山根 克規先生 (やまね かつのり) プロフィール |
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伊東まゆこさん(仮名)のご相談
夫婦共働きで、生計を立てています。とはいえ収入は主人がメインです。
もし今、主人に万が一のことが起きたら、と考えると不安です。 生命保険に加入もしていますが、万が一のときに果たして十分なのか? 他の方はどのように加入しているのか?とても気になります。
私たちのような一般的な家庭の場合、どのような生命保険に加入すると良いのでしょうか?
伊東まゆこさんのプロフィール |
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死亡と入院の二本立てでシミュレーションし、
高額商品なので複数の見積もり比較も必要
高額商品なので複数の見積もり比較も必要
回答
まず一般的な家庭ということはあまり意識されなくて良いと思いますよ。
同じ職場でも、家計の中身は全く違うといっても過言ではありません。
あなたにはあなたの家庭にふさわしい生命保険の加入をお勧めいたします。
さて生命保険というのは大きく2つの役割があると思って下さい。
1.死亡時、2.入院時、それぞれにおいて経済的に困らないようにするためです。
ですから、賢い生命保険の加入方法はそれぞれの「万が一」を想定して、我が家においては「死亡時」、「入院時」にどれくらいのお金が必要か?を考えることが重要なポイントです。
ではもう少し具体的に考えて見ましょう。
まず「死亡時」ですが、対象者毎に考えます。まずはご主人。
稼ぎ頭であるご主人がもしお亡くなりになった場合(縁起でもないお話でごめんなさいね。生命保険は「もしも」のお話ですので、お許し下さい)、収入が激減しますので、大きな不安ですよね。でも仮定のお話なので、冷静に計算して見ましょう。
ご主人がお亡くなりになった場合に、まずどこに住むのかを考えます。つまりかかる家賃の計算です。多くの場合、実家に帰る、もっと安いところに引っ越すなど、家賃が今より安くなることが考えられます。
そして生活費です。これは現在の支出をもとに、ご主人の支出であるお小遣い、携帯電話、車関連、食費、生命保険などの支出がなくなることも考慮して計算します。
ただしお子さんが独立するまでと、した後では金額は大きく変化しますので、この辺りも考慮に入れて下さい。
さらにお子さんの教育費、ご主人が亡くなった場合に、どのような教育を受けさせたいのか、考えます。ご主人の生死に関わりなく,高い教育を受けさせたい、とか苦労を覚えてもらうなど、各ご家庭で価値観が違ってくるでしょう。
さらに結構忘れがちなのが、自動車関連費用。これは買い替え費用、車検費用、ガソリン、オイル、消耗品、税金、保険、駐車料などを考えて見ます。結構な金額になることがお分かりいただけると思います。
そして耐久消費財にかかる費用も見積もっておきましょう。
また夢をかなえるための費用も必要に応じて計算に入れておきましょう。例えば旅行に行くとか、何か趣味にかかる費用など人生を楽しむための費用は、やはり心にゆとりをもたらしますので、しっかりと計算に入れておくべきでしょう。
最後に死後の整理費用です。葬儀から、各種法要、場合によってはお墓が必要になるかもしれません。
以上のように計算をしてみるとたぶん1億円は優に超えるのではないでしょうか?
この金額を見て驚かれるかもしれませんが、単純に考えて、年間500万円のお金が必要でしたら、30年で1億5000万円となります。生きるということはお金がかかりますね。
しかし、この金額を生命保険で賄うということではありません。
次に準備済み、またはこれから用立てできる金額を計算します。
まずは公的年金です。
年金というと、老後にもらうものといったイメージがありますが、そのほかにも、死亡したとき、障害者となったときに条件が合えば給付されます。
今回の場合、万が一の際には遺族基礎年金、遺族厚生年金が支給されます。細かい計算はここではしませんが、年間150万円程度支給されそうですね。詳しい数字は社会保険事務所などでご相談下さい。
この年金は大きな支えになります。特に会社員の場合金額が手厚くなっています。
それに引き換え自営業の方はかなり少ないことを覚悟して下さい。
また会社から死亡退職金などが出ることも考えられますから、一度しっかりご確認下さい。
次に残ったご家族の収入です。今のお仕事を続ける、もっと収入の高い仕事につく、など無理のない計画をお立て下さい。
それから現在保有する貯蓄や資産ですね。親からの相続予定なども計算に入れられるでしょう。
これらの金額を足し合わせて下さい。
公的年金と、残された奥さんの収入でもかなりの金額になるのではないでしょうか?
以上のように計算して求めた「これからかかる費用」から「準備可能資金」を引いてみて下さい。この金額がご主人にとって必要な死亡保障の金額です。
例えばこれからかかる費用が1億5000万円として、準備可能資金が1億2000万円なら、その差額の3000万円が必要な死亡保障の金額となります。
場合によっては逆転するケースがあります。その場合、早い話、死亡保障は必要ないということになります。
これは残された家族の収入が高い、貯蓄が多いなどの場合によく起きることです。一つの理想でもあります。
これらのプロセスを奥様の場合でも、計算して見ましょう。
続いて「入院時」についてです。
現在の健康保険制度は、現役では全員3割負担ですから、入院しますと1日8000円程度の実費が必要になります。人によっては個室を希望する方もいらっしゃいますから、その場合は5000円から1万円くらい余分に掛かる事になります。
また入院することで仕事ができずに、収入が減るような方は、その補填として1日いくら必要かも考えなくてはいけません。
会社員の場合は、会社からお給料が出ない場合、健康保険から傷病手当が支給されます。ただし給料の6割程度ですので、生活費が不足するようでしたら、やはりその補填する金額は保険で用意しないといけないでしょう。
最近は「1日いくら」ではなく、かかった費用を契約した範囲内で全額保険でカバーするものもあります。これは治療費用の不安はありませんが、一方今までの保険のように、支払った治療費よりもらった保険金額のほうが多い、いわゆる「保険太り」はありませんね。
ですから治療用にこのような保険、生活費補填として1日10000円、などという2本立てでも良いかもしれませんね。
また生活費補填であれば、損害保険会社の取り扱いになりますが、「所得補償保険」というものもあるので、検討してみて下さい。
以上のようにそれぞれのケースに、どれくらいの金額が必要なのかを、しっかりシミュレーションする必要があります。ご自身でも計算することは可能ですが、結構面倒です。
またその後に、どのような保険商品が良いのかを比較検討しないといけませんから、やはりプロの手助けは必要です。
ですので複数の保険会社と契約する保険代理店などをいくつか回って、今回アドバイスさせていただいたような計算をしてもらって下さい。
もしこのような計算をしてくれないような方でしたら、あなたにとってはプラスにならないかもしれませんから、他の信頼できる方を探しましょう。
保険は一生涯に渡って何らか関わるものですから、良い代理店さん選びは大切です。
生命保険は大変高額なお買い物になりますから、慎重に選ばれることをお勧めいたします。