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市田 雅良先生 (いちだ まさよし) プロフィール |
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青井 一夫 さん(仮名)のご相談
借家住まいを続けていましたが、ようやく貯金も貯まり、一戸建てのマイホーム物件を見つけました。そこで住宅取得にかかるマネープランニングを考えたのですが、自己資金を多めに投入することで貯蓄が少なくなってしまうことや新しいローンを利用する事などに、少し不安を感じています。
貯蓄残高1000万円ほどをキープして、できれば60歳頃には老後資金として3000万円程度を貯めておきたいと思っています。 良いアドバイスをお願いいたします。
青井さんのプロフィール 47歳。42歳、専業主婦の妻、長女(17歳 学生)、次女(14歳 学生)の4人暮らし。 |
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住宅取得プランに新型ローンを利用し、
貯蓄残高1000万円以上を意識したライフプランに
青井家の現状と家計の特徴
1. 生活費と貯蓄は良いバランス
これまでの日常の年間生活費は約300万円におさえながら、年間貯蓄目標額4~500万円といった努力もあって、預貯金や債券・株式などの金融資産も4500万円となりました。目的無しの「とりあえず貯金」ではなく人生の三大資金を念頭に生活の知恵を駆使されてこられた、その結果がこのような資産形成となったのではないでしょうか。
これまでの努力をベースに、まもなく予定されている住宅取得という大きな買い物も、できるだけ賢く実行したいものですね。
2. 子どもの教育資金は予定通りとなるでしょう
教育資金の備えには、学資保険などを利用されています。貯蓄とあわせていくと、教育資金の準備が整っているといえるでしょう。またお子様それぞれの結婚資金も、25歳時に満期になる養老保険で備えられています。必要十分な備え方であると感心させられます。
教育費用の一般的なデータを目安にすれば、このまま4年生の大学まで進学されても特に問題はないように見受けられますが、もし一般データよりも年間の教育費用がかかるようだと、プランを見直す必要があります。
<子どもの教育費用予定表> |
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■お子様の教育費・結婚資金
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■教育費等子供関連支出
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3. 住宅取得に関するアドバイス。
自己資金ゼロで住宅取得に突き進まれる例は多く、ひとごとながらノープランでひやひやさせられます。青井さんのように自己資金が充実している例はそれほど多くはないようです。
年代別に見れば、20~30歳代では自己資金の比率が低いかわりに長期ローンが組めて、家計の負担を軽くできるという特徴があります。逆に、40歳代の後半から50歳にかけて住宅取得される方は自己資金の比率は高く、ローンの期間は短期決戦という特徴があります。もっとも、中には50歳代でも、無謀にも自己資金が少なく長期ローンを組まれる方もいらっしゃいますが、とてもリスクが高くおすすめできるものではありません。
青井さんは、年齢的には自己資金比率の高い後者にあたります。その自己資金の高さは群を抜いているといえるでしょう。
新型住宅ローンについて
いままでの住宅ローンの概念を取り払った画期的な商品が、東京スター銀行から出ています。青井さんはこれを利用したいと検討されています。 それは、「預金連動型住宅ローン」という商品で、「住宅ローン」から東京スター銀行特有の預金である「スターワン普通預金とスターワン外貨普通預金の合計額」を引いた残高借入額に対して、ローン金利がかかるという点がポイントです。
[ 1 ] 預金連動型住宅ローンの基本的な考え方
東京スター銀行の説明によれば、例えば「6月1日のローン金利が10年固定3.6%、ローン残高が1,000万円、円普通預金残高が600万円」だとすると、
1日の金利は(1,000万円-600万円)×3.6%÷360日≒400円
※ 1年を360日で計算
「翌日の6月2日に普通預金へ100万 円を入金し、預金残高が700万円」では、
1日の金利は(1,000万円-700万円)×3.6%÷360=300円
という計算を毎日々々していきます。
