目次
庭付きの一戸建てを購入予定です
どんなことに気を付けたらいいでしょうか?
山根 克規先生 (やまね かつのり) プロフィール |
|
山田浩二さん(仮名 39 歳 公務員)のご相談
これから住宅を購入予定ですが、土地と建物で4,200万円(引越し代、諸費用含めたすべての費用込み)、両親からの援助500万円と貯金200万円を頭金に購入予定です。
公務員で、安定した収入はあります。源泉上は650万円ほどありますが、手取りは毎月25万円から残業をいれて30万円弱です。
現在アパート住まい。4階であり、子供が外で遊ぶ機会が少なく、家にこもりがちです。実家(私、妻ともに車で30分ぐらいのところに住んでいます。ともに持ち家です)に行くと庭や近くの畑があり、表情が違って生き生きと遊んでいるので、同じようにしてあげたいです。
また、小学校に上がってから転校させたくないので、いずれ買うなら今を選びました。
教育については、高校までは公立でよいですが、大学は国立、私立どちらにしても今の住まいから通うことはできないと思うので下宿させることになると考えています。
今の状況で購入した場合、どのようなことが考えられるでしょうか。 また、どのような住宅ローンが良いかもアドバイスをください。
|
一生住み続ける覚悟で準備をすることです
夢のマイホームを計画する時、大変ワクワクしますよね。どのような間取りで、どのようなデザインで、帰宅したらどこで過ごすか、お子さんが喜ぶ顔、友人がたくさん遊びに来るだろうな・・・等、色々と思いが駆け巡るのではないでしょうか?
とっても楽しい時間ですよね。しかし住宅購入は「人生最大のお買い物」です。様々な角度からじっくりご検討され、最良の道を選ばれて下さい。
住宅ローンの基本をおさらい
最初に、住宅ローン選びのポイントについてお話いたしましょう。 まずは金利のタイプを考えます。金利のタイプには固定金利、変動金利、一部固定金利があります。今は低金利ですので、なるべく長めの固定金利を選ぶ事が有利です。最近は30年、35年の固定金利でもかなり低金利な商品があります。
次に返済方法として、「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。 「元利均等返済」とは毎月の返済額が変わらない返済方法で、返済当初は利息の返済が多く、元金はあまり減らず、徐々に元金の割合が増えていきます。一方、「元金均等返済」とは毎月の元金返済額が一定で、利息は残高に応じて徐々に減っていきます。総額で見たら、「元金均等返済」の方が少なくなりますが、当初の返済額が高いのが難点です。
「繰上げ返済」のしやすさも確認しておきましょう。 支払い総額を減らす方法として、よく活用されるのが、この「繰上げ返済」です。これは返済途中でまとまった金額を返済することにより、その分、支払う予定であった利息を減らすことが出来ます。繰上げ返済の際に所定の手数料を支払う必要があるものもありますので、しっかり比較しておきましょう。
そしてボーナス併用で返済するか、毎月の返済のみにするかも重要なポイントです。 一般的にはボーナス返済は今の時代あまりオススメできません。しかし、公務員ということもあり、ボーナスが確実に期待できるということであれば、ボーナス併用にして毎月の返済を減らすことも大丈夫でしょう。
その他、各金融機関の商品によって様々なメリットがありますので、色々と比較して、ご自身にとってもっとも有利なものをお選び下さい。
ボーナス払いなしだと、毎月の支払いは今の家賃のほぼ倍
では、実際にどのくらいのお支払になるのか見てみましょう。
30年固定金利2.5%で3,500万円を借入した場合、毎月返済のみの場合、月々のお支払は138,292円となります。今の家賃から見たら倍近くになりますね。他にも固定資産税や火災保険・地震保険、各種メンテナンス費用、そしてリフォーム費用なども考慮に入れておく必要があります。住宅購入は家賃に比べ支払が決して安くなるということではありませんので、その点は十分ご注意下さい。
住宅購入はこの支払に関する点が大前提となりますので、その上で住宅購入に伴い、ご質問の「どのようなことが考えられるか」ということについて考えてみましょう。
まず良い点から。
やはり新居ですから、様々な面において気持ちの良いことばかりです。アパートに比べると、きれいですし、とにかく広いし、庭もある。お車もきっちり管理できますね。ご家族全員で毎日喜べることでしょう。
将来のリスクをきちんと把握すること
では逆にデメリットを考えてみましょう
- 一般的には勤務先まで遠くなる場合が多い。
- 支払い金額は家賃と比べたら倍ほどに増える。
- 火災保険、固定資産税、各種メンテナンス費用など、これまで必要なかったお金が必要になる。
- これからの時代、一度購入すれば、そこに一生概住み続ける覚悟が必要。近隣問題などの際にも、簡単に引っ越すことができない。
なぜ一生住み続ける必要があるかというと、少子高齢化に伴い、住宅の需要が低下し、逆に相続された住宅が余ることにより、不動産価格が低下するリスクが考えられるからです。 結果、以前のように持ち家を売却して住み替えるということも難しい時代になっていますので、一度住宅を購入したら、一生その家で暮らす覚悟が必要となる訳です。それゆえに近隣問題のリスクも考えておくべきです。 絶対に問題のない場所というのはありませんが、土地柄などは十分考慮すべきでしょう。
また最近目立ちますが、お子様のいじめ問題も無視できません。
山田さんのご家庭では問題ないとは思いますが、一般的には大きな社会問題です。学校は公立をお考えのようですので、お子さまの校区を簡単に変更できない、変更できても通学に苦労するということも考えられます。実際に起きた場合には大変深刻な問題となります。
住宅購入の際には、地震保険へのご加入はぜひお忘れなく。地震での災害・火災の場合は、地震保険に加入していない限り支払われません。また火災保険の最高50%までしか補償されませんし、上限は5000万円となっていますので、ご注意が必要です。
そして考えておくべきは、リストラなどの環境の変化です。山田さんは公務員ということで、そのリスクはほとんどないと思いますが、念のために考えておくべきでしょう。それから将来お子さんが成長し、独立した後の事も考えておきましょう。夫婦お二人で生活する事を想定して、場所や間取り、設計なども専門家に相談しておきましょう。
また将来ということを考えると、お二人のご両親がお持ちのご自宅をどうするかを考えておく必要があります。
まとめますと、住宅購入はお子さんのためを考えた時、とても価値のある事だと思います。
しかしその分、大きなお金を使う必要があります。お子さんが遊べる庭が目的であれば、戸建住宅の賃貸という方法もありますので、本当に所有する必要があるのかをじっくりご検討される事をお勧めいたします。
住宅購入は人生最大のお買い物です。
ぜひ満足のいくお買い物となりますよう、楽しみながらご計画下さい。