フリーランスは出産に向けてどれくらいお金を準備すればよいでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 仕事を休む間に必要な金額から考えましょう。
  • 国民年金には産前産後期間の保険料を免除する制度があります。
  • しばらく仕事を休むのであれば、夫の勤務先の制度を確認。

  須藤 まりさん(仮名 31歳 フリーランス)のご相談

いつかは子供が欲しいと考えていますが、フリーランスなので仕事を休めば収入がなくなることが不安です。会社員の友人は「育児休暇中も給付金があって収入が途切れなかった」と言いますが、私には給付金はないと思うので、どのようにお金の準備をしておけばよいでしょうか。

須藤 まりさん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
本人(31歳・フリーランス)年収270万円
夫(30歳・会社員)年収380万円
現在の夫婦の貯蓄額:200万円

会社員よりも支援制度が少ないフリーランスは、休業中の減収分を前もって準備できると安心です。

こんにちは、須藤さん。ご相談ありがとうございます。
将来の出産に向けて仕事やお金について考えておくのはとても大切ですね。須藤さんも心配されていますが、フリーランスは会社員に比べて公的な保障が少なくなっています。出産・育児の期間に必要なお金を事前に準備できると安心です。一緒に考えていきましょう。

仕事を休む間に必要な金額を確認しましょう

ご友人が出産で仕事を休んでも無収入にならなかったのは、出産手当金育児休業給付金が支給されたからでしょう。
出産手当金とは、会社員などが加入する健康保険の制度で、産前の6週間(多胎妊娠の場合14週間)と産後の8週間にわたって、会社を休んだ日数分給与の2/3の金額が支給されます。
出産手当金が終了すると、次に育児休業給付金が支給されます。これは雇用保険の制度で、原則は子供が1歳未満まで、保育園に入ることができなかった場合などは最長で2歳未満まで給付金が支給されます。その金額は育児休業の開始から6ヶ月間は休業開始時賃金日額の67%、6ヶ月経過後は50%です。保育園に入園するのが難しい地域もあるので、2歳まで収入が途切れないのは心強いです。

フリーランスの須藤さんは国民健康保険に加入していますが、こちらでは出産手当金は支給されません。また、雇用保険には加入していないため、育児休業給付金の制度も利用できません。仕事を休む間の収入ダウンは避けられないところなので、事前に貯蓄などで準備をしておくと安心です。
だからといって必ずしも現在の収入の2/3を準備する必要はありません。むしろ、家族が生活していくために、また今後仕事を続けていくために必要なお金が1月あたりいくら必要なのかを計算しましょう。須藤さんの収入がなくなっても、ご主人の収入のみで家計のやりくりができるのであれば、事前に資金を準備する必要はありませんね。

国民年金には産前産後期間の保険料を免除する制度があります

会社員は出産・育児で休業する間、厚生年金保険料と健康保険料が免除されます。須藤さんが加入する国民健康保険にはこのような制度はありませんが、国民年金には免除制度があり、出産予定月の前月からの4ヶ月(多胎妊娠の場合は出産予定日の3ヶ月前から6ヶ月間)については保険料が免除されます。
国民年金の加入者が老後に受け取る老齢基礎年金は、保険料を納付した月数に応じて金額が決まりますが、産前産後期間の免除については保険料が納付されたものとして扱われるので、この免除によって将来の年金が減ることはありません

しばらく仕事を休むのであれば、夫の勤務先の制度を確認

また、出産後しばらく仕事を休むのであれば、専業主婦としてご主人の扶養に入ることも考えられます。この場合には、健康保険や年金の保険料の負担がなくなります。一般的には、年収130万円未満であれば配偶者の被扶養者として認められます。ただし、月ごとの収入に制限を設けるところや、過去の収入について制限を設けるところもあるので、ご主人の勤務先の制度を確認しておきましょう。

貯め時の今だからこそ余裕を持って準備を

一方、須藤さんの収入も家計を支えていて、無収入になるとやりくりに支障が出るのであれば、前もってお金を準備する必要があります。例えば、ひと月あたり5万円必要であれば、6ヶ月休業では30万円、1年間なら60万円、2年間なら120万円が必要になります。長く休業する必要はないと考えるかもしれませんが、出産後の体に無理をさせないためにも、休業期間は長めに考えて準備しておくと安心でしょう。現在の須藤家の貯蓄額でカバーできる金額ですが、今が貯め時ですから、貯蓄ペースを上げましょう。
また、仕事に復帰する時に、保育園に入園できず、一時保育やベビーシッターなどを利用する場合についても考えておきましょう。民間のサービスでは高額になりがちですが、自治体によっては支援制度があり、うまく利用すれば出費を抑えられます。例えば、東京都にはベビーシッターを1時間150円で利用できる公的な支援制度があります。

出産前後の短い期間で考えれば、必要なお金と収入ダウンに目が行きがちです。しかし、長い期間で考えれば、お子様の成長につれて仕事を増やし、収入を増やすこともできるでしょう。これからお子様に恵まれたら、ぜひ子育てを楽しんでください。


子どもの可能性のために、できる限り教育資金はカットしたくないのですが、自分たちの老後資金も心配です。
子どもが病気がちで会社を辞め、パートに。今のままでは思う様に貯金ができません。
高齢で授かった子ども。親としてできるだけのことはしてあげたいと思うのですが、教育費はどれくらいみておけば良いでしょうか。