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婚約者がいて子どもは3人希望ですが、結婚の時期で悩んでいます。
お金を貯めてからの方が楽でしょうか?
宮塚 達夫先生 (みやつか たつお) プロフィール |
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小林 仁美さん(仮名 23歳 契約社員)のご相談
同じ会社に勤務する男性と4年間交際し、3年前からプロポーズをされておりますが、お金のことが心配でなかなか結婚に踏み切れません。本当は今年結婚すると言っていたのですが、「あと1年遅らせたほうがお金貯まるんじゃない?」を2年繰り返して現在に至っています。目標は2017年なのですが、それでも心配です。
将来、子供は最低でも2人は欲しく、現在私は朝から晩までガッツリ働いています。子供ができたら働けなくなることや、子供一人育てるのに1千万円はかかるなどということを考えると、子供2人分、最低2千万円は貯めておかないとダメなのかとも考えてしまいます。
私は子供ができたら仕事を辞め、幼稚園入園のあたりから、同じ会社にパートか現在と同じ契約社員で復職したいと思っています。子供は結婚して1~2年後にできたらいいなと考えており、できれば3人欲しいです。
婚約者は全国に転勤がある仕事なので、会社から家賃補助が出ます。結婚後は家賃10万円くらいのところに住み、実際の負担は5万円程度ですが、徐々に自己負担が増え、結婚10年後は全額自己負担になります。結婚後のお金のなりゆきがどうなるのか教えてください。
小林 仁美さん(仮名 23歳 契約社員)のプロフィール
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結婚は先延ばしにせず早く子育てを終了すれば、
貯蓄できるタイミングを逃さず余裕を持って定年後の生活に。
貯蓄できるタイミングを逃さず余裕を持って定年後の生活に。
結婚のタイミングについて
結論から申し上げると小林さんの場合、今すぐ結婚しても何ら問題はないと思います。現在結婚という目標に向かって、ものすごい勢いで貯金をしているお二人、これほど頑張って貯金をしている方は滅多にいらっしゃいません。親と同居、独身寮といった恵まれた環境を差し引いても、毎月4万円程度で生活費をやり繰りするのは、容易なことではないはずです。今のままの経済観念を維持できるのなら、結婚によって新たに発生する家賃や水道光熱費などを支払っても、相当な貯蓄ができるはずです。
今すぐ結婚した場合と2年後に結婚した場合、2年間で貯蓄できる金額はどのくらい違ってくるのでしょうか?
<2年後に結婚した場合>
小林さん 16万円×12カ月×2年=384万円
婚約者 17万円×12カ月×2年+70万円×2年=548万円
2人合計 384万円+548万円=932万円
<今すぐ結婚した場合>
・毎月10万円(水道光熱費等を含む)で2年間生活したと仮定
20万円(小林さんの月収)+21万円(婚約者の月収)-5万円(家賃)-10万円(2人の生活費)
=26万円(毎月の貯蓄金額)
26万円×12カ月×2年=624万円
・今まで通りと同様に婚約者のボーナスを貯金したと仮定
624万円+(70万円×2年)=764万円
932万円-764万円=168万円(2年間の差額)
168万円は確かに大きな金額です。
しかし、早く結婚することによるメリットもあるのです。
小林さんたちお二人の今後の貯蓄パターンを予想してみました。
1 | 独身時代 | 大きな貯蓄が可能。 |
2 | 新婚生活 | 独身時代程ではないが、大きな貯蓄が可能。 |
3 | 子供幼少期 | 共稼ぎができないので、貯蓄困難。 |
4 | 子供年少期 | 奥様がパートに出て、多少貯蓄可能。 |
5 | 子供年長期 | 子供の教育費が大きく、貯蓄困難。目減りする可能性大。 |
6 | 子供独立後 | 共稼ぎが可能で、大きな貯蓄が可能。 |
7 | 定年後 | 年金では生活費が足りず、貯蓄が少しずつ目減りしていく。 |
これは一般的なパターンなのですが、今小林さんたちは正に①独身時代で、この期間を長くしようと考える小林さんの考えは決して間違ってはいません。
しかし、小林さんの場合、すぐ結婚するのもアリだと思います。なぜなら長い目でみた場合、早く結婚して子供を育て、⑥子供独立後の期間を長くするという方法もお勧めだからです。確かに、子供が生まれるまでに少しでも多く貯金しておいた方が、余裕ある生活を送ることができます。しかし、大きな貯蓄が可能な①独身時代②新婚生活の時期の収入と、⑥子供独立後の時期のご主人の収入を比較した場合、⑥子供独立後の収入の方が高いことがほとんどなので、結果的に大きな金額を貯蓄して、⑦定年後を迎えることができるのです。
