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伊藤 美和先生 プロフィール |
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菊池 明彦さん(仮名)のご相談
シングルの公務員です。親元から通勤している今がお金の貯め時かと思い、生活費4万円を家に入れ、小遣いとして3万円を使うほかは全て貯金しています。車の購入資金や結婚資金、住宅取得や老後資金について自分なりに準備しているつもりです。でも今の時代‘貯める’だけでは資産は殖やせないのではと不安に思う部分もあるので、アドバイスをお願いします。
菊池さん(仮名)のプロフィール | |
27歳、公務員。現在はご両親と同居 |
収支の状況
1.収入 | |||
月収(手取り) | 258,000 円 | ボーナス(年手取り) | 840,000 円 |
2.月間支出費用 | |||
生活費(家へ) | 40,000 円 | 小遣い※ | 30,000 円 |
通信費(インターネット) | 4,460 円 | 財形貯蓄 | 5,000 円 |
個人年金(民間生保) | 9,840 円 | 個人年金 (福利厚生事業団) |
12,000 円 |
生命保険 | 9,966 円 | ||
3.生活費以外の出費(年間) | |||
両親へこづかい | 60,000 円 | 被服費 | 120,000 円 |
レジャー費 | 150,000 円 | 個人年金保険料 | 60,000 円 |
財形貯蓄 | 60,000 円 |
※小遣いが余ったら予備費として家に置いておき、急な出費で足りなくなったら、そこから支出している。
現在の貯蓄等
総額 | 備考 | |
定額貯金(郵便局) | 916万円 | |
定期預金(銀行) | 702万円 | |
予備費(現金) | 15万円 | タンス預金 |
個人年金 (福利厚生事業団) |
59万円 | 定年時1300万円 |
個人年金(民間生保) | 58万円 |
今後の予定&ライフプラン
時期 | 予定 | 必要額 |
平成18年 | 車購入 | 200~250万円(小型車・諸費用込み) |
平成20年 | 結婚 | 350万円 |
新婚旅行 | 30~40万円 | |
新生活準備 | 100~150万円 | |
平成22年 | 第1子誕生 | 50万円(理想は2人・共稼ぎを続ける) |
平成27年 | 車買い替え | 100~150万円(頭金) |
平成35年 | 住宅立替 | 700~1000万円(頭金) 一人っ子なので両親の家を 建て替えて住む予定 |
平成37年 | 車買い替え | 100~150万円(頭金) |
平成47年 | 子どもが結婚 | 100~200万円(結婚資金の援助) |
平成47年 | 車買い替え | 100~150万円(車の頭金) |
平成51年 | 定年退職 |
今、買いたいもの
- デジタルカメラ 予算5万円
- プリンター 予算5万円
- 腕時計 予算4万円
老後生活のイメージ
- 65歳まで公的年金は支給されないので、60歳の定年後も5年間は働くつもり。リタイア後は夫婦二人で年金暮らし。毎月25万円は確保したい。国内旅行を年1~2回希望。
預金や投資について
- 個人向け国債が人気のようで100万円ほど買ってみようかと思いましたが、中途解約のデメリットを考えると迷ってしまいます。かといって郵便局や銀行に預けておいても、利息はつかないし...。大損はしたくないけど、将来のことを考えて資産運用はしてみたいです。
アドバイス1:まずは「手取り収入額」を正しく把握しましょう
「手取り月収=銀行に振り込まれる給与の額」と思っている方がとても多いのですが、それは間違いです。サラリーマンや公務員の方の多くは税金の他に「財形貯蓄」や「各種保険料」等が天引きされているので「振り込み額=手取り月収」ではないのです。
手取り月収=額面の月収額―(所得税+住民税)―社会保険料(※1)-組合費等(※2)
※1:社会保険料→厚生年金や健康保険など
※2:組合費等→強制加入に近い組合等の経費は税金と同様に考えます
