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家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。 ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。 |
■ご相談者 |
・家計状況
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■アドバイス |
![]() 本来なら子育てもあと少し、と一息ついている頃。でも社会に出る前に超えなければならない山があるようです。せっかく将来の希望があるのに、このまま金銭管理ができなければ、夢も叶えられないかもしれません。 親が関わるのもこれが最後のチャンスになるでしょう。しかし、もう息子さんも18歳。親自身が限界と思ったら、失敗しても若ければやり直せると考え、支えるのを止めて社会に出す覚悟も必要です。 ![]() 入学当初はまず学校に慣れ、5月ぐらいからアルバイトをはじめる学生が多いようです。ですからお給料が入る6月ぐらいまではある程度の仕送りはやむをえないでしょう。 でも、自宅外通学の学生の仕送りは平均すると月10万円前後です。学校に納める学費を除いて、ここから家賃や生活費をやりくりしています。 都市部では物価が高いといっても、学生で何とか10万円程度で暮らせないと、社会に出たとき生活ができません。というのも、新卒の社会人の初任給はもっとも水準の高い東京でも次の通りで、ここから10数%程度、税金や社会保険料が引かれるからです。
初任給では、家賃を払って一人暮らしがやっとできる程度なのです。 社会人の方が仕事のためのスーツ代や勉強代等、支出も多くなることを考えると、学生で仕送り10万円は決して少なすぎる金額ではないでしょう。足りなければアルバイトをするという選択もあります。 月15万円で暮らしていた学生が社会人になって一人暮らしをすると、自由に使えるお金が少なくなり、我慢できなければ当面の手取りの多いフリーターを選んだり、クレジットやローンに頼ってしまう可能性もあります。 ですから、まずは15万円を10万円に減らし、アルバイトの時間が取れる夏休みは半分の5万円にして、当初の約束に近づけるようにします。 もしここで減らせなければ、来年の専門学校の学費が払えない、そういう家計の事情はきちんと伝えて下さい。これで本人が気がつかなければ、このままでは2年後にもし卒業できたとしても、経済的に親を頼ることになりかねないからです。仕送りのために赤字が続けば、下の子の私立中学受験は諦めざるをえない家計状態です。それでは下の子が気の毒です。ご長男には、本当に学校で学びたいのかどうか意思を確認し、中途半端な気持ちであれば、辞めさせる勇気も必要です。 ![]() 学費や生活費が足りないときは、奨学金や教育ローンの利用も考えられます。しかし、金銭管理ができていない状態で奨学金を借りても、将来返済するのは結局親になってしまうでしょう。 もし、学びたい意思が確認できて仕送りとアルバイトで頑張る気持ちになったら、家計簿を付けさせてみてください。たった1か月でも構いません。そのかわり、レシートや領収証は保管し、きちんと付けさせてください。 記録することで、本人が自分の消費行動を省みるきっかけができると思います。まず本人がその気にならなければ、金銭管理ができるようになるのは難しいでしょう。 金銭管理のできるできないは、能力というより、もともとの性格が影響しているように思います。仕事ができてお給料が高い人でも、金銭管理が苦手な人は少なくありません。 もともと苦手な人は、お財布に入れるお金をできるだけ少なく、管理する期間を月単位から週単位へ短くするとうまくいくようです。 ご長男の場合は、10万円から、必要な固定費である家賃や光熱費、通学定期代を除いた額を4等分し、週単位で振り込みます。固定費は口座引き落としにできるものはして、なるべく引き落とし日の近くで振り込みます。 手間はかかりますが、始めは管理しなければならない単位を小さくすることで、高校生のお小遣いレベルの管理で済みます。いつもお財布の残高を気にしなければなりませんが、それがアルバイトの動機になればよいでしょう。 ただ、この方法が必ず上手く行くという保証はありません。まず本人が、今自分が一所懸命になるべきことに気づく必要があります。子どものときから将来なりたい職業がはっきりしているのは幸いです。その希望を叶えるためには今何をしなければならないか見失わないように、また好きなことならサボらないように見守ってあげてください。 |
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