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山下和之先生 プロフィール |
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井上 道夫さん(仮名)のご相談
来年4月には長男が小学校に入学します。いまは社宅住まいですが、それまでにマイホームを買って、子どもたちが転校などで苦労しないようにしたいと思います。それに上が男の子、下が女の子なのでいずれは一部屋ずつ必要になるでしょうから、いまのうちに少し広めで、環境のいい場所で伸び伸び育てたいという気持ちもあります。私たちの家計で、どれくらいの家が買えるのでしょうか。
井上 道夫さん(仮名)のプロフィール
35歳 食品専門商社勤務。専業主婦の妻(32歳)と長男(5歳)、長女(2歳)の4人家族。現在は都内の賃貸マンションに居住。年収/520 万円
・家計状況
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月々の貯蓄を半分でも続けながら無理なく返せる額で探しましょう
現在の住宅関連の支出や年間の貯蓄、すでにある預金の範囲内で買える資金計画を考えるのが、ローン破綻に陥らないための鉄則です。
井上さんの場合には、毎月の家賃負担が5万円で年間60万円。これは全額ローンなどの返済に回せます。貯蓄は毎月8万円とボーナス時50万円で年間146 万円ですが、マイホームを買ってからも将来への備えなどのために半分はそのまま続けたいところ。ローンなどの住宅支出に回していいのは、その半分とみておきましょう。そうすると、家賃分60万円と貯蓄分73万円で年間133 万円の住宅関連支出に抑えれば、まず安心です。
ローンの返済だけでなく、毎年の税金や管理費・積立金なども忘れずに計算しましょう
しかし、それをすべてローン返済に回せるわけではありません。マイホームを買うと毎年固定資産税・都市計画税の負担が出てくるし、分譲マンションだとそのほかに管理費や修繕積立金、クルマがある場合にはその駐車場料金の負担なども出てきます。逆に、ローン控除で返ってくるお金もあります。それら考慮した上での資金計画を立てるようにしてください。税金はローン控除で相殺できるとしても、マンションだと管理費などで月額2万円、年間で24万円は見ておくべきです。マンションを買うとすれば、ローン返済に回せるのは133 万円-24万円で109 万円という計算です。
このローン返済額で、いくら借りられるのかを下の計算式にあてはめて算出してください。井上さんのケースでは、毎月支出できる金額は109 万円÷12カ月で約9万円になります。井上さんが利用できるローンの金利が2.6 %、35年返済のローンとすれば、9万円÷3628円×100 万円で、約2500万円が借入可能額になるわけです。貯蓄のうちから、500 万円を頭金に回すとすれば、購入可能額は3000万円ということになります。この予算の範囲内で物件を見つければいいわけです。
この予算内で希望を満たせない場合には、もう少し頭金をためる、収入が増えるのを待つなどの決断も必要でしょう。
住宅ローン借入可能額の計算式(月々の返済額から逆算した借入額)
毎月返済可能額÷100万円当り返済額X100万円=借入可能額
返済期間 | ||||
金利 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 |
2.0% | 5058 | 4238 | 3696 | 3312 |
2.2% | 5154 | 4336 | 3797 | 3416 |
2.4% | 5250 | 4435 | 3899 | 3521 |
2.6% | 5347 | 4536 | 4003 | 3628 |
2.8% | 5446 | 4638 | 4108 | 3737 |
3.0% | 5545 | 4742 | 4216 | 3848 |
3.2% | 5546 | 4846 | 4324 | 3960 |
3.4% | 5748 | 4952 | 4434 | 4075 |
3.6% | 5851 | 5060 | 4546 | 4191 |
3.8% | 5954 | 5168 | 4659 | 4308 |
4.0% | 6059 | 5278 | 4774 | 4427 |
10万円÷3628円×100 万円=約2750万円(10万円未満は切り捨て)