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内田ふみ子先生 プロフィール |
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沢田 葉月さん(仮名)のご相談
30歳までに子どもが欲しいのですが、貯蓄が少なく不安です。
また、2年以内に身内から譲り受けた車の代金150万円を支払わなくてはなりません。新車にも買い換えたいと思います。そうするともっと貯蓄しなくてはいけないのですが、つい外食や買い物に使ってしまいます。どのようにやりくりすればよいでしょうか。
また現在パートで働いていますが、このままいくと収入が103万円を超えてしまい配偶者控除を受けられなくなりそうです。税金や社会保険料を負担しても主人の扶養から外れて収入を増やした方がよいのでしょうか?
沢田 葉月さん(仮名)のプロフィール
26歳、パート勤務。同い年のご主人(会社員)との2人家族
・家計状況
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<<希望>>
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節制して貯蓄することも大切。3でも子どものいない今なら、収入アップを目指すことが効果的です。
現在、財形貯蓄を含めると年間で150万円の貯蓄ができることになります。2年有れば、貯蓄を増やしながら150万円の返済は無理なくできる計算です。
しかし、毎月6万円の貯蓄ができているのは、住居費が低く抑えられているということと、葉月様がお仕事をされているからです。仮にご主人の収入だけで生活すると、貯蓄はできず毎月の支出は約3万円の赤字。ボーナスも貯蓄ではなく赤字補填に回ることになります。
会社員の年収も右肩上がりで必ずしも上昇していかない時代です。ご希望通り出産されれば、現状のままでは出産から仕事復帰までの期間が長くなると、かなり家計が苦しくなることが想像できます。
500万円の貯蓄目標に向けて、ちょっと買い物しすぎたかな、という分を見直すと同時に、今のうちに、世帯収入のアップをはかり、葉月様が出産後も早めに仕事復帰できるような準備を進めておきましょう。
「妻のこづかい」という項目を作りましょう。
沢田家は共働きで財布はひとつ、という家計。でも「夫のこづかい」があるのに「妻のこづかい」の項目はありません。仕事に出るための身だしなみの費用などは支出されているはず。教養娯楽費や雑費に入っている品目を見直し、仕事のための経費などの支出項目を「妻のこづかい」として追加しましょう。
ご夫婦で将来の生活設計をよく話し合い、10年後ぐらいまでのキャリアプランを立てます。必要なら自分磨きの費用はそれぞれのこづかい項目に予算化します。
子どもができてからでは、時間を作るのも難しくなります。比較的自由に動けるうちに可能なことはしておきたいものです。
使い過ぎを抑えるには、ルールを決めること、はじめに積立額を増やしてしまう方法で対処。
まだ若いお二人ですから、外食や楽しみのための費用を削るのは難しいかもしれませんね。たとえば外食や行楽は月何回、欲しいものは優先順位をつけて一度に買わない、などルールを決めて、楽しむことと我慢することのメリハリをつけてはいかがでしょう。それでもつい使ってしまうなら、財形や毎月の積立貯蓄額を、無理のない範囲で増額するのも一手です。
年収130万円以上になると手取りがぐっと減ることも。手取り収入を殖やすなら160万円以上を目標にしましょう
パート収入が増えると、葉月様自身の税金や社会保険料負担が発生したり、ご主人の税金が増えたりします。葉月様の場合、パート年収130万円以上で、健康保険の扶養から外れるので、年金や健康保険の保険料を払わなくてはなりません。また勤務先から家族手当が支給されているときは打ち切られる規定になっている場合もありますので、そのマイナス分を考慮すると、働き損にならないためには、年収160万円以上が目安になるでしょう。
ただし、今年は既に半年が過ぎていますから、年収160万円以上を目標にすると、これからは18万円/月が一つの目安となります。
現在、税制の配偶者特別控除の縮小や、年金制度も改正が政府内で検討されています。すぐに変更されるわけではありませんが、今後は働いた人が報われる制度になることが予測されますので、とくに葉月様のような若い世代は扶養の範囲にこだわらず、仕事の経験を積んだりスキルアップを心掛け、将来の収入を確保することが何よりの備えになります。
※ 以上の計算は、パートなどの給与所得の場合です。原稿料や在宅での業務委託のような仕事での収入の場合は、課税最低ポイントなどが異なりますのでご注意下さい。
※ 夫の健康保険の被扶養者から外れた場合、妻が勤務先で社会保険に加入できれば、厚生年金と健康保険の保険料、また、加入できなければ、国民年金(平成14年度は月額13300円)と国民健康保険の保険料を支払う。
※2 配偶者特別控除は夫の年間所得が1000万円以下の場合。