナスで赤字を埋めて、年間の収支をトントンに持ち込む作戦をとったわけですが、月々の赤字が性格的に気になるようであれば、ボーナス併用のローン返済を検討して月額ローン返済を少なくすれば、月の収支もボーナスの収支も赤字にならないという方法をとってもいいと思います。
今後のキャッシュフロー予測表
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分析結果
現実として、ローン返済が始まると貯蓄を増やす余裕はなくなります。つまり、綱渡り状態の家計が続く可能性は大なのです。そこで、生活資金として残してあった300万円が頼りとなります。見直しポイントを確実にクリアするために、今後の家計運営は「収支のバランスを取ることが肝心」となります。
将来のための投資はいろいろあります。
内田由香さんは将来のための投資として、シングルライフを貫くためのマンション購入という決意をされました。もちろん、将来のための「自分磨き」という投資も考えていきたいとおっしゃっています。決して楽観できる状況とはいえませんが、これから訪れる未来に充実した生活が送れるよう、見直しポイントを確実に実行することでクリアして、けっして「リスクが高い投資」にならないようにしていってください。
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