一般的なローンのように、当初借り入れたローン融資額全額に丸々金利計算されるのではなく、指定された連動する普通預金・外貨普通預金の残高を差し引いた額で金利計算されることになります。その残高で金利計算されるということは、「スターワン普通預金・スターワン外貨普通預金の残高を減らさないように、注意をおこたってはならない」ということになります。つまり、預金額の変動でローン金利を自己管理していくことになります。でも、青井さんにとっては、この「預金管理」は決して難しいことではないと思われます。
青井さんの場合、金融資産4500万円のうち住宅取得資金に使う3800万円を含む年間支出を差し引けば、キャッシュフローにあるように2007年末には1000万円の貯蓄残高となります。東京スター銀行のスターワン普通預金を最低でも400万円キープすることができれば、計画通りの金利返済となります。
預金連動型住宅ローンならば、例えば病気入院ですぐお金が必要という時にも、預金からの引き出しが可能です。ただし借入残高から差し引かれる金額に影響が出ますので、金利計算は高くなります。もし、住宅資金の頭金にほとんどの預貯金を使い果たしてしまうのならば、このタイプの住宅ローンは不向きといえます。
[ 2 ] 東京スター銀行と他行の住宅ローンとの比較
預金連動型住宅ローンですが、実は金利自体は少し高めとなります。
例えば、2007年6月1日 三菱東京UFJ銀行の10年固定の変動金利は、「3.95%がキャンペーンで優遇金利2.3%に」となっています。
東京スター銀行では、固定金利型(10年)の金利は3.6%と、三菱東京UFJ銀行などに比べ少し高めとなっています。しかも借入額が購入価格の8割を超えると、「+0.6%アップの4.2%」となります。ここで、前段で述べた「預金管理」が必要になります。8割を超えないようにチェックする必要があるわけです。8割を超えると、三菱東京UFJ銀行より1.9%も高くなってしまいます。したがって、10年間で返済完了できる方は、三菱東京UFJ銀行が有利にみえます。
ところが、上記①で計算したように「ローン金利が10年固定3.6%、ローン残高が1,000万円、円普通預金残高が600万円」を絶対守って預金口座残高を維持し続けるとした場合は、
- 三菱東京UFJ銀行 2.3%で1000万円に対する10年間の利息返済総額 約120万円
- 東京スター銀行 3.6%で600万円に対する10年間の利息返済総額 約76.7万円
⇒ つまり1000万円に対する実質の実行金利は 1.48%程度ということになります。
[ 3 ] 保険の見直し
加入生命保険 [別ウィンドウ]
○ 加入生命保険のチェック
1. 夫: 一夫さんの加入保険について
「万が一の保障額が少ない」とご心配な様子でした。病気死亡保障が「1000万円と少ない」ということですが、病気リスクが高いと感じられておられるのであれば、もう少し上乗せを検討されるのがいいのではないでしょうか。
住宅購入後は、団信に加入すればローン残高の残債は団信から返済されます。あまり考えたくはないところですが、万が一の場合があったときのことを想定して、遺族年金や死亡退職金の見積もりを知っておきたいところです。その後の生活設計が成り立つのかを、プランニングしておきましょう。
2. 妻: 文子さんの加入保険について
多くは養老保険なので、貯蓄性が高いものに加入されています。特約の災害入院が多く加入されていますが、見直しをするとすればそのあたりだと思われます。
まとめ
青井さんは、住宅取得資金に親からの援助金が出るとの事でした。500万円を予定されていますが、「住宅資金贈与の特例」はなくなっていますので、贈与税に気をつけてください。
500万円の贈与だと、53万円の税金を納付しなければなりません。親の行為を無駄にしたくないためには、500万円を借りることにしてください。借用書を取り交わし、ローン返済明細書を作成し、親の口座へ毎月振り込み返済を実行するという方法です。
また、ローン控除利用の際の還付金がどうなるのかということも心配されていましたが、融資額が少ないほど還付金は少なくはなります。でも利息の多い少ないで考えれば、融資額が少ないほうが家計の負担が少なくていいと思われます。検討されているローン計画を実行されるのであれば「ローン控除」は少なくなりますが、利息の面からみて取るに足らない額といえるのではないでしょうか。もちろん住宅ローン控除の申請は出しておきましょう。
家計のやりくりですが、住宅の取得前と取得後では、支出項目の内容が大きく違ってきます。あせる必要はありませんが、できるならば早く、取得後の生活ペースのめどを付けておきたいものです。