「手取り月収の○%は貯金しましょう」「食費は手取り収入の○%以内が理想額です」といった記述のベースになる金額なので「手取り月収額」を正しく把握しておくことが大切なのです。
菊池さんの場合は、額面の月収(約35万円)-(所得税+住民税)-(共済組合掛け金2種)+(労働組合費+複利厚生事業団組合費)=約29万5000円が平成平成17年3月の手取り月収です。22万5000円を貯めているので、実に手取り月収の76.2%も貯めていることになります。とても優秀です。「今が貯め時」と心得て貯蓄に励んでいる姿は大変立派です。結婚するまでこのペースでどうか頑張って下さい。
アドバイス2:車のローンはなるべく利用しない工夫を
新車の現金購入は「今頑張っている自分へのご褒美」ということで、購入には賛成です。でも10年ごとの買い替えで「自動車ローン」を組むご予定には賛成しかねます。駐車場代、税金、保険料、車検代、メンテナンスのお金に加えて「自動車ローン」を毎月払っているという家計は健全性を保ちにくいですし、住宅ローンを払い始めてからの負担感は想像以上になると考えてください。せっかく今菊池さんが手にしている‘貯まる運気’を大切にしてほしいと思います。
アドバイス3:結婚費用の’相場’は参考程度に
一生に一度の結婚式は‘ついついお金がかさみやすい’もの。できれば最初に‘総額’を決めて、その中でどの費用にお金をかけるか考えていく方が、あとで後悔のない結果になるのでは。結婚情報誌のゼクシーによると‘結婚費用’として男性が貯める平均額は約250万円、新婦が211万円、ご祝儀の平均は202万円となっています。目標としては「新婚旅行代を含めて300万円」で十分かと思います。ご祝儀分も含めると400万円ほどの予算となります。
菊池さんは家具の購入も含めた新生活の準備として100~150万円を用意するおつもりのようですが、家具は女性側がお金を出して‘好みのものを選ぶ’場合が多いと思います。むしろ男性は婚約指輪・結納金などで50~100万円ほど用意するのが一般的です。婚約~挙式・披露宴~新婚旅行~新生活の総額の費用分担は「新郎3:新婦2」というのが一つの目安ですが、名古屋圏は「新婦の親御さん」が結婚準備にかなりお金をかけるなど、地域ごとに習慣が異なる場合もあります。
アドバイス4:二世帯住宅について
以前住宅展示場で資金相談の仕事をしていましたが、二世帯住宅の予算としては3000~4000万円台の予算が多かったかと思います(2500万円ですとややスペース的に厳しいかもしれません)。子ども世帯は頭金+ローン」という形で資金を用意されている方が7~8割でした。生活スペースを十分とった方が、同居が長続きする傾向があるという話を建築士さんから聞いたように思います。
安全策としては「完全独立型」の二世帯住宅を建てることかと思います(スペース共用型より若干高くつきますが)。子ども世帯の転勤、万が一同居がうまくいかなかったり、思いがけご両親様が早く他界された時など、片方の住居を賃貸に出すことで、家を売らずに済む可能性が高くなるからです。また介護の可能性も考えて「完全独立型にリフォーム可能な共用型二世帯住宅」をオーダーしている方のプランは印象的でした。
アドバイス5:資金運用について
20代の菊池さんが「投資」に前向きな姿勢であることには大賛成です。でもまずは「資産の○割を運用に」を考える以前に勉強を始めることが大切かと思います。50~100万円を老後用資金として運用を始められたらいかがでしょうか?運用がうまくいけばもちろんラッキーですが、勉強の段階では失敗も大切な授業料と考えて下さい。20~30代の方は、まだ若く失敗してもやり直しがききますし、運用期間も余裕があるので、一般的に資産の20~30%を運用に回してもOKとされています。でも教育費や住宅費との兼ね合いもありますし、「向き・不向き」にもよるかと思います。ご自分で情報収集する手間が負担になるのか、そうでもないのか。或いは損した時に ‘冷静に対処できる’か‘損に気持ちが熱くなってしまったり、不愉快な気持ちでイライラが募ってしまうか’等を踏まえて、最終的に投資割合を決めていかれるといいと思います。