日本には何台ぐらいの車があるか知っていますか?バスやトラックも合わせると、なんと車は約7,500万台もの登録があります。日本の人口が1億2千万人ですから、単純計算をしても2人に1人以上は車を持っている計算になります。昔は1家に1台と言われたのが、最近では1人に1台という家庭も珍しくなくなってきました。都市部であれば、電車やバスなどの交通手段が発達していますが、都市部を離れると車なしでは生活ができないところもあり、まさに日本では車が重要な役割を果たしています。
しかしながら、車がこれだけあれば事故も当然多くなります。ちょっとした不注意で膨大なお金を支払わなければならなくなるかもしれません。万が一に備えるためには自動車保険に加入しておくことが重要になってきます。そこで今回は、自動車保険について考えてみたいと思います。
目次
自動車保険には強制加入と任意加入の2つの保険がある
自動車保険は、強制的に加入しなければならない保険と、任意で加入する保険の2種類があります。車を持っている人が強制的に加入させられる保険を「自賠責保険」と言います。こちらは、定期的に検査を受ける「車検」のときに支払うもので、車の大きさや地域などに応じて決められています。以下が国からの補償額の限度額になります。
死亡 | 3,000万円以内 |
傷害事故 | 120万円 |
後遺障害 | 等級に応じて75~4,000万円 |
しかしながら、実際は人が死亡・ケガをしたときの補償であり、物を壊したときや自分の車が壊れたときの補償は、自賠責保険では払ってもらえません。また、金額も3000万円では足りない場合も多いのが実情です。
そこで、自賠責保険ではカバーしきれないときのための自動車保険があります。これを任意保険といいます。任意保険は、加入するかしないかは自由です。しかし、任意保険に加入しておかないと、自分ではとても支払うことができないような額を一生かけて支払い続けなければならないかもしれません。そういった意味では、任意保険は義務ではありませんが、基本的には加入する必要があります。
事故を起こすとどれくらいのお金がかかるの?
では事故を起こすと、どれくらいのお金がかかることになるのでしょうか。
これは、どんな事故かによってかかるお金が変わってきます。まず、車をぶつけてしまった場合は、修理するお金が必要になります。この場合、損傷の大きさや修理方法によっても変わってきます。安ければ数万円、損傷が大きければ100万円を超える場合もありますが、だいたい数十万円で済む場合がほとんどです。
それに対して、人にケガをさせてしまったり、あるいは死亡させてしまったりするととても大きなお金がかかる可能性が高くなります。例えば死亡事故をおこしてしまった場合には、1億円を超える金額を遺族に支払わなければならないかもしれません。
また、モノを壊してしまった場合もケースによっては大きな額が必要になります。例えば、ガードレールに車をぶつけてしまった場合は、そのガードレールの修理代を払わなければならず、ガードレール1枚(4メートル)あたり、10~15万円ぐらいかかります。電柱だと1本50~100万円。店舗やビルなどに誤って突っ込んでしまった場合などでもやはり、1億円を超える補償額を求められるケースもあるのです。このように、モノを壊してしまった場合にもものすごく大きなお金がかかる場合があります。
任意保険はどこまでカバーしてくれるの?
では、任意保険はどこまでカバーをしてくれるものなのでしょうか。
まず、任意保険の補償内容は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 相手に対する賠償保険
- 自分や一緒に乗っていた人に対する保険
- 自分の車に対する保険
1.相手に対する賠償責任
賠償保険には大きくわけて「人」と「物」の2つに対する賠償があります。
ケガや死亡を「人」にさせてしまった場合に支払われる賠償を対人賠償保険といいます。それに対して、ガードレールや電柱、ビルなど「物」を破損してしまった場合の保険を対物賠償保険といいます。この2つの賠償保険については、さきほども説明したように、場合によっては1億円を超えるような補償をしなければなりません。
そのため、支払われる保険金の限度額は「対人・対物」ともに無制限のものを選んでおいた方が安心でしょう。
2.自分や一緒に乗っていた人に対する保険
この保険は、一緒に乗っていた人がケガや死亡をしてしまったときに補償されるものです。例えば、自分が運転操作を誤って崖から落ちた場合などは、自賠責保険では支払われないので、「自損事故保険」というもので支払ってもらえます。このほかに、一緒に乗っていた人が事故でケガや入院をした場合には、例えば「入院1日15,000円、通院10,000円」というように、治療費をもらうことができます。これを「搭乗者傷害保険」といいます。この他に、相手の人が保険に加入していなかったときに払われる「無保険者傷害保険」というものもあります。
3.自分の車に対する保険
自分の車に対する保険を「車両保険」といいます。この保険は、自分の車を修理するためのものです。
補償額も通常はせいぜい数十万円程度のことが多く、上の1、2に比べて、保険に入っていなくても「一生懸命働けば返せるお金」なので、保険料を安くするために、車両保険には入らないという人もいます。
保険はみんな同じ値段なの?
では、保険に入るために支払うお金(保険料といいます)は、みんな同じ値段なのでしょうか。それとも違うのでしょうか。
自動車保険の場合、「自動車等級制度」というものが導入されています。
1~20等級まであり、保険を継続して契約している場合は、4等級を境に、1~3等級までは60~20%の割増、5~20までは10~60%割引になります。
初めて保険に加入する場合は、6等級から始まり、1年間無事故だと等級が1つあがって7F等級となり、保険料は20%割引になります。反対に、事故を起こし保険の適用を受けると1件につき3等級下がり、翌年は3等級のため20%割増になってしまいます。
つまり、等級の数が多ければ多いほど事故を起こす確率が低いので保険料を割引してくれます。それに対して、等級の数が小さい人は、事故を起こす確率が高いので、保険料は割り増しになるのです。例えば、4等級の人と18等級の人を比較すると、同じ条件で4等級の人が10万円の保険料を毎年支払っていた場合、18等級の人は60%引きですので4万円で済みます。また、8等級つまり30%引きの保険料である7万円を払っていた人が2回事故を起こして保険の適用を受けた場合、次の年は6等級下がるので、2等級つまり30%増しとなり、同じ条件であれば保険料が年間13万円になります。
このほかにも、「年齢」や「運転歴」、「1年間の走行距離」や、あるいは「ABS(アンチロックブレーキシステム)」や「エアバック」などの安全装置があるかどうかで割引を適用するなど、様々な料金プランがあります。
ユニークな保険が続々と登場
また、プランが豊富なのは料金だけではありません。最近では、自動車保険はさまざまなサービスが受けられるようになりました。
例えば、運転中にバッテリーが上がってしまったり、あるいは壊れてしまって走れなくなったときのためにレッカー車で移動するためのお金を負担してくれる保険や、他の車にぶつけてしまったときに、弁護士が示談交渉をしてくれるようなサービスもあります。
最近はインターネットで複数の保険会社から見積もりを取ることができたり、その保険を比較して一番安い保険会社を選べるようなサイトも登場しています。
最後に、事故を実際に起こしたときにいかに素早く、そして親切に対応してくれるかはとても重要なポイントです。価格だけでなく、安心して任せることのできる保険会社を選びたいものです。
一級ファイナンシャルプランナー・CFPR、日本キャリア開発協会認定キャリアカウンセラー、日本応用カウンセリング審議会認定心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。