■アドバイス |
![]() ![]() 総務省の家計調査年報によると、住宅ローンを返済している30代後半家庭の月平均貯蓄率は手取り収入の約15.6%です。中村さんは手取り月収の約25.7%も貯金できているので、貯蓄は今のペースで十分です。手取り年収ベースでみた貯蓄率も約27.1%と、全世帯平均(13.5%)の約2倍も貯めている計算となり、中村さんは大変しっかりした金銭感覚の持ち主と拝察いたします。 一方で中村さんの貯蓄総額は約760万円(学資保険の積立分を含む)です。今もし急に収入が途絶えたとしても丸2年は住宅ローンを返しながら今の生活を続けることができます。30代後半の貯蓄額としては、もしものための備えも含めて十分でしょう。 十分な貯蓄額を確保できている理由はとてもシンプルで「堅実な生活を送っている」ことです。中村さんの毎月の消費支出は23〜25万円ほどで、これは税込み年収400万円台の家庭の平均額とほぼ同じです。収入が多くても(中村さんの税込み年収は約900万円)、浮つくことなく毎月しっかりとやり繰りしている姿勢は素晴らしいと思います。 ただし貯蓄内容には気になる点もあります。中村さんは貯蓄のほとんどを郵便貯金など元本の安全な商品へ預けています。現在のようなデフレ・低金利の時期は、このポートフォリオでも問題はありません。でもこのままでは経済情勢の変化に対応していくことが難しい状況です。もし一転してインフレになった場合は、資産価値が急激に目減りするリスクが大です。 ![]() 少しでもお金を有利に増やすには「使う目的や時期」や「どのぐらいリスクをとれるのか」によって商品を選ぶことが必要です。「教育費」「老後資金」など貯める目的によって金融商品を選択すれば、効率よくお金を増やしていくことができます。一方、老後まで20年以上ある方が老後資金を運用するためには、インフレ対策が大切です。今後は運用の勉強を始め、少しずつ利用商品のバリエーションを増やしていきましょう。 ![]() 返済中の住宅金融公庫のローンは借入れ利率が4%台です。借金の利息だけで年間約60万円も払っている計算です。平成17年4月からは金利がアップするので金利負担はさらに重くなります。貯蓄額は十分なので、貯蓄額を増やすよりは今のペースで繰り上げ返済を継続していく方が得策かと思います(下表(2)のイメージ)。金利の安いローンに借り換えをした上で繰り上げ返済していけば、支払い総額をさらに大幅カットすることができます(下表(3)のイメージ)。ご主人様の収入が当面安定していると予想できるなら、借り換えも視野に入れ、繰り上げ返済に力を入れたマネープランを検討してみてはいかがでしょうか。 <ローン(1470万円)返済総額の比較>
![]() 中村さんはお子さんの進路について「中学から私立に進学させるかどうか悩んでいる」とのこと。中学から高校卒業までの教育費の総額は、オール公立の場合で約252万円、オール私立の場合は約617万円と公立の約2.4倍にもなるという統計もあります。経済的負担に見合う強い志望理由・お子さんの適性があるかなどについて様子を見ながら、お金の準備を考えていく必要がありそうです。 大学の初年度納入費は現在加入している学資保険でまかなえるので、私立中・高校入学用のお金の積立プランを考えます。低金利の現在は利息をあてにせず積立元金のみで目標額をクリアできるよう積立額を考えます。子ども保険とは別にお子さま1人につき毎月2万円ずつ貯めていけばいいでしょう。中学卒業までに264万円(長男分)・336万円(次男分)用意できます。私立中学入学時に100万円使っても、高校入学用に100万円以上残ります。積立商品の選択には<教育費を貯めるならこの商品>をご参照ください。 ![]() ![]() 私達の親の世代は、現役時代に稼いだお金を住宅・教育資金につぎ込んでも、老後は年金で生活することが可能でした。ところが今の働き盛りの世代は少子高齢化が進む中、老後資金を貯めながら住宅・教育費をやり繰りすることが必要となりました。まずは700万の貯蓄のうち100万円で運用の勉強を始めてみましょう。運用プランについては下の例を参考にしてください。 <100万円のポートフォリオ例>
![]() 投資の勉強を始める一方で、毎月1万円、ボーナスから19万円(×年2回)ずつ年50万円のペースで貯めていきます。投資に慣れてきたら、100万円貯まるごとに5〜20%ほどを投資し、残りを元本の安全な商品に預け入れる、という繰り返しで資産運用していきます。3%で(複利)運用できれば、65歳には合計で「2035万円+退職金」を老後資金として用意できます。お子さんが国立大学に合格すれば子ども保険の満期金(合計500万円)のうち300万円ほどを老後資金に回すことも可能になります。 中村さんご夫婦の年金を試算したところ、ご主人は65歳から毎月19万円ほど、奥様は65歳から毎月約7万円、受け取れる見込みです。老後資金として「退職金+2000万円」ほど用意できれば、まずは一安心ではないでしょうか。ただし65歳より前に定年退職となった場合は、(定年〜)65歳の年金開始まで、再就職して収入を得られるかどうかが、豊かな老後生活を実現するためのカギとなりそうです。65歳より前にリタイアするなら、年金支給開始までの収入の空白期間の生活費も用意することが必要になります。 ![]() 以上をふまえて毎月の貯蓄プラン案をまとめてみました。ご参考としてください。 <中村さんの今後のマネープランの一例(毎月の貯蓄プラン)>
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