若い夫婦で収入もそれなりにあるのですが貯蓄も増えず、将来が不安です


若い夫婦で収入もそれなりにあるのですが貯蓄も増えず、将来が不安です

山根 克規先生 (やまね かつのり) プロフィール
 
  • ファイナンシャルプランニングはまず夢・目標、人生設計から
  • 夢や目標にあわせた、仕事選び、資金計画、生活レベルを心がけましょう
  • 老後に後悔しないためにも、早めの計画と定期的な見直しを

今井 恭子さん(仮名)のご相談

現在の収入が決して少ないわけではないのですが、なかなかお金が貯まらず、今後、どのように貯蓄していけば良いのかわかりません。また先々子どもも欲しいし、いつかはマイホームをと考えています。ただ何となく将来が不安です。

何から始めればいいのでしょうか。

今井さんのプロフィール

28歳。30歳、会社員の夫と2人暮らし。
世帯年収:800万円
住居: 賃貸

家計の状況

《現在の所得と収支状況》

●毎月の収支
・税引き後収入(円)
300,000
150,000
合計 450,000

・支出(円)
費目 金額
家賃 100,000
駐車場(2台) 30,000
車ローン 40,000
生命保険 夫 28,000
  〃  妻 15,000
自動車保険 15,000
光熱費 20,000
携帯代 15,000
通信費 5,000
食費 40,000
夫小遣い 50,000
新聞雑誌等 8,000
借金返済 20,000(残り200万)
貯蓄 20,000
交通費 10,000
雑費 30,000

夫婦の夢・目標を話し合って決める事が第一です

世帯での収入が決して少ないわけではないのに、経済的に苦しいといわれる方は結構いらっしゃいます。共通しているのが、ライフプランが明確でなく、それゆえ優先順位があいまいで、必要でない物・事に対して支出をしてしまう、ということです。

将来どのような生活、人生を歩んでいきたいのかが明確になっていないと、人生にとって何が必要で、何が不必要なのかが判断できないですよね。だから目の前にある欲しい物、したい事にお金を使ってしまいます。

人は誰でも快適な状態を求めるものです。 好んで辛い状況に自分を追い込む人はいません。ですから、いつも苦しいことを避け、快適な状況を選択していると、気がついたら理想的な人生からかけ離れた老後を迎えてしまう・・・実はそのような方が沢山いらっしゃいます。

ファイナンシャルプランニングの基本は、夢・目標・人生設計です。

それぞれの方が抱く夢や目標は固有のものです。その夢や目標を計画に落とし込むことが人生設計です。そしてそれを実現するために必要な資金計画がファイナンシャルプランニングです。

まずはご夫婦でしっかりと夢や目標を語り合い、それを踏まえた人生設計を行なうことから始めましょう。そうすると何が必要で、何が不必要か見えてきます。人は誰しも限られた収入の中で生活します(お金持ちの方も無限にお金がある訳ではありませんよ)ので、お子さんは何人欲しいか、教育に関してはどれくらいお金をかけるか、マイホームを持つかどうか、車は何に乗るか、趣味にどのくらいお金をかけるか、など何を優先し、何を捨てるかの判断が必要になります。

誰しも辛い状況、家計で言えば「節約」、「我慢」ということは避けたいと考えます。 しかしその先に待っている夢や目標のためだったら、その節約や我慢も苦にならなかったり、もっと言えば楽しんだりすることができます。 まずは、夢や目標を明確にすること、そしてそれを計画にしてみることをお勧めいたします。

次に考えるのがお仕事です

多くの方が、今のお仕事の延長線上で人生設計をしてしまいがちですが、そうではなく理想的な人生を送るために必要なお仕事選びが大切です。

例えば家族との時間が大切な方が、残業続きのお仕事では夢が叶いませんし、大きなお金が必要な方が、低い収入でも実現不可能です。また田舎暮らしを希望しているのに、都会で仕事をするのもおかしな話です。ですから、まず人生設計ありきで、それに見合ったお仕事を考えるのが正しい方法です。ただし、今の仕事をすることが人生の目標である、というような方はそれでも構いませんので、ぜひ自分らしい計画を立てましょう。

次にそれを実現するための資金計画、つまりファイナンシャルプランニングを行ないます。それぞれの叶えたい夢には、少なからずお金が必要だと思います。その夢を叶えたい時期が決まれば、自ずといつまでにいくら貯めないといけないのかが判ります。それを計画的に貯蓄します。例えば5年後に300万円で車を購入しようと思えば、年間60万円、月額5万円の貯蓄が必要です。毎月の必要な積立額がわかれば、それを毎月天引で積立てられるようにしましょう。このように目的を持った貯蓄が同時にいくつかあれば合算した金額の積立が必要です。もし積立てることができそうにない金額であれば、目標を変更するか、お仕事、収入を検討する必要があります。いずれにせよ、夢の実現には努力が必要です。ここで改めて、この夢は本当にご自身にとって必要なものなのか、真剣に考えることが大切です。

さて毎月の収入から上記積立額をまず貯蓄したうえで、さらに不測の事態に備えて、収入の一定割合、例えば10%くらいは別途積立てておくことをお勧めいたします。今回のケースであれば4、5万円が一つの目安です。不測の事態にも対応できる家計を目指しましょう。これらの積立をした上で、残りの金額で生活することが原則です。

家計を拝見いたしましたが、全般的にお金がかかっているように感じられます。やはり目標が明確でないため、今の生活を重視しての結果だと思います。生命保険もお子さんのいらっしゃらないお二人には多すぎると思います。見直しが必要でしょう。生命保険に限らず、必要なものにお金をかけ、必要ないものにはお金をかけない事が大切です。

一般的に夫婦共働きで、お子さんがいらっしゃらない場合、生命保険で用意するのは、300万円程度の葬儀費用、そして医療保障です。年齢からすれば今の半額以下で収まります。お子さんが生まれた際、その時の人生設計にあった生命保険にご加入されることをお勧めいたします。今は生命保険を見直しすることで、2万円程度のゆとりが生まれると思います。

もし残った金額では全く生活できないようでしたら、夢・目標を見直す、仕事・収入を見直す、支出・生活レベルを見直す、のいずれかもしくはそれらの組み合わせが必要です。この作業を何度も行なうことで、現実的な計画ができ上がります。非現実的な計画では、達成は到底無理ですし、節約などのやる気も出てきません。ぜひ頑張れば達成可能な目標にしましょう。

ファイナンシャルプランニングは少しでも早く始めると後が楽です。また計画は定期的に見直してみましょう。社会環境や経済環境、生活環境など周りの状況はめまぐるしく変わりますので、その時々に応じた計画が大切だからです。

ぜひ充実した理想的な人生のために、まずはしっかりご夫婦でお話してみましょう。