子供が生まれたら、「学資保険」「子ども保険」に入るものだ…と漠然と思っている人がとても多いようです。確かに私たちの親の代は、かんぽや生命保険会社の運用利率も高く、貯蓄をしながら、ある程度の保障も得られる学資保険・子ども保険は一石二鳥の商品だったかもしれません。
ところが、最近は、18歳などの満期時に受け取る保険金が、それまでに払い込んだ保険料合計よりも少ない商品も多くあります。(詳しくはこちらを参照↓↓↓)
http://setsuyaku-lifeplan.com/COLUMN/MONTHLY/200402.html
これは、運用の利率が低く、かつ、期間中の契約者や子どもの保障が含まれている分、コスト高となっているからです。そこで、今までの商品選びに固執することなく、子どもにかかるお金を効率的に準備するための方法を整理してみましょう。
目的にあわせて、学資保険以外の商品も検討を
まず、お金の準備手段を考えるときには、自分の子どもに何が必要なのかを考えることが一番です。たとえば、以下のようなことがあげられるのではないでしょうか?
- 教育方針に合わせた進学資金
- 稼ぎ手に万一のことがあったときの養育費
- 子どもの病気や事故の保障
- 子どもが他人に損害を与えた場合の損害賠償
たとえば、1.の進学資金については、毎月コツコツと計画的に貯蓄ができる人ならば、あえて、学資保険などの保険商品で準備する必要はありません。まず、給与天引きや自動積立定期などの比較的安全重視の商品で元手を着実に殖やし、将来、金利が上昇した場合には、より有利な金融商品へ預け替えをすれば、長い間、低金利で固定されてしまう保険商品よりも殖やすことが可能です。
次に2.の養育費については、子どもが生まれた直後に、稼ぎ手本人の生命保険契約で、万一の保障が確保されているならば、あえて、養育費分の保障がついた学資保険を利用する必要はありません。養育費と進学資金をセットにしてしまうと、仮に、高校進学の資金として学資保険を途中解約した場合には、万一の際に養育費を受け取れる保障も放棄してしまうことになります。よって、通常は、子どもが一人生まれると親自身の契約で死亡保障を1,000万円程度上乗せするほうが安心でしょう。
3.の子どもの医療保障は、まず、各自治体の医療費助成制度をご確認ください。小学校入学前までは、医療費が無料になる地域もあります。現預金300万円程度を常に予備費として準備しておき、急な出費にはそこから捻出する方法もあります。また、17歳程度、またはその先にわたって、子どもの医療保障を確保しておきたい場合は、こども用の共済や単体の医療保険を検討するといいでしょう。
なお、親の生命保険に子どもの入院特約をつける人も見られますが、親に万一の際、ベースとなる契約が終了してしまうと、子どもの入院保障も切れてしまうので、やはり、契約は一人一契約のほうが安心です。
最後に、4.の損害賠償については、日常のしつけなどの中で注意するとともに、基本的には現預金で準備することが多いでしょう。子ども用の共済には、損害賠償に備えた保障がついているので、それを活用する方法もあります。
目的 | 準備手段 |
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1. 進学資金 | 財形貯蓄、定期預金、MMFなど。 |
2. 養育費 | 稼ぎ手本人の生命保険契約で保障を確保。 |
3. 子どもの医療保障 | 自治体の医療費助成制度や予備費(現預金300万円程度)から。長期的に不安なら、こども用の共済や、単体の医療保険など。 |
4. 他人への損害賠償 | 予備費(現預金300万円程度)から捻出するか、こども用の共済、個人賠償責任保険など。 |
貯蓄と保障は別々のほうが、将来も管理しやすい
上記2.でも示しましたが、保障と貯蓄をセットにすると、途中で貯蓄部分を使いたくなった際に、保障も終わってしまうという問題が生じることもあります。お金は将来使いたいときに使うためのものなので、セットにすることで片方の目的が途絶えてしまうことのないよう、それぞれ別建てで管理することをお勧めします。
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
吹田朝子