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村井 英一先生 (むらい えいいち) プロフィール |
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高橋 裕子さん(仮名 33歳 パート主婦)のご相談
最近、「電気とガスをまとめて契約すると、お得になる」という宣伝をよく見かけます。毎月の電気料金とガス料金が安くなるのだったら、契約を変えた方がいいですね。しかし実際のところ、どうなのでしょうか? 契約を変える場合は、どんなところに注意すればよいでしょうか?
高橋 裕子さんのプロフィール
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電気とガスをまとめるより節約効果が高いのは電気契約の見直し。
使用状況にあった電気料金プランを見つけましょう。
使用状況にあった電気料金プランを見つけましょう。
電気・ガス契約の見直しは節約の効果が続く
高橋様、こんにちは。これから教育費が増えていくことを考えると、少しでも抑えられる部分は節約しておきたいところですね。特に、毎月定期的にかかる費用の契約を見直すことは、家計の見直しの重要ポイントです。食費のように毎日変化するものは一時的に節約したとしても、それが続くとは限りません。それに対して、毎月継続して引かれていく電気料金などは、契約を見直すとその効果が継続していきます。契約書を書いたり、申し込んだりする手間がかかっても、効果が続くものはぜひとも検討したいところです。
どのくらい安くなるのか、ということの前に、まずは電力・ガス自由化の仕組みについて確認していきましょう。2016年に電力小売が自由化され、2017年からは都市ガスの小売りが自由化されました。それまでは電力については、東京電力などの地域電力会社10社が、その地域での供給を独占していました。電力自由化後は、消費者は自由に電力会社を選んで契約することができるようになりました。新電力会社と契約を結んでも、別途に電線を引き込む必要はありません。今までどおりに東京電力などから供給を受けますが、消費者が使う電力量を、新電力会社が東京電力などに供給します。新電力会社から直接に供給を受けるわけではありませんが、結果的に、契約した電力会社から供給を受けたのと同じことになります。電力料金は各社で異なり、消費者は自分の使い方に合わせてお得になる会社を選ぶことができます。
ガスは、電気の自由化ほどには料金が下がらない
都市ガスも同様で、消費者は引き続き東京ガスなどの地域ガス会社から供給を受けますが、その分は消費者が契約した新ガス会社から東京ガスなどに供給されます。ガス器具の点検などは定期的に地域ガス会社が行っていましたが、その部分については、契約先の新ガス会社が担うことになります。ガス供給に参入した事業者の多くは、資格を持った作業員を抱えたガス会社に作業を委託しています。ただ、ガス漏れなどの緊急の事故対応は地域ガス会社が行います。
電気とガスで大きな違いは参入への障壁です。発電事業は比較的参入がしやすく、多くの新電力会社が誕生しました。先に述べた仕組みでお分かりいただけるように、地域電力会社に電力供給ができればよいのです。その結果、価格競争が生じ、いろいろな料金プランができています。
一方、都市ガスは供給に一定以上の規模が必要で、新規参入のガス会社は多くありません。そのため、電力ほどには価格競争が起きていませんし、電気とガスをセットで申し込みができる会社もわずかです。
また、ガス器具の点検修理など、消費者地域でのサービス体制を用意しておく必要もあり、事業者としてもコスト削減が難しいのが現状です。そのため、電気とガスをセットにしても、料金の優位性はそれほどなく、キャンペーン期間中の一時的な割引やポイントの還元をメリットとしてアピールしています。
電気とガスをまとめるよりも、別々に料金が安くなるところを選んで契約した方がお得になることが少なくありません。ただし、まとめると家計管理がしやすくなるといったメリットはあります。
電気の契約の見直しがポイント
電気は参入企業が多いため、契約プランが多くあります。自分にあったプランを選べば、毎月の電気料金をかなり抑えることができます。電力の発電方式を自然エネルギーに限定したエコ発電をセールスポイントにしている会社もあります。また、携帯電話とセットにすることでお得な契約もあります。
電気料金も、ガス料金も、インターネットには比較サイトがあります。まずはご家庭の通常の電気、ガスの使用量を確認して、比較サイトでシミュレーションをしてみるとよいでしょう。電気とガスのセットで契約をまとめたいということでなければ、電気を中心に魅力的な会社を選ぶとよいでしょう。特に、一般のご家庭ではガスよりも電気の方が料金は高いので、電気料金を節約できれば、コスト削減の効果が大きくなります。
その際は、契約期間と契約を解除する場合の違約金などをよく確認しておきましょう。また、キャンペーンで安くなっている場合は、その期間が過ぎるとどれくらいのアップになるかも確認しておきましょう。キャンペーン料金だけに目を奪われて選ぶと、あとで後悔することになりかねません。
また、ご家庭での電気の使用パターンにあったプランを選ぶことが大切です。各社とも、電気の使用量、使う時間帯によって料金に違いがあり、使い方によって安い会社が異なります。実際の使用量が違ってしまうと、割高になってしまうこともあります。
契約の変更は、今まで契約している電力会社への通知は必要ありません。新しく契約する会社に申し込めば、今までの会社の契約解除は同時にできます。電気メーターが古いタイプの場合はスマートメーターに取り換えることになりますが、費用はかかりません。