節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

■アドバイス
1年半後に6500万円のマイホームを買うのはリスクが高すぎます

現状について

長尾家は手取り月収の約44%・年間約440万も貯金できています。一般的に考えれば、貯蓄ペースは合格ですが、長尾さんの場合は「もっと気を引き締めて」やり繰りを心がけるべきです。

「ローン返済が始まったら収支は厳しくなるから、今のうちは少しゆとりを持って暮らしたい」とお考えかもしれませんが、とるべき態度は逆です。デフレで中々給料の増えにくい今は、購入までにできるだけ多くの頭金を貯めることが必要です。また「ローン返済開始後」を想定した厳しいやり繰りを1〜2年続けることで、ローンの金額が自分達の返済能力や生活実感に見合ったものなのか判断することも大切かと思います。

通信費は携帯電話代を含めて2万5000円→1万5000円以内に抑えましょう。夫こづかいは6万5000円→2万5000円に、妻こづかいは3万5000円→5000円に減額します。娯楽費は2万5000円→5000円に減額し、ボーナスと合わせて年予算11万円以内でやり繰りを考えましょう。こづかいや娯楽費は夫の手取り月収が多い月も絶対に増額しないように。これから多額のローンを組むかもしれないので、あえて厳しい予算設定にしました。奥様が出産退職されたら、子供を抱えながらこれより厳しい予算でやり繰りしていく可能性もあるということを忘れずに。

住宅取得について
  1. トータルの費用は?
    新築の一戸建てを購入する時には「物件価格+諸費用(物件価格の5〜7%)分のお金」を用意する必要があります。諸費用とは、ローンの事務手数料や生命保険料、引越代、新居のインテリア代などです。6500万円のマイホームを購入するには、諸費用を含めると6800〜7000万円かかると考えましょう

  2. 頭金はどれぐらい用意すればいい?
    住宅金融公庫の調査(H14)によれば、マイホームを買った人の自己資金は表の通り<表1>一戸建てを購入した人の場合、自己資金の割合は、建売住宅が25.1%、注文住宅が38.4%となっています。注文住宅購入者の自己資金の割合はかなり高いことがわかります。これは注文住宅の場合、家が完成するまでに着工金・中間金の支払う必要があるため、手持ち資金に余裕が求められるからです<表2>。1年半後に一戸建てを購入するなら、建設前の段階で建売住宅の購入契約を結び、できるだけお2人の意向を取り入れて建ててもらう、というのが経済的に現実的なプランではないかと思います。

    チェック! <表1>マイホームの自己資金は?

    チェック! <表2>注文住宅を建てるなら、お金はいつ必要?


  3. ローンは返していける?
    長尾さんの計画では住宅ローンの借り入れは5500万円ほどになる予定。毎月の返済額は金利が2%でも18万2195円にもなります。金利があがれば返済額は21万1668円(金利3%)、24万3527円(金利4%)、27万7578円(金利5%)と跳ね上がっていきます。奥様の再就職前に金利が上がったら、せっかくのマイホームを手放さなければならなくなる可能性があります。病気・ケガによる入院、ご両親の介護が必要になり妻が再就職できなくなる…etc突発的なアクシデントによっても、あっという間に返済に窮するリスクが大です。そこで安全策を考慮したローンの利用をケース1〜3でご紹介します。

    !ケース1
    出産してしばらくは専業主婦として育児に専念したいと希望するなら、ローンの借り入れは「ご主人の年収の5倍(3300万円)まで」としましょう。1年半後に購入するなら4500〜4600万円の物件に手が届きそうです。
    マイホーム購入後は維持費((1)固定資産税、(2)団体信用生命保険料、(3)火災(地震)保険料など)が毎年かかりるし、リフォームのためのお金を積み立てていくことも必要です。ボーナスは維持費の支払い・リフォーム費用の積み立て・繰上げ返済に回したいので、極力ボーナス払いは併用しないでローンを組みましょう。

    !ケース2
    出産後も共稼ぎを続けるという場合でも、ローンの借り入れは4000万円(ご主人の年収の約6倍)までに抑えた方がいいでしょう。「育児休業後は職場復帰しよう」と計画していても、産後「戻れない」状況になるということは珍しくないからです。パート勤務では保育園代を差し引くと、手取り収入は5万円〜10万程度しか見込めないのが現実です。1年半後に購入する場合、5100〜5200万円の物件が買えそうです。

    !ケース3
    「やっぱり6500万円の注文住宅を」ということであれば、頭金が2000万円(物件価格の約3割)以上貯まってから検討しましょう。出産はローン残高が3300万円(ご主人の年収の5倍の金額)を下回る7〜8年後に延期するのが安全策です。ただし出産予定時期までに「金利が大幅に上昇」「夫(妻どちらか)が病気(ケガ・リストラなど)で収入がダウン」「両親を介護することになり妻が退職」といったアクシデントが起きると、「家を手放して子供を持つ」or「家を守るために出産は諦める」等、つらい選択を迫られることになる可能性も

今後の貯蓄・資産運用の方針

「運用に失敗したから、物件価格を○万円下げた」などということになっては一生後悔することになりかねません。ですから住宅購入用のお金はリスクのある商品での運用は考えずに、今まで通り元本の安全な商品へ預け入れることをお勧めします。住宅ローン返済開始後もしばらくはローンの繰上げ返済に注力していきましょう。

ただし老後資金を貯め、できれば殖やすために「運用の勉強をする」ことには賛成です。50万円(10万円ぐらい×5商品)程度なら、外貨MMF・社債・ミニ株・投資信託などを購入し、運用にチャレンジしてみてもいいと思います。外貨建ての投資を行うなら「米ドル&ユーロ&オーストラリアドル」というように、いくつかの通貨に分散投資すると、より勉強になります。住宅ローンの返済にメドが立ってきたら、少しずつ運用金額を増やしていければいいですね。



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