節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

■アドバイス
現在のペースで貯蓄を継続する一方で、投資の勉強をはじめましょう。

年間貯蓄額の目標を明確にしましょう

山中さんの貯蓄額は現状で十分です。ただし毎月の貯蓄額に明確な目標額がないので、必要に応じて出費がかさむ月もあるかと思います。今後は被服費、交際費、レジャー費、ご主人の研究費などについて年間予算を決めましょう。その範囲内でお金を使うようにして、年間の貯蓄額の目標をたてましょう。貯蓄計画のプランの一例を挙げてみますのでご参照ください。プラン通りに貯蓄できれば、年間で630万円貯めることができます。

チェック! 貯蓄&ボーナス支出プラン例

貯蓄は目的別に行いましょう

(1)老後+教育資金用の貯蓄、(2)開業用の貯蓄、というように目的別にお金を貯めていきましょう。積立商品は銀行の自動積立定期や郵便局のオート定額・定期や積立貯金などを利用するといいでしょう。開業の際、銀行からの融資を考えているなら、取引予定の銀行で積み立てをしていくのも一つの手。融資の際に貸付利率の優遇が受けられるはずだからです。お金と一緒に「信用」を積み重ねていくのも開業の準備になるかと思います。ただし、金融機関の破綻に備えて、預金の預け入れは「1つの金融機関で1000万円まで」としましょう。同じ金融機関でも「夫1000万円、妻1000万円」ということでしたら、合計2000万円までは保護されます。

老後+教育資金用の貯蓄はできるだけ奥様名義もしくはお子様名義で行っていきましょう。開業時に融資を受ける場合は、返済が滞るリスクも考えることになります。リスクヘッジのためには、今から預金名義を分散させて準備をしていくといいでしょう。贈与税のかからない範囲で名義を分散するよう注意が必要です。

チェック! 目的別貯蓄プラン例

投資の勉強をご夫婦で始めましょう

山中さんの場合、60歳までは20年、70歳までは30年もあります。お金を貯める期間が長くなればなるほど、運用利回りによって手にすることのできるお金に大きな差が生じます。

チェック! 複利運用した場合の手取額(年間200万円ずつ積み立てた場合)

運用成績を2%と想定した場合、20年後には4859万円貯まることになります。息子さんの教育費に300万円使ったとしても4500万円ほどは老後資金に振り向けることができます。留学の援助も含めて500万円使ったとしても4000万円は老後資金に使えます。

開業するまで10年ずつ200万円貯めていって、開業後は運用のみとなった場合でも、70歳の時には3254万円貯まる計算になります。今後10年間で準備しておけば、開業してからしばらく思うように貯蓄できなくても焦る必要はなくなります。

計算例をご覧になると、利回りの差が20〜30年後には何百万円、何千万円の差になることが一目でおわかりになると思います。現在のような低金利では、運用成績に期待はできませんが、20〜30年という長い期間なら3〜5%という数字は達成不可能ではありません。
ですからお若い今のうちから「頭の体操」と思って、ご夫婦で運用の勉強を始めることをお勧めします。

運用の勉強を始める時の鉄則(1)金額は少額から、(2)投資対象が1つの商品で、という2点が最も大切です。最近の投資信託はリスクを抑えるために株や債券などに少しずつ分けてバランス運用している「ミックスタイプ」のものがたくさん発売されています。分散投資していて「比較的リスクが低い」ため、投資初心者の方はこのタイプの投資信託をよく勧められますが、このような商品ではほとんど投資の勉強になりません

少額でもいいので「日本株投資信託」「米ドルMMF」「オーストラリアドル預金」など、投資対象がはっきりした商品に投資することをお勧めします。経済や政局の状況によって為替相場や株式相場がどのように動くのかをシンプルかつダイレクトに感じることができるので「相場勘」を養うことができます。

投資に慣れてきたら、100万円貯まるごとに5〜20%ほどを投資し、残りを元本の安全な商品で運用していくようにしましょう。ただし55歳ごろからは徐々に投資する比率をへらしていき、いよいよ老後生活が始まったら10%以内にとどめておくことが望ましいと思います。

なお現在の普通預金は、投資の勉強用の資金(50〜100万円)を除いては、元本保証の商品に預けておきましょう

チェック! 金利例

チェック! 1250万円のポートフォリオ例

チェック! 運用の勉強のためのポートフォリオ例(100万円)

必要な保障を確保しましょう

私費留学する前に生命保険を整理したのは、よいご判断だったと思います。でも国内で勤務医としての新しい生活が始まったわけですから、現在の生活に必要な保障額を確保することを考えましょう。

現在は賃貸住宅にお住まいとのこと。ご主人に万が一のことがあったら、住むところの確保が重要な課題となります。住まいの購入費+老後資金として5000万円〜1億円ほど死亡保障がほしいところです。山中さんは23歳からずっとご主人の扶養家族であったとのこと。
ご主人に万が一のことがあった場合、それからの再就職と収入額は、ともに厳しい状況が予想されます。できれば死亡保障は多めにとっておく方が安心です。

また火事や地震に備えて「家財保険」へ加入してみてはいかがでしょうか。家財保険は家具や電気製品をはじめとするあらゆる家財の損害を補償してくれる損害保険です。JAの家財保険は地震による被害でも保険金がおりますし、家族の傷害保険や預貯金などの盗難被害もカバーされています。満期金があり、賠償責任共済を特約でつけることもできる人気商品です。

チェック! 保険加入プランの一例

開業は少額の初期投資でスタートし、リスクを最小限に!

ご存知の通り、開業してから後はご主人は医師であると同時に経営者になります。「医は仁術」といいますが、開業したら算術・経営術にも精通しなければなりません。
病院経営の競合、診療報酬の減額、人口の減少傾向、医療事故紛争の増加など、病院を新規に開業する環境は年々厳しさを増しています。開業が成功するかどうかは、立地条件と初期投資によると言われています。ただし以前のように土地は値上がりし、財産となるわけではないので、新規の開業で大きいリスクを犯すのはあまり得策ではなくなりました。
良い立地で、できるだけ少額の初期投資でスタートし、事業が軌道に乗ってきたら、次に投資するという考え方が理想的かと思います。

筆者の近所の小児病院では、院長が高齢と病気のため診療ができなくなっていました。しばらくして若い先生が院長となって診療を再開しました。スタッフも患者の顔ぶれも機材も全く変わらず、先生だけが代わったという状況でした。新しい院長は機材込みで場所を借りているものと思われます。ブランクが短かったため、患者離れも最小限で済んだせいか、新小児病院は順調に滑り出しているようです。新院長は経営が軌道に乗れば、内装や機材を新しくすればいいし、将来的には近所に病院を建てることもできます。ローコストで順調に開業した良い例ではないかと思います。

土地・建物や機材はできるだけレンタルにすれば、それだけコストを抑えることができます。機材を共有したり、医療事務を共同管理する医療ビルに入居するという方法もあります。また開業する傍ら、週に1〜2回は大病院での診察を続けるという方法もあります。

高価な機材等を必要とする患者さんは大病院の方に回ってもらうようにすれば、診療所の設備は最小限で済みます。新しい機材を使い、新しい技術や知識を吸収することもできるというメリットもあります。30〜40代で私費の海外留学をするような意識の高いご主人様なら、5〜10年後に古くなった機材をコスト償却のため渋々使用しているより、できるだけ最新の設備を利用していく工夫をしていく方がいいのでは、という印象もありますが、いかがでしょうか。

チェック! 開業資金の準備プラン例


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