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市田 雅良先生 (いちだ まさよし) プロフィール |
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阿倍 昭子さん(仮名)のご相談
二人目の子供の誕生後に親の協力を得て、私も働きに出ることにしました。でも、第二子の出産が難産で危険な状態に陥ったことから、自分や夫に万一のことがあった場合、保険の保障は足りているのかとても不安になりました。いったいどのような保険に加入するのがいいのだろうかと悩んでいます。
また、4人家族には今の賃貸マンションは手狭だと感じていたところ、近所に理想のマンションを見つけたので、是非購入したいと思っています。でも、夫婦ともに転職経験があるためか、年齢の割には給料が低く、今後も大幅な昇給は望めそうもありません。とはいえ、お互い今の仕事には魅力を感じているので、ずっと続けていきたいと思っています。このような状況でマンションを購入してもいいものか、迷っています。
阿倍昭子さん(仮名)のご相談 30歳、会社員。31歳、会社員の夫と2歳の長男と1歳の長女との4人暮らし。 |
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<家計の状況>
※日常の生活費は、食事・光熱水道費・被服費・通信費・交通費・医療費・家事用品・ 交際費・こづかい等
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共働きの家計では妻の保障も重要
住宅取得は計画のままだと家計は破綻!
1.まずは、社会保障の公的給付にはどのようなものがあるかを想定しておく
保障を考える上で真っ先に考えたいのは、社会保険でどのように保障されるのかを把握し、その上で必要以上の保険には入らないことです。
仮に妻昭子さんに万一のことがあった場合、第二子が18歳(18歳になった年末)になるまで、厚生年金から子供たちに遺族厚生年金が支払われます。現時点では月々3.75万円程度ですので、言うまでもなくこれで家計をささえるのは、とても困難なことだといえます。
そもそも、妻が死亡した場合と夫が死亡した場合では厚生年金の保障が異なります。夫が死亡した場合のほうが手厚い保障となっています。
2.妻の保障も重要!
夫婦共働きで家計が成り立っている場合、無論、夫だけではなく妻の病気・怪我・死亡も収入が途絶えることにつながります。そこで、そうなった場合の家計の状況も想定しておくべきでしょう。
◎保険の見直し 現在加入の保険
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- ご主人の加入保険については、60歳まで特に過不足なく対応できると考えられます。
- 妻の昭子さんに万一のことがあれば、加入されている生存給付金付き定期保険から1,000万円が支払われます。ただし、定期保険となっているため43歳までで保障が切れるので、その後に万一のことが起こった場合には、お子様の教育費の足しにはできません。つまり、父子家庭には心細いもののように思われます。
★ 昭子さんの生命保険の見直しプラン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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案1. | ご主人にとっても、昭子さんの終身保険の保障は必要だと思われます。お葬式などといった負担の準備として、保険金300万円の保障で見積もってみました。 |
案2. | 医療保障を別に準備し、共済型の保険を考えてみました。ただし保障期間は60歳までです。 |
案3. | 残された家族の生活保障は、一時金でなくても良いはずです。残された遺族の生活保障として、月払い年金タイプで20万円が受け取れるタイプを見積もってみました。ただし、20年間の保障期間が設定されているので妻の昭子さんが50歳までとなりますが、その頃には第二子の大学卒業が目前となることから、有効な保障と考えられます。 |
全体として月額保険料13,100円 → 8,526円となり、家計の保険料負担が軽くなります。案1~3での保険は、あえて個別名を出していません。保険料等の金額についても、参考までに個別具体的な数値ではなく、抽象的な数値に引き直したものでプランニングしています。
3.家計の見直しもチェックしておく
見直し方法ですが、問題点を整理し、その後解決策を検討していきます。
■現状の問題点
●住宅購入と住宅ローンのプランニング
自己資金として、預金700万円の内の600万円を使い、親からの援助で借り入れた500万円と合わせて1100万円の準備が可能ということです。購入総費用が3500万円ということから借り入れ額は2400万円となります。
ローン返済期間を30年間でとお考えですので、返済額は年間121万円程度となります。これは金融機関が設けている融資条件のなかの年間返済額割合の30%以内(金融機関によって35%~20%の間で設定されているところが多い)を満たしているので2400万円のローンを組むことは可能でしょう。現在の家賃に少しアップする程度の返済金額となりますが、固定資産税やマンション管理費用などをプラスして考えておく必要がありますので、住宅関連支出は年間134万円程度となります。購入後の家計状態からローン返済負担はどうなるでしょう?
●住宅購入後のキャッシュフローは大赤字!
阿倍様 現状キャッシュフロー表 [PDF]それまでは貯蓄も可能でしたが、住宅購入後は2009年から年間収支が赤字となり、2014年には貯蓄残高が底をつく家計破綻に陥ってしまいます。
2007年の住宅取得時の年間収支は600万円の赤字となり、以後貯蓄を食いつぶし続け、2014年にはついに貯蓄残高が赤字となってしまいます。その後、貯蓄残高が黒字に戻ることもなく、家計は破綻してしまいます。
これらのことから、購入後の家計のやりくりは非常に不安なものと思われます。
■問題の解決
●家計の見直しをする
阿倍さんの家計の費目別1ヶ月あたりの支出を元に見直しをしていきます。
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※上記には、家賃、教育費、生命保険料などは入っていません。 ※総務省「家計年調査」は2005年度 |
●住宅ローンの計画変更
住宅ローンの計画の見直しとして30年返済から35年返済にします。そうすることで住宅関連支出は133万円/年間 → 122万円/年間となり、生活費負担が軽くなります。また、お子様の独立後には住宅ローンの繰り上げ返済が実行できるよう、返済年齢の短縮計画も予定しておきましょう。
対策を実行した場合は、対策後の予想キャッシュフロー表のようになります。表の中の4箇所の「赤丸」がポイントとなります。
- [ A ]で年間収支が赤字になりますが、お子様の教育費がかさんでくる頃ですので、貯蓄残高の減額は大きな問題とはならないでしょう。
[ B ]と[ D ]は、60歳からの無年金時代における貯蓄の取り崩しの進行を示しており、相当不安になることが予想されます。そこで、60歳退職後も再就職で収入アップを考えたいものです。そのために、キャリアアップにつながるよう自分自身に付加価値を付けることを考えましょう。60歳までまだ時間的余裕はありますが、早い内からの実行行動が不可欠となります。
- [ C ]の運用利回りを0.2%とは別に1%でも計算してみました。0.2%運用では途中残高が赤字となる場面があります。仮に、1%以上が維持できるならば赤字の不安はないと予想されます。このことから、今後の金融商品の運用計画と管理は、重要な鍵となってきます。
生活設計は、常に「家計簿チェック」と「資産運用」の見直しをしながら進めていきたいものです。