節約・ライフプラン

節約・ライフプラン

節約とやりくり
内田さん顔写真 FP:内田ふみ子

家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。
ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。


■ご相談者
相談者(仮名)
戸田知世子さん
29歳、主婦。32歳のご主人と2人暮らし。今月出産予定。
出産のため退職、夫だけの収入で暮らすようになって2か月。出産後の子どもにかかる費用、将来の住宅取得に向けて貯蓄を計画的に配分したいのですが
出産を控え退職して2か月になります。夫の収入だけでやりくりすることに不安もあり、家計についても把握しつつある、という状況です。それまでは、夫が家計に20万、私が10万円、その中から平均10万円程度貯蓄していました。将来家を購入したいのですが、出産後は子どもの育児にもお金がかかり、貯蓄もこれからはわずかになりそうなので、在職中の貯金を上手に利用できないか考えています。住宅以外にも子どものためや自分の老後にも残しておいた方がよいのでしょうか。
なお、ハローワークで、出産後に求職活動を始めるときは失業手当が受けられるよう、手続きは取っています。


・家計状況
 平均的な月収(税金・社会保険料を除いた可処分所得)
 月収 280,000 円
 月間支出
 家賃 85,000 円
 駐車場代 15,000 円
 水道光熱費 20,000 円
 電話代(携帯含む) 6,600 円
 食費 27,000 円
 教養・娯楽費 15,000 円
 日用雑貨・被服費 15,000 円
 夫の小遣い 50,000 円
 保険料 18,000 円
 積立貯蓄(予定) 10,000 円
 その他の貯蓄(予定) 18,400 円

 ボーナス(年間)
 収入 1,400,000 円
 支出 未定
 貯蓄残高
 預貯金(夫) 5,000,000 円
 預貯金(妻) 6,000,000 円
 <<希望・予定>>
  • 住宅取得希望。時期は未定だがなるべく早いうちにほしい。夫は2000万円台で中古一戸建て、妻は都内を希望。
  • 子どもはもうひとりほしい。
  • 夫はこづかい月額5万円を希望。
 <<住居>>
  • 賃貸
■アドバイス
退職と出産で収入も生活も一変。まずは家計に合わせた生活ペースをつかみましょう。住宅購入は貯蓄計画ができてから。

共働き時期は互いの収入を気にせず、自分の自由になるお金も結構あったはず。でもこれからは、限られたなかで暮らしていかなければなりません。それをストレスとして溜めこまないよう夫婦で家計を確認して、家計に合わせた生活ペースをつかんでいってください。
出産後はオムツやミルク、着替えといった育児支出が増えるうえに、将来の教育資金の準備も始める必要があります。
貯蓄が出来ないようであれば住宅ローンを抱えるのはすすめられません。まず激変した家計を把握して貯蓄計画を立てましょう。

教育資金と住宅購入計画を立ててみましょう。

教育資金は毎月2万、または月1万円+ボーナスから10万円、で大学の進学資金として約400万円を目標にします。
月収から考えると、月1万とボーナス10万円、それからお祝い金などを教育資金として積み立てていく方が合っているでしょう。

2000万円台といっても幅があるので、住宅は3000万円の物件で、頭金600万円、諸経費は300万円を自己資金として準備、2400万円をローンとした場合、仮に返済期間25年、固定金利4%とすると、返済月額は約12万7000円。現在の家賃と駐車場代は10万円で、これ以上月収から住居費を捻出するのは難しそう。他に毎年の固定資産税等の負担や、中古であれば将来の修繕や建替えにも充分備えなければなりません。

現在貯蓄残高が夫婦で1100万円ですから、900万円使ってしまうと200万円しか残りません。同じ条件で借入額が2000万円なら返済月額は約10万6000円。住宅購入には、もっと自己資金を貯めてから臨んだほうがよさそうです。今後はボーナスからどの程度貯蓄に回せるかが鍵になるでしょう。

出産後は、出産育児一時金や児童手当などの受給手続きを早めに取りましょう。

戸田様の場合ですと退職後6ヶ月以内の出産ですので、出産育児一時金と出産手当金を受給することができます。
もし受給条件を満たしていないとき、ご主人が健康保険の被保険者なら、家族出産育児一時金を受け取ることができます。
また所得制限がありますが、就学前の子ども1人で月5000円支給される児童手当も、最寄りの市町村役場で申請できます。これは手続きが遅れると遡っては支給されないため、早めに申請してください。

健康保険 出産育児一時金(政府管掌保険の場合子ども1人当り30万円)
出産手当金
本人が退職の翌日から6か月以内に出産
退職まで1年間継続して健康保険に加入等
家族出産育児一時金(政府管掌保険の場合子ども1人当り30万円) 夫が健康保険の被保険者等
※出産育児一時金と両方は受取れない
児童手当 就学前(6才の年度末まで)の子どもの養育者に支給
1人目   月額5000円
2人目   月額5000円
3人目以降 月額10000円
所得制限有り
詳細についてはそれぞれ、勤務先や行政の窓口で確認してください。

出産後、貯蓄や失業手当を利用して、保育環境など可能であれば再就労も検討しましょう。

よほど親からの贈与や相続の予定があるといった場合でなければ、再就労についても考えていきましょう。
退職後に基本手当(いわゆる失業手当)の延長申請をされたとのこと。原則として基本手当の受給期間は退職の翌日から1年間ですが、病気や妊娠・出産・育児で仕事に就けない場合は、申請手続きを取って最長4年まで延長することができます。(詳細は最寄りのハローワークにお尋ねください)。
退職後30日経過してから1月以内に手続きを取らなければならないため、就労したい気持ちがあっても出産では受給できないと思い込んで、手続きをしない方も多いのです。子どもが小さい場合、就職活動中も保育料が負担になるので、基本手当が受給できれば助かるはず。
今ある貯蓄も、自己投資に活用して、収入増加に結びつけることが可能です。
現在の家計では2人目のお子さんができた場合、教育資金の準備などに不安があるため、収入が思うように増えないうちは、知世子さんの貯蓄はできるだけ残しておいた方が安心といえるでしょう。




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