結婚したばかりで家計管理をどうするか悩んでいます。


結婚したばかりで家計管理をどうするか悩んでいます。

今回、回答いただく先生は…


鈴木 暁子先生
(すずき あきこ)

プロフィール

  • 家計管理は十人十色。自分たちのルールを作りましょう。
  • ライフステージによって変わる家計への対応と貯蓄ができるしくみづくりを。
  • 家計管理のスタンスを夫婦で話し合いましょう。

田村明日香さん(仮名 30歳 会社員)のご相談

結婚を機に、お財布を一緒にして私が管理したいと思っているのですが、彼は財布を分けたいと言います。分けてしまうとちゃんと家計管理できるのか不安です。
結婚資金で貯蓄を使ってしまったので今は減ってしまいましたが、一応結婚資金も貯めていましたし、信頼されないほど家計管理が下手だとは思わないのですが・・。

ご相談者のプロフィール

家族 手取り 貯蓄
本人
30歳
会社員
約350万円 80万円

33歳
会社員
約400万円 150万円

貯め時の今を無駄にしないような家計管理を
2人の話し合いで決めましょう。

1.家計の管理のしかたはいろいろあります。

田村さん、こんにちは。ご結婚おめでとうございます。新しい家庭を築かれ、家計管理もしっかりしていきたいというお気持ちはよくわかります。家計管理も最初が肝心ですのでぜひ頑張ってください。

家計管理を誰がメインで行うかはさまざまです。日々の生活費を扱うのが奥様であることが多い、あるいは夫は仕事で帰りも遅く、家計管理まで手が回らないから、妻に任せているというケースが多いようです。逆にパソコンなどが得意な夫が管理するという世帯もあります。要はやりやすいほうが、あるいは得意なほうに任せるのが自然というところなのでしょう。

専業主婦世帯であれば夫の収入がすべてですので、お互いにあまり家計を隠すことはしないようですが、共働きの場合、夫婦別会計を希望する世帯も増えています。これまで自分の自由にしてきたお財布事情に干渉されたくないという思いがあるのでしょう。
もちろん別財布だからといって家計管理ができないわけではありません。ただ、一元管理より収支の把握が難しくなるのは確かです。家計管理のタイプを比較してみましょう。

【家計管理のタイプ】
特徴 デメリット
共通財布に夫婦の収入を全額入れる ・生活費、固定費、小遣い等すべて共通財布から支出
・一元管理のため、収支が把握しやすい
・貯蓄がしやすい
・小遣いが限られる
生活費、固定費分の共通財布を作る ・生活費、固定費分を、夫婦の収入に応じた割合で共通財布に入金。残りは各自の管理とする
・小遣いなどの自由度は高い
・貯蓄は自己責任(各自がしっかりしないと貯まらない)
・相手の貯蓄状況がわからない
費目ごとに支出を分担する ・食費、光熱費は妻、住居費は夫など、費目ごとに分担する
・小遣いなどの自由度は高い
・収入が減った場合、負担が重くなる
・ライフステージにより、支出の大きさが変わる→負担に不公平感も
・貯蓄は自己責任
・相手の貯蓄状況がわからない

よくあるタイプをご紹介しましたが、家計管理の方法は世帯によってまちまちで、「こうあるべき」というものはありません。これらのメリットと注意点などを参考に、自分たちのルールを作っていくことが納得できる家計管理の第一歩だと思います。

2.柔軟な家計管理と貯蓄のしくみづくりがポイントです。

「自分たちなりのルールづくりを」と申しましたが、次の点を参考にしていただきたいと思います。

夫婦別会計で一番気になるのは、相手の貯蓄状況がわからなくなることです。お互いに「相手はけっこう貯まっているだろう」と思っていたら、実は全然貯まっていないというケース。せっかく共働きで収入が多いにもかかわらず、貯蓄ペースが鈍いのです。自由になるお金の中には貯蓄分も含まれているのですが、使うお金のコントロールが甘く、貯蓄分が少なくなりがちなのです。
また、貯蓄が把握できていないと、たとえば今後生命保険や医療保険に加入するうえで、必要な保障額もわからないという弊害も起こります。

したがって、まず別会計であっても貯蓄できるしくみづくりをしましょう。特に共稼ぎでお子様がいらっしゃらない今はまさに「貯め時」です。基本的には、最初に貯蓄分を確保してしまう、いわゆる先取り貯蓄のしくみです。

お二人とも社会人になって8~10年になりますので、一人暮らしで家賃負担などがあったとしても、ある程度コンスタントに貯蓄ができていたと思います。ですからご結婚後もこのペースを維持すれば良いと考えていらっしゃるかもしれません。
一緒に暮らすようになれば、たとえば家賃や光熱費はお二人で1室分、食費などもこれまでのお二人の合計額分かかるわけではありませんよね。ですからこれまでよりもっと貯蓄割合を上げることも可能です。奥様が定年までずっとお仕事を続けていけるかはわからないため、奥様の収入はすべて貯蓄に回し、生活費はすべてご主人の収入のみでまかなっているというご家庭もあります。

お二人とも勤務先に財形貯蓄制度があり、明日香さんは結婚資金を一般財形貯蓄で貯めていたとのこと。今後は年金財形でゆっくり老後資金の一部を準備するのも良いでしょう。
また、まだ若いお二人ですので、貯蓄の一部をリスクがあまり高くない投資信託などに積立投資していくのも選択肢になるでしょう。定期的に少額ずつコツコツ積み立てる方法であれば、リスクも軽減できます。金利は低くとも引き出しやすい予備資金を確保した上で、バランス良く運用して資産を形成していきましょう。
その際、生活費も併せて見直しましょう。専業主婦世帯ですと比較的節約に対する意識が高いのですが、それに比べ共稼ぎ夫婦はけっこうゆとりのある生活費がスタンダードになってしまいがちです。
家計の支出はライフステージが進むにつれ変化していくものです。たとえばお子さんができれば、出産後共稼ぎではなくなるかもしれません。共稼ぎを続けられたとしても「教育費」や「住宅ローン」が発生すると、当初の家計管理ルールでは対応できないこともあります。教育費の支出が増えたり、住宅ローンを抱えることになった場合、大きく固定費が増えるためお金の自由度が縮小し、貯蓄ができない、小遣いが足りないといった状況に陥ってしまいます。生活水準を下げることはとても難しいので、将来を見据えながら今の生活費を抑えて、余裕のある分を貯蓄にまわしておきましょう。ただし、あまりガチガチに決めてそれを守り通そうとするのではなく、その都度対応(ルールを見直し)する柔軟さも必要です。

なお、別財布にして自由度を高くしたとしても、干渉しないのはお小遣いであり、貯蓄額(コンスタントに貯められているか)などは今後のライフイベントに関わることですから、定期的にお二人で確認することは必要ですよ。

3.家計管理は夫婦のコンセンサスを取ることが重要です。

家計管理のルールを検討することは望ましいことですし、必要なことでもあるのですが、ご夫婦で家計管理のスタンスが違っていたり、金銭感覚やお金まわりの価値観についても同じとは限りません。そのため家計のことをお二人だけで話し合うとケンカになってしまうというケースも実は多いのです。

そのような時はファイナンシャル・プランナーなど第三者に間に入ってもらっても良いでしょう。お財布事情ですので知人では話しにくいことも、淡々とお二人の気持ちを整理していきますし、お二人が気づかないことを上手に引き出して、アドバイスしてもらえますよ。