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2008年末で住宅ローン控除が使えなくなると聞きました。
急いで住宅を購入した方がいいでしょうか?
臼井 悦子先生 (うすい えつこ) プロフィール |
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杉田恵さん(仮名)のご相談
今年住宅の購入を考えています。住宅・土地の購入価格は総額4,000万円です。 来年長女が小学校入学ということ、住宅ローン控除が今年2008年いっぱい、35年ローンを組むと60歳で完済できること、今年中に今の社宅を出て行かなくてはいけないという事から、今年中に購入しようかと悩んでいます。社宅はまだ住めるのですが、会社都合で今年中に他の社宅に引越しをしなくてはなりませんし、2009年9月で社宅費用が2万円から4万円にあがります。購入が3年後だと頭金は860万円、今年だと500万円と大きく違うので、購入時期をどちらにしようか悩んでいる所もあります。また、住宅を購入すると遠方に住んでいる夫の母を呼んで同居しなくてはいけません。そのような事があり悩んでいます。
なお、住宅用の貯蓄(住宅財形・積立B)は全て私の貯蓄となっており、私名義または共有名義でないと引き出せないため、住宅は共有名義にするつもりです。共有名義で問題がないでしょうか。
杉田さんのプロフィール 25歳、会社員。25歳、会社員の夫と長女(5歳)、次女(3歳)との4人暮らし。 家計の状況 《現在の所得と収支状況》
●貯蓄・金融資産 残高(円)
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住宅購入の目標は
頭金、諸費用が捻出できる3~4年後に
長く続いてきた住宅ローン控除も今年2008年末の入居まで、来年以降の入居では適用されません。ほかにも、社宅の転居、お子様の小学校入学など、杉田さんにとっては今年、住宅を購入した方がよいと感じられるかもしれませんね。けれど、ここは冷静になって杉田さんの資金計画や、これからの環境の変化を考えてみましょう。外部要因がどうであれ、ご自分の状況が住宅購入に適しているかどうかが、いちばん大切だからです。
頭金、諸費用を自己資金で準備する
杉田さんの貯蓄額は現在419万円。毎月、ボーナス時に一定額をコツコツ貯蓄している努力が実っていますね。このうち25万円は、まだ式を挙げていないご夫婦の結婚式費用にと考えていらっしゃいます。これは大切にとっておきましょう。残りを住宅取得費用にと考えていらっしゃるようですが、入院など不測の事態が起きたときのために、生活費3ヶ月分程度はすぐに使えるように取っておきましょう。杉田さんの場合、1ヶ月の生活費は約33万円ですから、100万円程度を万一の時の費用として確保しておくことをお勧めします。すると、住宅用に使えるのは現在の貯蓄ペースでは、今年末でおよそ450万円になります。
(図1)杉田家の貯蓄額
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160万円貯蓄 |
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住宅を購入するとき、手続き諸費用、保証・保険料や登記関係費用などがあり、新築なら購入価格の3~5%程度、中古なら6~10%程度を見込みます。そのため、自己資金で用意したいのは、頭金として購入価格の20%、諸費用として5~10%、合計で購入価格の25~30%程度です。杉田さんの場合、4,000万円の物件をご希望なので、1,000万~1,200万円程度の自己資金が必要です。現在の貯蓄ペースでは、2011年~2012年以降が住宅購入に適しているといえるでしょう。
(図2)杉田家の貯蓄額(年末時点)推移
西暦 | 現在 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 |
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年間貯蓄額 | 160 | 168 |