節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

貯める・殖やす
伊藤さん顔写真 FP:伊藤美和

貯蓄や投資を始めてしばらくすると、誰の頭にも思い浮かぶのが1000万円という夢の数字。「1000万円お金を貯める」ということはハードル走に似ています。100万円、300万円とハードルをクリアするごとに貯まるスピードはどんどん加速していきます。この「貯める・殖やす」のコーナーでは、皆さんがハードルを楽に越え、早くゴールにたどりつけるよう、お手伝いができればと思います。何でもお気軽にご相談ください。
■ご相談者
相談者(仮名)
塚本直子さん

30歳、専業主婦。会社員のご主人(31歳)と0歳の長男、義父母(57・56歳)と同居中。
義父母の土地にマイホームを建てたいのですが
結婚して1年。現在は主人の両親と同居しています。自営業をしている両親からは「(イザという時)私達が逃げ込めるよう、いつか家を建ててね」と言われています。5年後をメドに一戸建てのマイホームを建てたいと思っていますが、頭金作りはどのようにしていけばいいでしょうか?


・ 収支の状況
 収入
 手取り月収(夫) 約320,000 円  ボーナス手取り(夫) 約90万円×年2回
 毎月の貯蓄 合計 約60,000 円
 自動積立 40,000 円  個人年金(夫) 約10,000 円
 個人年金(妻) 9,864 円    
 貯蓄残高
 普通預金 2,770,000 円  自動積立 280,000 円
 保険満期金 1,000,000 円  個人年金(夫) 約90,000 円
 個人年金(妻) 約150,000 円    

 塚本家の現状とライフプラン
  • ご主人の給与は完全歩合制。月収・ボーナスとも営業成績によってかなり上下する。成績が良いと、臨時ボーナスが出ることも。
  • 子供はもう1人欲しい。
  • マイホームの購入にあたって奥様の両親からの援助はなし。ご主人の両親は、自営業の業績次第では援助してくれるかも(5年後のことなので流動的・アテにはできない)。
  • ご主人のご両親の家(塚本さんが現在同居中の家)と店の土地は別の場所。どちらも借金の担保に入っている様子。
  • 5年後に義父母に借金がなければ所有している土地に家を建ててもいいと言われている。
■アドバイス
借金の担保になっている土地にマイホームを建てるのはリスクが大きいという認識を

アドバイス1:様々なリスクを見据えて、ライフプランの検討を

5年後に義父様名義の土地に2世帯住宅を建てるかもしれないということですが、まずはリスクを認識することが大切です。もし義父様にローンがあり万が一返済が滞ったら、義父母様だけではなく、塚本さんご一家も同時に住まいを失う可能性があります。土地に抵当がついていない場合でもリスクはあります。

借金のある義父様名義の土地に建てたマイホームは、(義父母様が)万が一返済に窮した時の逃げ場にはならないということを肝に銘じましょう。5年後の時点で義父母様がロ―ンを抱えている場合は、土地も含めて自力でマイホームを購入されることをお勧めします。

アドバイス2:計画の前に義父母との話し合いを

義父母様が「借金の返済が滞った時の逃げ場」として、塚本さんご夫妻の新居をアテにしているなら、今のうちからきちんと話し合いをしておくことが大切です。義父母と同居するか否かでは、購入する家の土地の広さや部屋の数は、当然違ってくるからです。

現状では義父母様の暮らしやローン返済に特に問題はなさそうですが、イザという時のためを考えるなら、新居の1階に広めの和室を1部屋確保していく方向でプランを考えてみてはいかがでしょうか。その分のお金は、義父母様に用意していただくべきです。

塚本さんのお宅では、住宅ローンの心配だけではなく、教育費用や老後のお金の用意など、避けては通れないお金の問題が山積みです。またご主人のお給料も歩合制で変動が大きいことを考えると、頭金はできるだけ多く貯める必要がありますし、義父母様の部屋の分のお金を負担するという訳にはいきません。「保険」用の部屋の資金は、義父母様にも5年かけて貯めていっていただくよう、話し合ってみてください。結婚して1年目ということで義父母様と「お金について、あまり立ちいって話はしずらい」なら、ご主人様に話し合いの中心となってもらいましょう。

アドバイス3:貯蓄目標額の計算をする

不況の今、多くのサラリーマン世帯は「会社の倒産・賃金カット・リストラ」の不安を抱えながら生活しています。お給料が歩合制で金額の変動が大きい塚本さんの場合は特に無理な返済計画は禁物です。住宅資金の貯蓄目標額は物件価格の3割(頭金2割+諸費用1割)と考えます。

[貯蓄目標額の計算方法]
  1. 買いたい家の予定価格はいくら? ( I ) 万円
  2. 購入時にはいくら必要?  I ×0.3 ( 頭金+諸費用 ) = ( II )万円
  3. これから貯める目標額は? II −( 住宅用の現在貯蓄額 ) = ( III )万円
  4. 何年後に買う? ( IV )年後の予定
わが家はあと( IV )年後までに( III )万円貯めることが必要!
そのためには毎年( V )万円貯めるぞ!( V = III ÷ IV)

アドバイス4:毎月の貯蓄額・貯蓄商品を考える

住宅の頭金作りの貯蓄は、将来、住宅ローンの返済のステップとして大切です。収入に波がある塚本さんの場合は、毎月の積み立て状況から「収入が少ない月でも、これなら確実に返していけそう」という将来のローン返済金額の目安をつかむことが特に重要です。

貯蓄商品としては住宅金融公庫の「つみたてくん」や郵便局の「住宅積立貯金」」が第一候補。銀行からも借り入れ予定なら、利用予定銀行でも積み立てを行っておけば将来有利な条件で融資を受けることができる可能性が広がります。お金と一緒に「信用」も積み立てていくつもりで。

積み立てを行う金融機関とは、ローンの返済も含めて長いお付き合いになります。危ないウワサのある会社を避けるのははもちろんのこと、格付けや株価、開示されている情報などをできる限りチェックした上で、慎重に取引銀行を決めましょう。

アドバイス5:教育費の準備を考える

お子さんの教育費ですが、高校入学に備えて50万円、大学入学に備えて200万円は貯めておきたいもの。低金利の今は利子をあてにせず、元本のみの計算で目標額を貯めるよう貯蓄プランを考えることが現実的。毎月1万2000円ずつ貯めていけば18歳までに約250万円貯めることができます。毎月5000円ずつ受け取れる児童手当をベースに貯めていきましょう。銀行の自動積立定期や郵便局の積立貯金などがお勧め商品ですが、信用金庫などの特典付き積立で楽しみながら貯めるという手もあります。

アドバイス6:ライフプランや家計の変動に柔軟に対応できる貯蓄プランの再検討を

現在夫婦ともに個人年金に加入して、保険料の支払いは毎月約2万円ほどです。現在の家計なら保険料の支払いには無理はありませんが、今後住宅ローンが始まりお子さんが増え、教育費がかかるようになると、かなりの負担になる可能性があります。万が一ローンの支払いが苦しくなって個人年金を中途解約することになるとかなり損することになりかねません。

30〜40代の年金は、今より低い水準の金額になるのは確実と思われます。少しでも早く準備を始める姿勢には大賛成です。でもこれからマイホームを買い、子育てをしていくことを考えると、ライフプランの変更に対応しやすい商品選びの工夫について、今一度ご夫婦で考えてみてはいかがでしょうか。

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