貯蓄を増やして余裕のある生活をするためにはどうしたら?


内田 ふみ子先生 プロフィール
家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。
ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。

時田 修子さん(仮名)のご相談

お金を貯めたいのですが、車の自損事故が続いて貯蓄から出費。家計簿も付け、袋分けをしたり、食費と雑費の財布を別にするなど節約をしていますが、なかなか貯蓄が増えません。転職も考えましたが、今以上に専門性を活かした仕事につくのは難しそうなので、当分はこのままです。ただ将来、退職を迫られるようなことがあったら、と思うと不安です。結婚資金や兄弟の学資を貯めたいと目標を立てています。 自動車保険は一括見積サイトで比較して安いところに加入しましたが、事故が続いたので保障を厚めにしました。
参考:https://www.nttif.com/

時田さん(仮名)のプロフィール
23歳、独身の会社員。一人暮らし。

家計状況

 月収(税金・社会保険料を除いた可処分所得)
 給与 160,000 円
 フリーマーケット売上げ
 (たまに出店する)
7,700 円
 月間支出 支出合計:154,000円
 家賃 40,000 円
 車ローン 11,000 円
 水道光熱費 9,400 円
 電話代(携帯のみ) 9,000 円
 食費 8,600 円
 習い事 4,000 円
 娯楽費 4,600 円
 日用雑貨 3,800 円
 被服費 1,400 円
 コンタクト破損 5,700 円
 ガソリン(通勤)・車費 16,500 円
 積立貯蓄 15,000 円
 その他の貯蓄
 (年払保険料・車費準備)
25,000 円
 ボーナス
 収入 480,000 円
 年単位の支出
 自動車保険 260,000 円
 車のローン 14,600 円
 親への送金 150,000 円
 レジャー費 35,000 円
 貯蓄 200,000 円
 車の修理代(事故のため) 20,000 円
 貯蓄残高
 預貯金 600,000 円
 ミニ株 15,000 円
<<希望・予定>>
  • 仕事はこのまま続ける
  • 32歳くらいまでには結婚したい
  • 貯蓄目標:25歳までに100万円、30歳までに300万円、30歳過ぎ450万円(結婚資金と、兄弟の学資)
<<住居>>
  • 賃貸

今のペースが守れれば、貯蓄目標は達成可能 さきのトラブルに備えて、貯蓄の目的を整理しましょう

事故が大事にいたらなかったのは、不幸中の幸いでしたね。家計管理はしっかりできていますので、このままのペースで貯蓄目標の達成は充分可能でしょう。ただ今回のように事故が続いたりすると、予定は狂いがちです。貯蓄は、将来必要となる資金準備と、アクシデントに備えるために行うものです。はっきり目的のある資金は具体的目標額を出し、不意の出費に備える資金とは別に用意しておくと、アクシデントが起きたとき、資金計画の見直しもしやすくなります。貯蓄の内訳とそれぞれの準備計画を整理するとよいでしょう。

結婚資金、緊急資金、その他の資金について、目標額と年次計画を立ててみましょう

現在、年間38万円の積立ができていますので、この貯蓄ペースで資金準備を考えてみます。
まず、必要資金は目標額を出します。

結婚資金は、平均的なご本人たちの結婚準備が2人で約360万円ですから、ここでは1人155万円を目安にしましょう。不意の出費に備える緊急資金の目標は、半年生活できる金額として100万円(16万円×6か月=96万円)。
それからご兄弟の学資は、時期や進路、援助する金額など充分ご家族とご相談することが大切ですが、受験や入学金程度を目安にして、下記のような表を作成してみました。

<<年次ごとの貯蓄残高(年間貯蓄額38万円とした場合)単位:万円>>
 年齢 23歳 24歳 25歳 26歳 27歳 28歳 29歳 30歳 31歳 32歳
 結婚資金 10 25 40 55 75 95 115 135 155 175
 緊急資金 50 68 86 100 100 100 100 100 100 100
 兄弟の学資等 5 10 19 37 55 78 91 109 127
 合計 60 98 136 174 212 250 288 326 364 402

今回のような事故で済めば、結婚資金などに大きな影響はでないと考えられます。もし、もっとまとまった支出が必要になった場合、貯蓄の内訳とそれぞれの準備計画ができていれば、冷静に優先順位を考えて対処できるでしょう。

友だちとのお付き合いも大切。家計のバランスは取れていますので、ときどき息抜きをして、仕事もプライベートも充実させましょう。

今の支出の範囲であれば、お友だちとの旅行もけっして無駄な支出ではありません。ただ、しっかり管理をしようとする思いが強いので、気持ちに余裕がなくなっているのかもしれませんね。ひとり暮らしで自立して生活している上に、親御さんに送金までされていますが、一方でお友だちとのお付き合いもあって、家計から拝見しても、バランスの良い生活をされていらっしゃると思います。
まだお若いので、収入がちょっと少なめなのは仕方ないかもしれません。現在会社にお勤めの方で、今の会社にずっと勤めると思っておられる方は以前ほど多くはないように思います。今のお仕事は専門性が活かせるということですから、目の前の仕事に一生懸命取り組んで、まず仕事に自信が持てるように力をつけていきましょう。

備える手段として、医療保険も検討してみましょう

貯蓄残高がまだ60万円程度なので、病気やケガで入院などしたときは、資金面でちょっと心配です。事故で自動車保険の等級が下がってしまって、負担が増えたところですが、今後、無理のない保険料の範囲で、医療保険を検討してみてもよいでしょう。若い方が最初に加入するものとしては、基本となる病気入院時の給付日額を5000円程度確保し、できれば保障期間は高齢期もカバーできるものが望ましいと思います。