目次
村井 英一先生 (むらい えいいち) プロフィール |
|
黒田俊也さん(仮名 53歳 会社員)のご相談
妻と子供2人で、世帯年収900万円の会社員家族です。子供は高校生と中学生で、これから教育費がかかる時期を迎えます。本来ならこの時期に貯蓄を増やしておかないといけないと思うのですが、なかなか貯蓄ができません。けっして贅沢をしているつもりはないのですが、どこを削ればよいでしょうか?
黒田俊也さん(仮名 53歳 会社員)のプロフィール
|
ムダ遣いが多い体質になっていませんか?
「大きな金額のもの」と「毎月必ずかかる固定費」から見直していきましょう。
「大きな金額のもの」と「毎月必ずかかる固定費」から見直していきましょう。
1.収入が多くても貯蓄できないのは、ムダ遣い体質になっているから
山崎様、こんにちは。なかなか貯蓄ができないとのことで、家計管理にご苦労されているようです。これから、ご長男、ご長女が大学や専門学校などに進学することを考えると、今のうちに貯蓄を増やしておきたいところです。そろそろ老後の準備も必要です。そう考えると、気ばかりあせってしまいますが、どこから手を付けてよいのかわからない状況ではないでしょうか?
「けっして贅沢をしているつもりはないのですが…」
とおっしゃっておられますが、そんな中にもムダな支出がありそうです。
山崎様は世帯年収900万円で、収入は少ない方ではありません。それでも貯蓄ができないのは、家計のムダ遣いが多い体質になってしまっているようです。これを機会に、家計を見直しましょう。
2.毎日、節約の努力をしても、それほどの効果はない
家計の見直しのポイントは、「大きな金額のもの」と「毎月必ずかかる固定費」から見直す、ということです。〝節約〟というと、スーパーで必死に安いものを探したり、毎日ガマンの連続、ということを思い浮かべてしまいます。確かに、日常の買い物での節約はすぐに手を付けることができます。しかし、節約のために、毎日安いものを求めて努力や我慢をしても、効果はそれほど大きくはありません。10円単位、100円単位の節約を重ねても年間の収支に与える影響はわずかです。もちろん、ちりも積もれば…で、けっしてないがしろにはできませんが、ちょっと衝動買いをしてしまうと、一挙に節約分が吹き飛んでしまいます。
家計の年間収支を改善しようと思ったら、計画的に「大きな金額のもの」と「毎月必ずかかる固定費」の削減から実行していった方が、確実に効果があります。
支出を1割減らすといっても、減らすことができない支出も少なくありません。その点を考慮すると、減らすことができるものは2割をメドに減らす必要があります。もちろん、そこにはガマンも必要になります。
3.「大きな金額のもの」と「毎月必ずかかる固定費」の見直し例
まず、「大きな金額のもの」を見直します。大きな支出で多いのは、「旅行」「趣味(主にゴルフ)」「自動車」です。これらは、減らすことができるものです。すべてやめてしまう必要はありません。金額が大きいだけに、2回を1回に減らす、今までよりもランクを下げる、などでもかなりの支出減となります。
せっかくの楽しみを抑えてしまうわけで、ガマンが強いられます。しかし、貯蓄をしようと思ったら(またはその必要がある場合は)、何らかのガマンは必要になります。「これがあるから、普段の生活で頑張れるのに…」という人もいるかもしれません。どうしても譲れないものは、確保してもよいでしょう。ただし、その場合は他の支出も含めて、優先順位を決めて取捨選択することが大切です。
山崎様の場合、毎年ご家族で海外旅行に行かれています。さらに、ご主人様のゴルフでの支出もあります。自動車の買い替えも含め、お子様の教育費が終わるまではこの辺りを調整されるとよいでしょう。
「毎月必ずかかる固定費」は、主に銀行口座からの引き落としなどで支払っているものです。ケーブルテレビやスポーツクラブの会費などがあります。口座引き落としにしていると、つい「お金を払っている」という感覚がなく、支払い続けていることがあります。毎月は数千円でも、年間では万単位の支出になっています。
携帯電話のプランや保険の加入状況はいかがでしょうか?プランの見直しで料金を下げられないか、検討をしてみましょう。生命保険については、加入しすぎの場合があります。ただ、学資保険や個人年金など、貯蓄型のものであれば、貯蓄の代わりになっていますので、問題ありません。山崎様の場合は、終身保険に多く加入していますが、これは万が一の際の遺族補償という面だけでなく、将来のための貯蓄にもなっています。老後に解約して、解約返戻金を受け取ることができるからです。「貯蓄ができない」と心配されていますが、この部分ではしっかりと貯蓄ができていることになります。
固定費見直しの際は、プランの変更や削減を検討したり、手続きの書類を書いたりと、手間がかかります。しかし、一度手続きをしてしまうとそれがずっと続きますので、節約の効果は大きくなります。
まずは毎月の支出合計がお二人の月々の収入に近づくよう、固定費の見直しから取り組んでみましょう。