株式投資にはリスクが伴います。まずはどのような理由でお金を殖やしたいのかよく考えてみることから始めましょう。「とりあえず運用の練習をしたい」「競馬の馬券を買ったと思って、少額でハイリスク・ハイリターンを狙いたい」「老後資金の運用なので20〜30年で平均10%殖やせれば」などお金を殖やす目的によって「○割値上がりしたら売却しよう」の目標値も、選ぶ銘柄も違ってくるからです。
津田さんは結婚して半年で「先のことはまだわからない」とのことですが、「老後にお金に困らないよう備えたい」という希望ははっきりしています。今の20代は、「給料は増えない、退職金も出るかどうかわからない、年金もアテにできない」ので、自己責任でお金を殖やす努力をしなければならない世代です。ですから「投資に慣れるための勉強」ということで株式投資を始めてみてはいかがでしょうか。<投資を始める時のチェックポイント>を参考に、今後の方針を確認してみましょう。

1.投資に回せるお金の上限は? 万円
株式投資にはリスクがつきものなので、病気・ケガ・リストラなどで家計が急変した時のためのお金を、元本が安全な金融商品で十分に確保した上で、余裕資金でチャレンジすべきです。イザという時用のために毎月の生活費の1年分以上の金額をキープしておきたいものです。また投資を始めて1〜2年以内の方や総資産が500万円未満の方は、投資額を総資産の10%以内にとどめることをお勧めします。
2.目標額と投資期間は? 歳までに 万円ためるぞ!
老後資金なら「60歳までに1000万円」、子どもの教育資金なら「18年後までに200万円」など、使い道と目標額について考えます。
3.売却目標額は?
1株120円の株なら1000株買っても投資金額は12万円です。このくらいの投資金額ならハイリターンを狙って強気の売却目標を立ててもいいでしょう(例:1.5倍の180円になったら売る)。でも1株1200円の株なら1000株買えば120万円を投じることになるワケですから「1割値上がりしたら売却」というように、堅実なゴールを目指した方が安全です。持っている株が値上がりするとつい「もう少し(値上がりしたら売ろう)」と、売却を先延ばしにしたくなるものですが、初心者は当初の目標金額になったら欲張らずに売って、利益を確定し積み重ねていくことが大切です。
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デフレで不動産価格が下落している一方で雇用環境が悪い現在は、津田さんのように「できるだけ長
住宅ローンや民間賃貸マンションの賃料等と、社宅の賃料の差額を貯めていくことができる」という前提での話です。差額分を生活費に回してしまったら「家も貯金もない」貧しい老後を迎えることになりかねないので注意が必要です。
津田さんの場合、お住まいの社宅と同じ環境の賃貸住宅の相場は月9万円ほどとか。老
家賃の差額6万円+老後生活用の貯蓄1万5000円)
年間で90万円ずつ定年まで貯め続ければ60歳には約4960万円貯まります(3%複利で計算)。もし5%複利で運用できれば60歳で約7200万円も貯まります!退職金と合わせれば悠々自適の老後生活を送ることができるはずです。
低金利の今は「5%複利で運用」という設定は現実味がないように思われるかもしれませんが、20〜30年という長い運用期間で考えれば、実現可能な利回りです。共稼ぎで余裕があるうちに堅実に貯蓄を殖やし、投資の勉強にも励むことが、豊かな老後生活を迎えられるかどうかのカギとなりそうです。
株は銘柄ごとに売買できる取引単位が決まっています
取引単位の10分の1の株数で売買できるのが「ミニ株」です。ミニ株は単位株の10分の1の金額で株式投資にトライできるので、資金
取り扱い銘柄が限定されてい
手数料が割高だったりといったデメリットもあります。投資するなら単位株を基本とし、
お金が足りなかったり、リスクを分散したい時にはミニ株を利用するというスタンスがお勧めです。
- 最初の銘柄選びは「身近な会社」がキーワード
一番最初は、よく利用するレストランやデパートの株、知人が勤めている会社など、身近な会社の株を買うのが1つの手。食事や買い物をするついでに店の様子や商品の品質をチェックできるなど、買った後の情報収集がしやすいからです。
- 高配当の会社をチェック
配当金とは「株主に対する利益の分配」で、年に1〜2回、持ち株数に応じて受け取ることができます。できるだけ高配当でかつ安定して配当を行っている会社を探しましょう。会社四季報などで業績や過去5年間の配当状況などを事前にチェックしましょう。
- 株主優待を楽しもう
本来の株式投資は「将来性のある株」に投資して、値上がり益を得ることが目標です。
ただし初心者の場合はまず「投資を楽しむ」ことも大切。優待が楽しみな銘柄なら、購入後に値下がりした場合の精神的ダメージがその分軽くなります。ヤケになって損切り(損失覚悟で株を売却すること)したり、ということも防止できます。
- 200円以下は黄色信号。100円以下は赤信号。
200円以下株は、その会社の将来性に黄色信号がともっている場合が多く見受けられます。100円以下の株には「いつ倒産しても不思議じゃない会社の株」が数多く混ざっています。値段の安い株は一般的には初心者向けではありません。投資する場合には、1銘柄あたりの投資金額を抑えることが安全策です。
- 想定外の悪材料が出た場合は見切る勇気も必要。
結婚生活には忍耐が必要ですが、場合によっては早く離婚を決意した方がお互いのためになるということもあります。株式投資も同じで「短気を起こして売買を繰り返す人は損を出しやすい」一方で、「想定外の悪材料が出たからすぐ損切った。早く見切ることで損失を最小限に食い止めることができた」という場合も数多くあります。見切るべきかどうかは「その会社の将来性をまだ評価できるかどうか」で判断することになります。
投資する前に「想定外の悪材料に対しての対処方法」について心積もりしておけば、イザという時に正しい判断・対処を素早くとることができる可能性が大きくなります。