節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

■アドバイス
ライフプランを再検討しつつ、運用の勉強を始めましょう

現状について

ご主人様のご急逝の悲しみの中、「交際費・被服費など今までボーナスから補填していた費目は、今後、毎月5000円ずつ積み立てた中から支出する」「パート収入は全て貯蓄に回していく」「預貯金は将来、子供たちのために役立てたい」など、世帯主として堅実な将来設計を描きはじめている杉浦さんはとても立派だと思います。

車のローンなどの負債を清算しても預貯金は約3500万円、遺族年金も23万円ほどと今のところは経済的に恵まれている杉浦さん。義父母の家に同居しているため、住居費はゼロです。また義父母と折半で支出している食費(3〜4万円)・水道光熱費(1万円)もかなり割安な金額で済んでいます。

ただ預貯金中心の資産運用のみでは、今後金利が上昇しインフレになったら生活が厳しくなる可能性があります。またご同居の義父母様の、介護の問題や2人が亡くなった後の遺産相続の問題なども考えた上で、今後のライフプランを考えることが肝要かと思います。

まずは今後のライフプランの整理を
  1. 義父母様の老後のお世話について
    3500万円の預貯金は少なくない金額ですが、義父母様の介護・葬儀まで賄うには十分な額とはいえません。周辺の公的介護や民間介護サービスについて情報を集め、ご両親様のご意見も聞いた上で、義父母様の老後を今後どのようにサポートしていくかを考えることが必要です。

    もしこのまま同居して介護も引き受けていくつもりなら、(1)介護費用は義父母様に自助努力してもらう、(2)義父母様の亡き後は現在のご自宅をご相続できるよう「遺言状」の用意も含め義父母様に取り計らってもらう、方向で調整の努力をすべきです。義姉様への財産分与は、義父様に生命保険に加入してもらって、相続時には現金で渡すよう計画するのが現実的かと思います。

    チェック! <お金持ちでない人も遺言書作成を!>

  2. お子さんの進学について
    もしお子さんが自宅から国公立大学に進学するなら、4年間の学費の合計は約236万円ほどなので、学資保険の満期金だけで十分おつりがきます。学費の合計額は私立文系大学でも約325万円、私立理系大学でも約430万円ほどなので、やはり学資保険のみで90〜100%を捻出できそうです。余ったお金は杉浦さんの老後資金に回しましょう。お子さんに奨学金をとってもらうなら、さらに余剰金がでるので、そのぶん老後に回せるお金も増えそうです。生前のご発言をお伺いする限りではご主人様もそのように望んでいらっしゃるのではないでしょうか。       
    ※文部科学省2002年度調べの平均額

    自宅外通学の場合は、毎月7〜12万円程度の生活費がかかりますが、学費を学資保険から出してあげれば、奨学金とアルバイトで何とかやっていけそうです。学資保険に加入していたおかげで進学先の選択肢が狭まらずに済んだのが、不幸中の幸いでしたね。

  3. 住まいの費用について
    「リフォームについては考えていない」とのことですが、お住まいは築15年を越えているので本来はリフォームが必要な時期に差し掛かっています。見栄えを良くする為ではなく、住まいを長持ちさせ資産価値を守るためのリフォームの時期です。リフォームについてどのように考えているか、費用はどうしていくかを一度義父母様とご相談なさってはいかがでしょうか。

    今後は5〜10年ごとにリフォームが必要になってきます。義父母様の介護ということになればバリアフリーのリフォームも必要になるでしょう。またケガなどをきっかけに要介護状態にならないよう「予防的」にバリアフリーのリフォームをする方も最近ではたくさんいらっしゃいます(例:転倒防止に階段や浴室に手すりを設置するなど)。

  4. ご自分の生活やライフプランも大切に
    お子さんには毎月おこづかいをあげているのに、ご自身の分の予算立てがありません。また「大学に進学するなら奨学金を取ってもらう」という一方で、「3500万円は子供たちのために使いたい」とお考えになっているなど、ライププランや収支にアンバランスな点が見受けられます。まずはご自身の生活をもっと大切に考え、ご自分の「こづかい」を予算立てしましょう。「将来のために」少しでも貯蓄を増やしたいお気持ちはよくわかりますが、お子様方のためにも「明るく元気な笑顔」の杉浦さんでいるための出費は「必要経費なのでは?」と思いますがいかがでしょうか。
今後の資産運用について

資産運用の経験がない杉浦さんは、まず預貯金中心で預け分けを考えていきます。1つの銀行での預金を1000万円以内にしておけば、万が一そこが経営破たんしても預金保険で保護されるので、無理してお子様の名義に預金を分散する必要はありません。奥様が相続したお金をお子様の預金に移すと「贈与税」がかかりますので注意が必要です。

次に長期的な運用についてですが、預貯金中心の資産運用では、今後インフレになったらお金の価値が目減りして、生活が厳しくなる可能性が大です。でも「いつ、どの程度」のインフレになるかは誰にも予測できないのも事実。そこで今杉浦さんができることは、(1)できるだけ長く収入を得る、(2)支出を抑える、(3)インフレに負けない資産運用―の3点だと思います。

この不況下、今から正社員としての再就職は非常に難しいと思いますので、できるだけ長くパートを頑張ってください。並行して資格の取得や勉強などにチャレンジし「より良い条件or正社員での再就職」あるいは「定年後の再就職」も視野に入れたライフプランを考えてみてはいかがでしょうか。

支出については、月ベースでは節約できる部分はないと思います。長期的には、お子様方の進学が計画通りに運べば、結婚の援助は必要ないと思います。また義父母様の老後のお世話に使えるお金は200〜300万円までと考えましょう(リフォーム費用の分担は別枠として考えた場合)。それ以上の経済的サポートは母子家庭の杉浦さんには無理です。それ以上の負担が必要なら「今の時点で別居して、経済的にお互いに自立」という道も検討する必要があるかと思います。でも義父母様は経済的サポートより「支えあって暮らしていきたい」というスタンスなのではとお見受けしていますがいかがでしょうか?

一方「インフレに負けない資産運用」をしていくためには「収益性を重視」した商品への投資が必要ですが、収益性が高いということはリスクも伴います。できればまずは100万円で投資の勉強を始めてはいかがでしょうか。ここ1年で株が5割以上値上がりし、長期金利も3年半ぶりの高水準になるなど、インフレも視野に入れた運用がより必要な状況となってきました。別表で杉浦さんの運用プラン例を考えてみました。ご参考になれば幸いです。

チェック! <表1>遺産(3500万円)をどう活用する?→運用例

チェック! <表2>100万円で運用の練習にチャレンジ!→運用例



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