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離婚することになり、子の親権は妻が持ちます。
養育費の相場を教えてください。
村井 英一先生 (むらい えいいち)プロフィール |
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佐藤浩平さん(仮名 35歳 会社員)のご相談
離婚することになりました。子どもが二人いますが、親権は妻が持ち、私は養育費を払っていくことになります。子どものためにも、成人するまでは支払いたいと思っていますが、養育費が高ければ、支払いは不安です。養育費の相場はいくらぐらいなのでしょうか。今後のことなども教えてください。
佐藤浩平さん(仮名)のプロフィール
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養育する子の数や年齢、お互いの年収にもよりますが、家庭裁判所の「養育費算定表」の金額が目安になります。
1.ご相談者様の状況であれば、月額4~6万円となります。
両親が離婚した場合でも、子どもを扶養する義務は双方にあり、経済力に応じて負担をすることになります。ご相談者様も、お子様のために養育費を払っていきたいとのお気持ちですね。
その金額は、双方の合意で決めますが、口約束ではなく書面に、できれば公正証書にしておくとよいでしょう。まとまらない場合などは家庭裁判所の調停(または審判)で決めることになります。その場合、個別の状況が考慮されますが、東京・大阪の家庭裁判所では、参考資料として「養育費算定表」を公表しています。
養育費・婚姻費用算定表(PDF:180KB)
あくまで東京・大阪での場合ですが、この金額が目安になると考えてよいでしょう。
算定表では、(1)子どもの人数、(2)子どもの年齢、(3)養育費を支払う人の年収、(4)養育費を受け取る人の年収、によって金額を明示しています。
例えば、佐藤様の場合、子どもの人数は2人で、ともに14歳以下です。養育費を払う佐藤様は年収350万円で、養育費を受け取ることになる今の奥様は年収100万円です。算定表に当てはめてみますと、月額4~6万円となっています。調停(または審判)となった場合は、特別な事情がない限り、この間が妥当な金額となります。
2.状況が変われば、金額を交渉することになります。
ただ、必ずしも算定表の金額になるとは限りません。算定表は、東京・大阪の家庭裁判所の参考資料ですので、地域によって異なります。
また、一度決まった金額でも、状況に変化があれば、それに応じて変更の協議をすることができます。収入が違えば、算定表での金額も違います。支払いが難しい状況になったら、元の妻に実情を話し、交渉に応じてもらえるように努力してみましょう。どうしても応じてもらえなければ、家庭裁判所に調停の申し立てをします。
佐藤様が再婚し、家族を扶養する場合は減額できる可能性があります。また、元の妻が再婚し、子どもがその再婚相手と養子縁組をした場合は、養父が優先的な扶養義務者となります。その結果、減額または養育費が必要なくなる場合もあります。
一方、お子様の成長にともない教育費が増えれば、増額を求められる場合もあります。将来の教育費の増加は、今から想定しておいた方がよいでしょう。
当面は、お子様のためにも、話し合いで決まった金額を、遅れることなく支払い続けることが大切です。養育費の支払いが滞ってしまうと、公正証書の内容によっては、預貯金などの財産や給与が差し押さえられることになります。公正証書を作成していない場合でも、相手方が調停や裁判を起こして支払うべき金額が確定すると、差し押さえが可能になります。
養育費の支払いを続けるためには、生活費が膨らまないようにすることが大切です。離婚すると、〝独身〟に戻るわけですが、お金の使い方までもが〝独身時代〟に戻ってはいけません。ご家庭がある、今の消費感覚を維持していくことが大切です。
独身の場合は、生活費と小遣いの区別がないことが多いのですが、あえてこの2つを分けて管理するとよいでしょう。お子さんが高校・大学に進学するときのために、計画的な積み立てもしていきましょう。