節約・ライフプラン

節約・ライフプラン


シングルマザーですが、自分ひとりの力で子どもを育てつつ、
マイホームを買うことは可能でしょうか



畠中 雅子先生
(はたなか まさこ)
プロフィール


家計費は切り詰められているので、節約効果は期待できない

子どもの成長に合わせて増えてしまう生活コストを増やさない工夫が大切

マイホーム購入は、実現させたいなら2000万円以下の物件が候補になる

教育資金プランは奨学金を借りることを前提に立てて、お子さんたちにも協力を仰ごう

三井澄香さん(仮名)のご相談

離婚して、女手ひとつで子どもを育てています。子どもは現在、長男・次男とも幼稚園に通っています。毎月の収支は赤字すれすれ。節約があまり上手くないので、どこかきりつめられるところがあるのかもしれません。少しでも節約して、貯金を増やしたいと思っていますので、節約できそうな費目があれば、教えてください。

それから、今の家計では無理があるのかもしれませんが、家を買いたいという夢を持っています。貯蓄をがんばって増やして、賃貸ではなく持ち家が持てるようになるのが目標ですが、それは高望みなことでしょうか? また教育の考え方としては、高校まではできれば県立で、大学は本人が望むならば私立でも仕方がないかと思っています。大学進学を前提に考えていますが、それも家計的には難しいでしょうか。

いずれにしても今の生活は、養育費を貰えていることが前提の生活なので、キチンと養育費をもらえてる今のうちに少しでも貯金を増やしたいと思っています。具体的にはどの費目をどのようにしたら良いのかなど、やりくりアドバイスをお願いします。

家計の内訳

【収 入】
 
給与(手取り) 150,000円くらい 
養育費
(2人分)
100,000円 


【ボーナスなど】
 
ボーナス(年間) 200,000円 
ボーナス時の養育費増額分(年間) 200,000円 


【年単位の支出】
 
自動車保険料 200,000円 
レジャー費 200,000円 
貯蓄 80,000円 
その他の支出 30,000円 


【貯蓄額】 2,100,000円 







1ヶ月の出費
 
住居費 (家賃・住宅ローン返済)
67,000円(一戸建てタイプの
3DKのアパート)
管理費等 1,500円 
駐車場代 家賃込み 
教育費 今年の3月までは2人分で 
70,180円 
車ローン 66,667円 
水道光熱費 水道2,500円 
ガス7,000円 
電気3,500円 
電話代 固定電話 5,000円 
携帯電話はなし 
食費 20,000円 
教養娯楽費 5,000円 
日用雑貨
被服費
15,000円 
雑費
(ガソリン代、医療費 )
25,000円 
保険料 私・生命保険13,816円 
次男・学資保険14,112円 
※長男の分は祖父母が払ってくれている 
積立貯蓄 0円 
支出合計  249,608円 

家計は節約を目指すより、どこまで現状維持できるかが課題
マイホームを買うなら物件の予算は2000万円以下が順当

生活費をこれ以上切り詰めるのは難しい

三井さんご自身も感じていらっしゃる通り、モトのご主人からの養育費が払われ続けることが前提となって、現在の生活が成り立っています。お子さん二人が幼稚園に通われているなど、子ども費が節約しづらい時期ではありますが、ギリギリの生活で、貯蓄にまで手が回っていない様子がうかがえる家計です。 そんな中で三井さんは、家計のやりくりがうまくないと感じられているようですが、家計費はかなり切り詰められているのが現実。

自分の意思でやりくりができる食費や教養娯楽費、日用雑貨・被服費などについては、これ以上の節約効果は望みにくいと思います。ご自分では節約下手だと思われているかもしれませんが、かなり頑張っていると思いますよ。そのため、今より節約をして貯蓄を増やすことを考えるよりも、お子さんが成長しても現在より生活コストが上がらないようにやりくりすることのほうが重要だと思います。子ども費は成長とともに増えるという特徴がありますし、たとえばお子さんたちが成長して小学校高学年くらいになると、食欲も旺盛になって、食費を抑えるのも難しくなるからです。

ただ、お子さん二人が幼稚園とはいえ、ひと月の負担が7万円を超えているのは収入からいうと多すぎます。幼稚園の月謝のほかに、習い事代などの出費も含まれているのかもしれませんが、今は貯蓄を優先させることが大切な時期。お子さんが小学生のときくらいしか貯め時が残されていないので、できれば習い事代にかけるお金を抑えて、その分は貯蓄に回しておきたいもの。7万円を超える子ども費コストが、貯蓄ができない最大の原因になっているのは、お金の流れのバランスが悪いと思います。


1500〜1800万円くらいが適正予算

ところで、三井さんが希望されているマイホームの取得についてですが、三井さんだけの現在の年収で、住宅ローンの申し込みをするのは少しばかり厳しいと思われます。住宅ローンの借り入れをするには、年収の最低ラインが250万円以上とか300万円以上といった、収入の基準が設けられているからです。この最低ラインは、金融機関によってまちまちです。 三井さんが、すべての金融機関で住宅ローンを借り入れられないわけではありませんが、マイホーム購入を本気で考えるなら、まずは住宅ローンを貸してくれる金融機関を探してみることも必要でしょう。実際に金融機関に足を運ぶと、家を買いたい気持ちがどの程度のものなのか、自分の気持ちと向き合えるようにもなるはずです。

ただし、実際に住宅ローンを貸してくれる金融機関が見つかったとしても、たとえばひと月の返済額を7万円として、金利3%、30年返済の場合、借り入れ可能額は1460万円にしかなりません。返済期間を35年に引き延ばしたとしても、1810万円です。三井さんが望む物件価格に届かないのではないでしょうか。

現在の貯蓄額である210万円は、諸経費や引越し代などで消えるでしょうから、頭金としてはほとんど使えないはず。現在の家計からは、ボーナス時の8万円以外は貯蓄がほとんどできていないため、今よりも頭金が増えることを期待するのも難しいもの。そのような現実を踏まえた上でもマイホームが欲しいという気持ちが強いのであれば、1500万円から1800万円程度、高くても2000万円程度の予算で購入できる物件を探し、その物件に対してローンを貸してくれる金融機関を見つけることが必要になります。


教育プランは今のうちから練っておこう

最後は、お子さん二人の教育費に触れておきましょう。お二人ともこども保険に入られているので(満期保険金額はわかりませんが、月払い保険料から想像するところ)、入学時期に必要な資金はこども保険でまかなえると思います。三井さんのように、入学時の費用をまかなえるようにこども保険に加入するのはとても大切なこと。高校3年生のときには塾代などの費用がかなりかかり、貯蓄が減りやすいので、入学時の費用を別枠で準備しておけるのは、精神的にも安心できるからです

ただし、問題になるのは入学後の費用。現在は国公立大学に通っても、年間70〜80万円程度はかかりますし、私立なら、年間120〜150万円程度の出費は覚悟したほうが良いでしょう。現在の三井さんの家計では、大学時代にかかるお金を捻出するのはかなり困難だと思われます。

そこで、大学進学に進学した際、こども保険からの保険金で足りない部分は、奨学金を借りることを前提にした教育資金プランを立てたほうが良いでしょう。お子さんが大学進学の意思を見せ始めたら、お子さん自身も家計のことを心配しているかもしれませんので、奨学金を借りて欲しいということを、早めに伝えておくことをおすすめします。その際、入学時期の費用は、こども保険で準備できていることなど、お子さんを安心させてあげられる言葉も添えることを忘れないように伝えてあげましょう。



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