やりくりしても貯蓄が増えません 車の買いかえ、子どもの教育資金も貯めたいのですが


内田 ふみ子先生 プロフィール
家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。
ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。

坂口 昌子さん(仮名)のご相談

節約しているつもりですが、貯蓄が増えません。車が8年目なので数年以内には買い替えることになります。子どもたちの教育費も考えると、貯めたいのですが、給料が減ってしまったので厳しくなりました。家のローンが長いので繰上返済も考えています。下の子が春から小学校に入るのでパートに出るつもりですが、収入を増やすほかに何か方法はないでしょうか。

坂口 昌子さん(仮名)のプロフィール
33歳。同い年の旦那さん(会社員)と8歳、6歳のお子さまとの4人家族
家計状況
月収(税金・社会保険料を除いた可処分所得)
370,000 円
月間支出
住宅ローン 150,000 円
ローン(ソーラーローン 残り8年半) 17,000 円
水道光熱費 18,000 円
電話代(携帯代含む) 9,000 円
食費 30,000 円
教育費 22,000 円
教養娯楽費 5,000 円
日用雑貨・被服費 5,000 円
雑費 10,000 円
その他の支出 49,000 円
生命保険料(夫婦とも終身保険) 33,000 円
自動車保険料(2台分) 7,000 円
積立貯蓄 15,000 円
ボーナス
700,000 円
年単位の支出 806,000 円
固定資産税 100,000 円
火災保険料 83,000 円
自動車税 45,000 円
その他の支出 472,000 円
貯蓄残高
預貯金 900,000 円

<<希望・予定>>

  • 数年以内に車の買い替え。
  • 5月からパート。

<<住居>>

  • 持ち家(ローン残高:3000万円、返済期間残り:33年)

毎月の家計を苦しくしている原因は住宅ローン ボーナスを含めて年単位の予算を組んでみましょう

現在、年収の約3割余りを占めている住宅ローン。収入が減ったことで負担感が増したと思います。それでも生活費を切り詰めながら、毎月の積立はきちんと続け、よく頑張っておられます。しかし一方でボーナスから貯蓄ができていないので、支出をもう少し細かく把握してみる必要はありそうです。月々だけではなく、年単位でも不定期の支出と、ボーナスからの貯蓄を予算化しましょう。予算化することで、そのなかで何とかしようという工夫も生まれてくるものです。

まずご主人の収入で生活することを基本に予算を立て、貯蓄の可能性を作ってみましょう

今の貯蓄残高と貯蓄ペースは、短期で車の買い替え、中長期で教育費、というまとまった支出予定に追いつかない可能性があります。これからパートの収入をしっかり貯蓄にまわすには、現在のご主人の収入で、きちんと生活していけるベースを作ることが大事です。
毎月決まって出ていくお金のほかに、冠婚葬祭の交際費やお子さんの行事、季節の衣服など、生活に必要だけれど不定期な支出というのが、かならずあります。日々の生活はこれ以上無理というくらい切り詰めておられ、今月を乗りきることにずいぶんエネルギーを使っていらっしゃることでしょう。もう少し目を先に向け、家計を年間で予算化し、不定期支出をならして、月々の収入やボーナスから取り分けておく方法を試してみましょう。毎月追われている気持ちも少し楽になるかもしれません。
おそらく今も不必要なものに支出しているのではないと思いますが、その都度必要に迫られて出すより、予算枠があるとその範囲で納めようとする気持ちが働きます。急いで高いものを買ってしまったり、ひたすら安く、ではなく合理的に支出を抑えるように考える習慣をつけましょう。
予算の中には、レジャー・趣味など楽しみのための予算もとっておくことを忘れずに。

痛みを伴わない節約や自己投資で、ストレスを溜めずに気持ちを前に向けましょう

ひたすら切り詰めていくのはストレスが溜まり、気持ちも消耗する一方です。NHKの受信料や保険料など、月払いの費用を年払いにすると、割引によって、生活を切り詰めなくても支出を減らせるものもあります。保険は、商品によってできるものとできないものがありますが、痛みを伴わずに支出が減らせるものは活用しましょう。
また、これからパートに出て収入を得たとき、パートに出るための洋服や家事を省く費用以外に、自己投資分も確保したうえで、家計の貯蓄に回すようにしてください。働ける期間はまだ20年はあります。今後は働きつづけるために、スキルを身につけたり、自分を成長させていくことが必要になるからです。お子さんはこれから手が離れていきます。その先の自分自身のことも、家計の予算のなかで考えてみましょう。

まず貯蓄を優先して、繰上返済は教育資金の目途が立ってからに

完済時が66歳で、月々家計の余裕がなくなってしまう住宅ローンは、少々無理があったかもしれません。ソーラーローンを含めると、固定された住居費の割合が高く、収入が減れば当然生活費と貯蓄にしわ寄せがいきます。
繰上返済で、返済期間を短縮したり月々の返済額を軽減したいところですが、今手元にあるのは100万円足らず。生活費の半年分250万円程度の貯蓄を確保するのが先。順序として次は教育資金の確保。繰上返済はその目途が立ってからにしてはいかがでしょう。
下のお子さんが22歳で大学を卒業したとき、ご夫婦はまだ49歳。年齢的にはまだ充分若く、健康であれば働いて、そこから繰上返済をして、老後に備えていくことも可能です。