第2回:あなたは投資に向いているタイプ?向かないタイプ?


前回、実はお金(1万円札)は日銀の借用証書で、その日銀の資産は国債であることを検証しました。つまり、大好きな1万円札は国債の信用で成り立ち、国債の価値が暴落すれば1万円札も預貯金も暴落してしまいます。

皆様は知らず知らずの内に国の借金を抱え込んでいます。ここに、約50兆円しか税収がないこの国が毎年約100兆も使える秘密が隠れています。
日本政府の借金は、殆ど国内で消費され、海外からの借金は少なく、逆に海外には対外債権(貸付)が300兆円があるから大丈夫という声も聞かれますが、円安と経常収支の悪化でその二つは急激に減っています。これからも、永遠に大丈夫とは誰にも言えません。もし対策を打つとしたら、まだ円が高く経常収支が黒の今のうちではないでしょうか?

上記の事を考えると個人にも国債以外の運用として分散投資が必要と言う事になります。
では、貴方は投資に向いているタイプでしょうか?下記で確認してみてください。

 円安と経常収支の悪化でその二つは急激に減っています。これからも永遠に大丈夫とは誰にも言えません。もし対策を打つとしたら、まだ円が高く経常収支が黒の今のうちではないでしょうか?

貴方は投資に向いているタイプでしょうか?

あなたが株を買ったとします。
しばらくすると、少し下がって来ましたあなたはどうしますか?

A「すぐに売る」B「上がるのを期待して待つ」あなたの選択は『    』

上るか下るか五分五分ならば結果も五分五分になると思うのですが多くの方は「B」を選びます。つまり売りません。何故でしょう?実はここで売ってしまうと損が確定するからです。自らの損の確定は人は嫌います。人は現実からの逃避として売りません(実はうち奥様は特にこの傾向が強いようです)。人は少しの損でも自ら確定するのはとても嫌い、不確実な未来へ逃げようとします。「もう少し我慢していたら上がるかもしれない」という根拠のない期待を持ちます。持ち続けてもっと下がってしまったら、損が膨らんでいますから、ますます売る気にはなれません。これが個人投資家に塩漬け株が多い原因です。

逆に買った株が少し上がったら、あなたは?どうしますか?

C「もっと上がると期待して待つ」D「下がったらどうしようと不安になり売る」あなたの選択は『    』

多くの方は損をするのがとても嫌いですから、損に反応してDを選択して売ってしまいます。株が値上がりしているのに不安になり、少しの利ザヤでもいいから売って、利益を確定しようとします。

では、株ではなくもう少しわかりやすい質問をします。
下記の例では、あなたはどちらを選択するでしょうか?

E「100万円が確実に手に入る」F「コインを投げて表なら200万、裏なら0円」あなたの選択は『    』

この質問をした場合、ほとんどの人間は例外なくEを選びます。1円も貰えないよりは、堅実に100万円を貰っておくほうが良いとい考えるのです。

では、今度は頭を切り替えて貴方には200万円の借金があるとして、
もう1度下記の質問に答えてみてください。

G「100万円が確実に手に入る」H「コインを投げて表なら200万、裏なら0円」あなたの選択は『    』

Gなら確実に借金を100万円まで減らすことができるので、ある意味こちらが堅実とも言えますが、借金(損)がある場合にはギャンブル性の強い賭けをしたくなります。
Gの場合は2分の1しか借金が減らない。Hでコインが表ならすべての借金が返せる。
つまり、ほとんどの場合人は賭けに出て、Hのギャンブル性の高い方を選択してしまいます。

人間は利益よりも損失に敏感に反応して大金を掛けてしまう

このことから人間の性質は、利益を前にすれば確実に取れる利益を取る、損失を前にすればその全てを回避しようとする。
ギャンブルで負けている人は一気に多くの金額をつぎ込んだりしますが、結局彼らは借金そのものを回避したいと思っているので、その結果大量のお金を失ってしまうような状況になっているのです。

人間は利益よりも損失に敏感に反応して大金を掛けてしまいます。

人はいつも合理的な判断で動いているとは限らず、時に非合理的に選択をしがちな生き物です。これは簡単に言うと「損した金額ともうかった金額が同じなら、損した悔しさの方がもうかった嬉しさの2倍以上大きい」というもので、人は損に異常反応するという行動経済学の中心となる理論の一つです。
人は損に大きく反応する事をここでは覚えてください。その前提に立てば、経済行動の一つである投資がうまくいかない理由やパターンがわかります。こうした人間の心理を理論的に研究した学問が「行動経済学」と言われ、今回の例は「プロスペクト理論」という考え方です。

今回のことで伝えたかったのは、普通の人は短期の投資で売り買いする株式の回転売買やFXには向いていないと言う事です。
ですから、我々チームMではFXや単位株式での回転売買は勧めていません。

あなたがB・D・E・Hを一つでも選択したならば我々の投資手法が役に立つと思います。
次回以降をご期待下さい。万一、上記でA・C・F・Gをすべてを選ばれた方も我々の投資手法でより深く投資を極める為にご活用いただければ幸いです。
日本人が得意とする力、コツコツ続ける力を最大限に利用して、プロの投資家にも勝てる方法をこのシリーズでお伝えしていきます。楽しみにしていて下さい!

人間は利益よりも損失に敏感に反応して大金を掛けてしまう

執筆:チームM 代表 松井信夫(ファイナンシャルプランナー)CFP®
株式会社ウィム 代表取締役。NHK文化センターをはじめ、全国各地で年100回以上のセミナーを行う人気ファイナンシャルプランナー。
“プロのノウハウを分かりやすく”をモットーに、ジェスチャーを混じえて説明するセミナーは、笑いあり、涙あり、飽きさせない語りが評判です。
顧問契約のお客様へのコンサルティングでは、リーマンショック、ギリシャショックなど数々の金融危機の中でも、お客様の資産を増やし続けてきた実績が有名。
著書に、『金融時事用語辞典』(共著、金融ジャーナル刊)、『銀行では絶対に 聞けない資産運用の話』(書肆侃侃房刊)がある。
チームMの本部は銀座6丁目の株式会社ウイム内にあり、毎月全国からFPや金融関係者が知識向上、スキルアップ等の為に集まり、相互研鑽を行っています。