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原 美咲さん(仮名 31歳 会社員)のご相談
結婚を機に、家族に迷惑をかけないよう医療保険の加入を検討しています。調べてみると、いろいろな保険があり、迷っています。保険料が掛け捨てとなっているものと戻ってくるものがあるようですが、それぞれのメリットとデメリットを理解しておきたいと思います。その上でどちらがお勧めでしょうか?
原 美咲さん プロフィール
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今後、家計状況が変わる可能性が高いので、見直しやすい掛け捨て型をお勧めします

1.医療保険には、掛け捨て型と貯蓄型があります
独身の間は、生命保険についてあまり考えることはなかったことと思います。ご結婚を機に初めて保険への加入を検討され、いろいろな保険商品があるために迷われているのですね。ご指摘のように、医療保険には、掛け捨て型と貯蓄型があります。どちらがよいか悩んでおられるとのことですので、この点についてメリットとデメリットを整理しながら比較、検討してみましょう。
医療保険は、入院や手術などの際に給付金が出る保険です。一度にまとめて保険料を払うタイプもありますが、多くは加入したら毎月保険料を支払っていき、いざという時に備えます。その保険料の扱いで、主に2つの形式に分かれます。
1つは、保険料掛け捨て型です。満期金や解約返戻金などはなく、入院や手術の給付金以外ではお金が支払われることがありません。入院や手術などがないと、得られるものはなく、毎月支払った保険料は〝掛け捨て〟となります。その代わり、保険料が安く設定されています。
保険期間で分類すると、「定期保険タイプ」と「終身保険タイプ」に分かれます。定期保険タイプは、保険期間が5年、10年などとなっており、そのたびに更新することになります。保険料は、若いうちはかなり安いのですが、更新のたびに上昇していきます。「終身保険タイプ」は、保障が一生涯続くようになっています。加入時の保険料が生涯続くのが特徴です。若い間の保険料は「定期保険タイプ」よりは若干高いのですが、それでも高齢になっても保険料が変わらないので、長く加入しているとお得になります。
いずれも、健康祝金などが出るような特約を付けることもできます。そうすると、掛け捨てではなくなりますが、その分保険料は高くなります。
もう1つの形式は貯蓄型です。加入後、一定の期間が経過すると、健康祝金や還付給付金などを受け取ることができる保険です。入院や手術など、給付金が出る機会がなかったとしても、保険料のすべてが掛け捨てとなるわけではありません。その受け取り方には、3つのタイプがあります。
- ① 健康祝金タイプ:5年、10年など一定の期間に給付金の支給がなかった場合に、5~20万円程度の健康祝金が出ます。毎月保険料を払っているのに、まったく何も受け取れないという掛け捨てがありません。
- ② リターンタイプ:60歳や70歳など、一定の時期になると、給付金として支払われた分を除いて、今までに支払った保険料が戻ってきます。保険はその後も続き、それ以降の分は掛け捨てとなります。
- ③ 解約返戻金タイプ:保険を解約すると、解約返戻金を受け取れます。最近はあまり扱われていません。
2.掛け捨て型のメリットとデメリット
掛け捨て型、貯蓄型、それぞれのメリットとデメリットを見ていきます。
まず、掛け捨て型のメリットですが、第一に挙げられるのは、保険料が安いことです。貯蓄型の場合、保険会社は健康祝金や還付給付金を確保しておく必要がありますが、掛け捨ての場合はその必要がないためです。特に終身保険タイプの場合は、生涯にわたって加入時の安い保険料が続くので、魅力があります。
2つ目のメリットは、保険の見直しがしやすい点です。保険料のことを考えると、できるだけ長く続けた方がよいのですが、保険料の支払いが難しくなった、保障の内容を見直したいということもあるでしょう。掛け捨て型は、戻ってくるものがないので、ペナルティなくいつでも解約をすることができます。
3つ目として、商品数が多いことが挙げられます。医療保険の多くは掛け捨て型です。保険各社から多くの保険商品が販売されています。いろいろなものの中から、自分に合った保険を選ぶことができます。
一方、掛け捨て型のデメリットとしては、給付金を受けない場合に、何も手元に戻らないという点が挙げられます。入院や手術がなければ、受けるサービスがなく、ただ保険料を払い続けただけになりますので、損をしたような気分にもなってしまいます。毎月の保険料で安心を得ているのだという認識が必要になります。
3.貯蓄型のメリットとデメリット
貯蓄型のメリットはどうでしょう。掛け捨て型の逆ですが、必ず何らかの給付を受け取ることができるという点があります。入院や手術がなくても給付を受けることができ、健康であったことを素直に喜ぶことができます。普段の生活においても、健康祝金を目標に、健康的な生活習慣を送る励みになるかもしれません。
さらに、保障を得ながら貯蓄ができる点もメリットです。保険料は口座引き落としで支払っていくのが一般的です。保険に加入すると同時に、積立貯蓄をしていることにもなります。特にリターンタイプでは、その期間が長期になるため、還付給付金としてまとまった金額を受け取れます。
貯蓄型のデメリットは、掛け捨て型に比べて保険料が高い点があります。健康祝金や還付給付金に充当するために、保険料が割高になってしまいます。リターンタイプでは、還付給付金が出た後は掛け捨てとなりますが、加入時の保険料が続きます。60歳や70歳で新規加入をするよりは安いのですが、掛け捨て型に比べると高い保険料が続きます。
中途解約をした場合に不利となることが多いのもデメリットです。一定の時期になると健康祝金や還付給付金が出ますが、その前に解約した場合の解約返戻金は小さくなります。早期の解約だと、払込保険料に比べてかなり小さくなる傾向があります。
4.保険料の安さでは掛け捨て型、貯蓄ができるという点では貯蓄型が魅力です
それぞれのメリット、デメリットを見てきましたが、何をポイントに選べばよいのかを見ていきましょう。まず、保険料を抑えたい場合は掛け捨て型を選ぶとよいでしょう。健康祝金や還付給付金がない分、貯蓄型に比べて掛け捨て型の保険料は割安です。また、今後保険の見直しをする可能性が高い場合も掛け捨て型がよいでしょう。保険料の支払いが難しくなった場合も、掛け捨て型なら時期を選ばずに解約することができます。また、保障内容を見直すために別の保険に入り直すことも、ためらうことなく判断できます。
貯蓄をしていきたい場合、あるいは貯蓄が苦手だという人は、貯蓄型が向いています。毎月口座から保険料が引き落とされていき、知らず知らずのうちに貯蓄ができます。健康祝金は臨時ボーナスとして、還付給付金は老後の備えとして活用ができます。「保険はもったいない」と思っている人も貯蓄型が向いています。健康祝金や満額の還付給付金を受け取ることを目標にすれば、健康に気を付けるモチベーションになることでしょう。
さて、原さまの場合、今回は結婚を機に医療保険への加入を検討されています。将来のために貯蓄を始めるタイミングで、貯蓄型は大変魅力的です。しかし、まだ生活のペースがつかめていませんし、近い将来の出産や子育ても予想され、保険料を負担なく払い続けられるかがまだはっきりしません。家計状況が変わる可能性が高いので、フレキシブルに見直しができる掛け捨て型の保険を中心に検討されてみてはいかがでしょうか。
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