山根 克規先生 (やまね かつのり) プロフィール |
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武田 清美さん(仮名)のご相談
マンション購入を検討しています。
子供がまだ小さいので今の社宅でも問題はないのですが、いずれ成長した場合にもう少し広いほうがいいかなあと思います。これから金利も上がると聞きますし、今のうちに買った方が良いのかなあと、何となく考えています。賃貸であればお金を捨てているようなもので、マンションだったら自分のものになりますよね。よきアドバイスをお願いします。
武田清美さん(仮名)のご相談 35歳、パート。37歳、会社員の夫と7歳の長男と4歳の次男との4人暮らし。社宅にお住まい。 |
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<家計の状況>
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社宅にいるうちに貯蓄して
将来買うなら戸建てを
将来買うなら戸建てを
住宅は人生で最も高い買い物といわれます。この住宅購入に失敗すると家計への影響は計り知れなく、一生を左右するといっても過言ではありません。それゆえ十分な検討が必要な買い物といえます。
まず結論から申し上げますと、今必要性のないものであれば購入する必要はないと思われます。確かに金利が低い時期に購入することは大きな魅力ですが、それは例えると、「食べる予定はないけれど、安いから買いだめした食材」のようなもので、結局腐らせて損をした、ということにもなりかねません。今必要があり、そのときに金利が安いのであればお得でしょうが、金利を中心に考えて住宅購入に踏み込むのは無謀といえます。
今は負担も少ない社宅で、現状で問題もないのであれば、買ったと思って貯蓄していれば、本当に必要になったときにそれを頭金にできますので、借入金額が少なくてすみ、結果返済総額は安く済むかもしれません。
そもそも金利がどうなるか誰も断定できませんから、実際購入する時期にどのくらいになるのか、全く想像もできません。あまり先の心配ばかりしても意味がないと思いますよ。
一般的に考えれば金利が高い時期は給料の昇給も高いはずですから、そんなに負担感はないかもしれません。またそのときは変動金利型にすれば先々低金利になった場合にも対応できますから、そんなに気にしなくても良いかもしれませんね。
住宅購入に伴う最大のリスクは、「そこから動けなくなる」ということです。
もしお子さんがいじめにあったらどうしましょう?実際に他人事でなく、現実にたくさん起きていることです。隣人に危険人物や迷惑をかける方が越して来たらどうでしょう?周りの環境が悪くなることも考えられますし、隣に大きなマンションが立ち、景観、日照問題が起きたらどうでしょうか?地震で亀裂が入るなど致命的な状況になったらどうしましょう?こういった場合でも、持家でなければすぐに引っ越すことができます。
「いや、貸して自分は違うところに住めば良い」といわれる方もいらっしゃいますが、そんなに簡単に部屋は埋まりません。埋まったとしてもローンの支払いなど考えたらマイナスの場合が多いでしょう。貸した場合は大家さんとしての管理が必要になります。実際に管理は代行会社に委託すると思いますが、当然経費もかかりますし、修繕その他の費用は負担しなくてはいけません。
マンションの場合は古くなると大規模修繕が必要になりますが、予想以上に費用が必要になることもよくある話です。予想外の出費がマンション管理組合を襲ってきます。それを見越して修繕積立金を毎月負担していますが、それで追いつかずに、追加、追加で負担が増えていくことがしばしば起きます。自分自身の部屋のリフォームはある程度予測できますが、マンションの配管等見えにくい部分の不具合など、思いもよらない出費が発生します。自己所有のマンションであれば、それらに伴う出費も仕方ありません。
マンション販売業者のセールストークに惑わされてはいけません。これら以外に金利負担や税金なども含めて、一生涯に必要な金額など考えたら、はっきり言って借りたほうが安く済むかもしれません。不動産が資産として価値があるのは、「それを人に貸して収益を生み出す場合」のみです。自分で住むなら収益は生みませんから、持家であれ、賃貸であれお金を払うと言う事においては何の変わりもありません。
住宅購入は単純な損得でなく、「こんな家に絶対住みたい。そのような家は賃貸ではないので、自分で思ったとおりの家を設計した」というような、家に対するこだわりが必要です。なんとなく家を買うことは大変危険です。十分ご注意下さい。
もう一つ言っておきます。住宅購入をするなら一戸建てがよいです。マンションは借りたほうが良いです。
今の状態でお幸せのようですから、無理せず楽な気持ちで、生活したほうが良いですよ。
住宅ローンを組めば借金に追われるような気分になります。今の生活の中で貯金を殖やす努力をして下さい。将来きっと役に立つはずですよ。