また少々不謹慎ではありますが、結婚のタイミングをいわゆる「さずかり婚」で決めるのはいかがでしょうか?オメデタを確認してから結婚するのです。①独身時代の時期を最大限に長くすることができ、なおかつ⑥子供独立後の時期も長くすることができるからです。同じ会社で働くお二人で、周囲も公認の間柄なら、考えられるのではないでしょうか。
お子様出産計画
「子供は天からの授かりもの」コウノトリが運んでくるので、いつ生まれるか誰もわかりません。でも、もし可能であれば、計画的に出産したいものです。
3人のお子様が欲しいと考える小林さんなら尚更です。3人の進学時期が重なったら、大変です。結果的に出費する金額は同じでも、一気に貯金が目減りすると、精神的に滅入ってしまうものだからです。
家計面だけを考えてお子様3人でもっとも望ましいのは、3人が年子のケースだと思います(もちろん仁美さんの負担は大きいです)。進学時期が重ならないのと、下のお子様は少し可哀そうですが、洋服の着回しや書籍・文房具などの使い回しができるからです。この場合洋服はなるべくバイセックスのものを買っておくことをお勧めします。
他に進学が重ならないパターンは、
① 2人年子がいて、その後3年空いて4年目に第3子が生まれる場合。
② 第1子が生まれてから3年空いて4年目に第2子、5年目に第3子が生まれる場合。
などがあります。いずれにしても、最低2人は年子(学年が連続)になってくれたらありがたいものです。もっとも大学受験に失敗するなど、人生計画が狂うことはしょっちゅうあることなので、最初からそのことは頭に入れておきましょう。
キャッシュフロー表を作りましょう。
上述したように、いくら綿密な計画を立てても、計画通りにいかないのが、人生です。思わぬ収入や出費だってあるはずです。そんな時にアタフタしないためにお勧めするのが、キャッシュフロー表を作成することです。キャッシュフロー表とは、現在の収支状況や今後のライフプランをもとに、将来の収支状況や貯蓄残高を予想し、表でまとめたものです。
家計簿は毎月の収支が黒字なのか赤字なのかを把握し、毎月の支出の削減を促す、いわゆる節約効果がありますが、キャッシュフロー表を作成すると長期的なお金の流れを把握することによって、現時点でできることを考えて、なおかつ実行することが可能となります。
インターネットで検索すれば、さまざまなキャッシュフロー表の雛型を手に入れることができるので、是非作成してみてください。その際注意していただきたいのは、キャッシュフロー表はあくまでも、おおまかな資金計画の予想なのであって、必達目標金額を掲げた表ではないということです。柔軟に数字を修正して、おおまかな資金計画を立てるツールとして役立ててください。
貯蓄の運用
苦労して貯めたお金です。少しでも増やしたいものです。株で大儲けできたらとてもハッピーです。しかし、大損することだってあるのです。どうしたらいいのでしょうか。
利回りという言葉をよく耳にするかと思います。銀行預金の場合は利息です。しかし、現在は超低金利時代。銀行に預けていてもほとんど増えません。そこで、お二人のリスク許容度にもよりますが、貯蓄のうちの何割というように決めた枠内で、ある程度の投資をしてみるのもいいかもしれません。預金のような元本保証型商品、リスクがある投資商品いずれを選択するにあたっても、まずは税制の特典を最大限利用することをお勧めします。なぜかというと、税金の戻り分を利回りとして計算すると、実質利回りが相当高くなるからです。
以下、税制優遇を受けられる代表的な商品です。① 財形貯蓄
② 確定拠出年金(401K)
③ NISA
④ 制適格特約付個人年金保険
②、③は運用成績によっては元本から目減りする場合があるので、注意が必要です。始めようと思ったら、必ずしっかり勉強してからにしてください。
贈与の活用
現在親から子供(孫)への贈与に関してさまざまな優遇措置が生まれています。もし、お二人のご両親に経済的余裕がある場合は、是非話を持ちかけてみましょう。相続税対策になる場合だってあります。
まとめ
ご自身で作成したキャッシュフロー表をご覧いただければ判るかと思いますが、現在と同じような節約を続けていけば、将来何の不安も生じないかと思われます。今は結婚という大きな目標に向かって生活を切り詰めていらっしゃるかと思われますが、たまには息抜きも必要です。人生この先まだまだ長いです。
美味しいものを食べに行ったり、趣味に時間を費やしたり、旅行に出かけたりするなど、お二人で幸せな時間を過ごしていだだければと思います。小林さんのような経済観念があれば、何にも心配することありません。