将来の独立前に、子どもをもう一人と、家の建替えをしたいと考えています。独立や建替えのタイミング、資金の準備はどのように?


内田 ふみ子先生 プロフィール
家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。
ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。

吉岡 正雄さん(仮名)のご相談

現在、会社員として勤務していますが、将来独立を余儀なくされそうです。住まいは築25年の親名義の家に住んでいます。いずれ建替えをしなければなりませんが、子どもをもう一人ほしいのと、独立のこともあるので、時期や資金計画も考えなければなりません。どういう計画を立てたらよいのか、よいアドバイスがあれば教えてください。
優先順位としては、子ども・家・仕事の順です。
家計支出については、子ども関係と食費が増えていることと、電気代が少し多いかと思います。

吉岡さん(仮名)のプロフィール
34歳、会社員。同い年の奥さま(専業主婦)、1歳のお子さんとの3人家族。

収支の状況

 月収(税金・社会保険料を除いた可処分所得)
 夫 336,000 円
 月間支出 支出合計:299,000 円
(黒字分36,300 円)
 家賃(親に) 50,000 円
 水道光熱費 21,000 円
 電話代(携帯含む) 11,500 円
 教育費 1,500 円
 食費 35,000 円
 外食費 10,000 円
 教養娯楽費 1,500 円
 日用雑貨・被服費 20,000 円
 夫のこづかい
 (昼食代含む)
45,000 円
 雑費・その他 24,200 円
 生命保険料 25,000 円
 損害保険料 5,000 円
 貯蓄 50,000 円
 年単位の収入
 ボーナス 650,000 円
 ボーナスからの支出
 レジャー費 100,000 円
 貯蓄 400,000 円
 貯蓄
 預貯金 300万円
 夫婦それぞれの貯蓄 100万円

希望・予定

  • 37歳で2人目の子ども・40歳で家の建替え・45歳で独立
  • 家の価格は2500万円位
  • 子どもは私立幼稚園→公立小中学校→公立高校→私立大学

住居

  • 親と同居

今のうちに資金を準備しておきましょう

親と同居でお子さんもまだ小さいため、毎月のやりくりにも比較的余裕があります。ただ独立すると、仕事が安定するまで大変かもしれません。これから10年の間が教育や独立の資金準備の大事な時期です。

まず生活設計を確認して、貯蓄計画を立てましょう。引き締められるところは引き締めて。

希望する予定と、考えられる費用を一覧表にすると次のようになります。 (家の建替え資金は、頭金2割と仮住まいや諸費用分で自己資金750万円、独立資金は有限会社の最低資本金300万円を仮の目安にしています。)

時期 現在 1年後 2年後 3年後 4年後 5年後 6年後 7年後 8年後 9年後 10年後 11年後
夫の年齢 34 34 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45
第1子の年齢 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
第2子の年齢       0 1 2 3 4 5 6 7 8
イベント       第2子
誕生
    家の
建替え
        独立
費用       出産
費用
(45万円)
    価格
2500
万円
(自己
資金
750万円)
        独立
資金
(300
万円)

表から、独立後に教育費のかさむ時期を迎えるため、この10年間が貯めどきであることがわかります。独立時の不安やリスクを軽くできるかどうかは、この時期の過ごし方次第ともいえそうです。
現在、年間100万円は貯蓄している家計なので、家の建替え用自己資金は準備できそうです。ただ、住宅ローンを、40歳で返済期間20年、借入額2000万円、固定金利で3%、という条件で組むと、毎月の返済額は約11万1000円。住宅費が今の倍以上になります。
お給料もその頃は今より多いかもしれませんが、お子さんがもう一人生まれ、生活費や、入園入学で教育費など毎月の支出も増えているはず。急に生活習慣を変えることは難しいので、今のうちに引き締められるところは締めておきましょう。

漠然と貯めるのではなく、目的別に積立額を意識しましょう。

毎月ないしボーナスからの貯蓄は、把握している金額で年100万円。そのほかに何となく口座に貯まっていくお金もありそうです。
将来必要な資金を準備するには、生活費の残りを貯めるのではなく、先に貯蓄で取り分けて、残りで生活するというように考えましょう。
今貯めている月5万円とボーナス分40万円は住宅資金として。この分は、住宅ローンを組んだあとは、ほとんどが支払いに回ってしまう可能性があります。
そのほか月2万円をお子さんの教育資金として定期的に積み立てましょう。18年間で元本432万円。私立大学文系の平均的な4年間の授業料分に相当します。
ここまでは、今の生活のまま実行可能な範囲です。さらに車などの耐久消費財や独立資金用に1~2万円程度の積立ができないか検討してみましょう。工夫次第で可能な範囲ではないかと思われます。目立った浪費はありませんが、食費や雑費などは日常の意識次第で抑えやすい項目です。資金の目的がわかっていると実行しやすいものです。
これからお子さんの教育、お住まいのこと、独立など家族の協力が欠かせないイベントがたくさん控えていらっしゃいます。日頃からご夫婦で、家計や将来設計について、よくコミュニケーションを取るように心がけていましょう。