繰上げ返済の鉄則は、まず大前提として
できるだけ早い時期に実施するのが得策という点が上げられます。たとえば、1000万円、年利3.0%、35年元利均等返済のローンだと、1年後に期間短縮型で約100万円繰上げ返済すると、67回の短縮で、その間に本来支払うべき利息約157万円をカットできます。それが、2年後になると短縮回数は66回に減って、トクする金額も約151万円にダウンするのです。その点では、購入後半年で繰上げ返済しようとする品川さんご夫妻の考え方は鉄則にかなっているといえます。
ただ、条件の異なる複数のローンがある場合には、
- ローン残高、残存期間が同じなら金利の高いものから
- 金利、残存期間が同じならローン残高の多いものから
- 金利、ローン残高が同じなら返済期間の長いものから
優先的に繰上返済するのが得策です。しかし、現実には金利、ローン残高が異なるのがふつうで、品川さんの場合にはその上、返済方法と返済期間も違っています。その場合には、個別に試算して判断するしかありません。
そこで、品川さんの二つのローンについて試算してみましょう。
結果は、下のグラフにあるように、
年利2.0%の公庫融資に約102万円繰上げ返済したときには、27回の短縮で、トクする利息は約60万円。これに対して
年利2.3%の銀行ローンは76回の短縮で、約106万円のトク――ということになります。手数料は銀行のほうが高いのですが、それを考慮しても、銀行ローンから繰上げ返済するほうがトクする金額が多くなります。
しかも、銀行ローンは10年間の固定金利選択型ですから、将来の金利が上昇すれば適用金利も上がって、返済額も増額される可能性があります。繰上げ返済しておけばそのリスクをかなり軽減できますから、その点からも銀行ローンから繰上げ返済していくのが安心でしょう。
とはいえ、万一に備えて手元にある程度の貯蓄も残しておきたいものです。景気が多少よくなっているとはいえ、依然として失業率は高い状態が続いています。晴美さんはフリーターとはいえ家計の一部を担っています。どちらかが失業して収入がなくなる可能性は、専業主婦家庭の2倍になります。つまりリスクは2倍ということです。しかも、品川さんご夫妻の場合には、いずれは出産・子育てという局面も予想されます。ご主人だけの収入で、生活していかなければならないこともあり得ます。
ですから、もし収入が途絶えたとしても半年は生活していけるだけの貯蓄を手元に残しておくようにしたいものです。現在貯蓄が300万円ということですから、そのうち100万円を繰上げ返済に回すと、200万円しか残りません。繰上げ返済は早いほうがトクする金額が多くなるのは最初に触れた通りですが、繰上げ返済によって手元の貯蓄が減っても問題はないかどうか、もう一度確認した上で実行するようにしていただきたいものです。
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1.公庫ローン(年利2.0% 借入額1400万円 31年元金均等返済) |
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2.銀行ローン(年利2.3% 借入額780万円 35年元利均等返済) |
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