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森田 和子先生 (もりた かずこ) プロフィール |
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金田有紀さん(仮名 29歳 会社員)のご相談
夫に借金があることがわかりました。日頃のカード払いやキャッシングなどで、毎月4万5,000円ほどリボ払いで返済していて、残高は250万円になっているようです。リボ払いは損だと聞いているので、すぐにでも返済したいのですが、一括で返済すると貯金がなくなってしまうのが不安です。一括と分割のどちらで返済すればよいでしょうか。
金田有紀さんのプロフィール
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リボ払いで支払う利息は想像以上、現在の返済額の2/3です。
借金と決別し、健全に貯められる家計を目指していきましょう。
借金と決別し、健全に貯められる家計を目指していきましょう。
こんにちは、金田さん。ご相談ありがとうございます。借金は返したいけれど、貯金がなくなってしまうのも心配というお気持ちはよくわかります。しかし、今の状態ではなかなか借金から抜け出せません。思い切って返済する方向で考えていきましょう。
●利息を考えれば今すぐ一括で返済する方が断然お得
リボルビング払い(リボ払い)は毎月の支払いを一定額にする返済方法です。いくつかの方式があるので、リボ払いなら全て同じ計算で返済をするわけではありません。代表的なものには、あらかじめ決められている借入残高のレベルに応じて、毎月の支払額が増減する「残高スライド方式」と、借入残高に関係なく毎月一定額を支払う「定額方式」があります。
金田さんのご主人は毎月4万5,000円を返済しているとのことなので、定額方式のリボ払いを利用されていると考えられます。毎月の返済額から借入残高に対する利息を引いたものが元本の返済に充てられます。
リボ払いの利息(手数料)は一般的に次の計算式で求められます。
借入残高×年利率÷365日×前回の返済からの日数=利息
ご主人の借入残高は250万円なので、年利率を15%とすれば、利息の計算は下記のようになります。
2,500,000円×15%÷365×30日=30,821円
これを毎月の返済額から引いたものが元本返済額です。
45,000円-30,821円=14,179円
つまり、4万5,000円を支払っても元本を返済するのは約1万4,000円。支払い額の2/3超が利息です。
借入残高が高いので利息も高くなり、元本の返済にまわせる金額が少なくなるため、翌月の借入残高も利息も高いという状態が続くことになります。これほど借金が増えてしまうとなかなか元本が減っていきません。
ここから抜け出すためには、できる限り早く元本を返済してしまうことです。最も支払う利息を節約できるのは一括返済です。
●もしもの場合にも会社員は社会保険で守られる
金田家の現在の貯蓄額は300万円なので、250万円を返済すると残りは50万円です。何かあったら心配という気持ちもわかりますが、お二人とも会社員なので、もしもの場合には公的な保障もあります。
例えば、病気やケガで会社を休むことになった場合には、給与の6割程度を受け取れる傷病手当金の制度があります。医療費が高くなっても高額療養費制度によって自己負担には限度があります。また、会社が倒産することやリストラされることがあっても失業保険が受けられます。社会保険で守られている会社員であれば、すぐに無収入になるわけではありません。
50万円しか残らないといっても、金田家では2か月分の生活費にあたります。思い切って一括で返済し、来月からどんどん貯めていけばよいのではないでしょうか。借金がなくなった分、貯めやすくなるはずです。
●カード払いをやめてみる
一括返済することを決め、借金はなくなるとしても、ここで考えたいのは借金の原因です。ギャンブルや課金オンラインゲームなどの理由があるかもしれませんが、気を付けたいのは買い物でのカード払いです。
リボ払いは二度と使わないとしても、1回払いなら良いようにも思えます。でも、1回払いでカードを使うと、口座から代金が引き落とされるのは1~2ヵ月先になります。購入した日を忘れた頃に支払い日が来るといってもよいでしょう。しかも、お店によって決済のタイミングが違うので、買ったものの引き落としがいつになるかを把握するのは、買うものが増える度に難しくなります。カード会社から送られてくる利用明細を見てはじめて「こんなに使っていたんだ」とわかることになりかねません。
財布の中に現金がいくら残っているかを気にしなくてもよいので、クレジットカードは確かに便利ですが、お金を使っている感覚が鈍くなってしまいます。カードを多用しながら家計管理をするのは難しいことです。
そこでご提案です。この機会に一度、現金主義になってみてはいかがでしょうか。今の社会で全てを現金払いにするのは難しいかもしれませんが、できる限り現金で支払うようにしてみるのです。口座から代金がすぐに引き落とされるデビットカードやプリペイドカードならと考えるかもしれませんが、ひとまず脇に置いておきましょう。
カード払いに慣れているので不便に感じるかもしれませんが、カードの引き落とし金額がゼロに近づけば、達成感も味わえると思います。せっかく口座に振り込まれた給料が右から左へ流れていくような寂しさともお別れできますよ。