統計から見る、小・中・高の教育費
これから小学校・中学校へと進学していくお子様がいらっしゃる方、そして、子どもが欲しいなと思っている方も、みなさん興味や不安を持っているのが「子どもの教育費はどのくらいかかるのだろう?」ということではないでしょうか。教育費は、公立か私立かという進路によっても異なります。どのくらいの金額の違いになるのか、統計から見てみましょう。
文部科学省「平成14年度 子どもの学習費調査」によれば、小学校から高校までずっと公立であれば12年間の教育費総額は約460万円。公立コースでも、子どもが二人居れば1,000万円近くのお金がかかることになります。一方、小学校は公立、中学・高校では私立に通うとなると、12年間の教育費総額はなんと約850万円。公立コースの2倍弱のお金がかかることがわかります。
その内訳を見てみると、私立学校に通った場合は授業料が高いだけではありません。公立と比べて大きく違うのが学校納付金です。寄付金や学校債はあくまでも任意ですが、最低口数を支払うという人が多くなっているのが実態のようです。また、それ以外にも修学旅行費、通学費、制服代などが、公立学校よりも出費が大きくなっているのが特徴です。
学校外教育費については、公立と私立でさほど大きな違いは生じていません。エレベーター式の私立学校に通えば、塾代がなくなるというようなことも考えられますが、実際のところは、それ以外のお稽古事などにお金を費やしているのかもしれませんね。
~中学(3年間)、高校(3年間)でかかる教育費は…~
お受験するなら、将来の収支までよく考えて
最近は、「お受験」という言葉も定着し、幼稚園や小学校から私立に通うことを考えるご家庭も増えてきたのではないでしょうか。では、小学校から私立に通う場合には、どのくらいのお金がかかるのでしょうか。
<私立学校の入学料および年間授業料>
入学料(2003年度) | 年間授業料(2003年度) | |
---|---|---|
小学校 | 17.4万円 | 34.6万円 |
中学校 | 18.5万円 | 36.6万円 |
高校 | 16.2万円 | 33.8万円 |
平均額では、上記のようになっていますが、気をつけたいのは同じ私立学校でも、学校によって学費にかなりの違いがあることです。例えば
小学校 | 中学・高校 | 合計 | |
---|---|---|---|
有名私立校A | 約700万円 | 約570万円 | 約1,270万円 |
有名私立校B | 約340万円 | 約460万円 | 約800万円 |
どちらも、大学まで続く有名校ですが、小学校では学費が倍近く異なっています。どの学校に進むのか分からないことが多いと思いますので、高校卒業まで学費だけでも年間100万円近くは必要になるかもと、覚悟しておいた方がよさそうです。
また、私立学校は、入学前の受験準備段階でもお金がかかることも忘れてはなりません。統計数字にはありませんが、小学校受験のためには数百万円、中学校受験のためには、小学校5,6年生になると年間100万円近くの塾代等がかかると言われています。つまり、私立を考えるのであれば、入学の2~3年前から入学後とほぼ同じような教育費がかかるということです。
私の身近でこんな話がありました。私立中学にお嬢さんが合格し、喜び一杯である一方で、「非常に学費が高い学校なんだ」とご両親は頭を抱えていました。そんなことはわかっていたはず、と思ったのですが、子どもが一生懸命受験勉強をしたのだから、どこか入れる学校をといざ受験本番の段階では、学費のことは二の次になってしまったと。
また、お子様が二人以上いる場合には、上のお子様が私立に行くと、下のお子様も私立に行かせないわけにはいかない、という状況になりやすいようです。つまり、一人を私立の受験ルートに乗せてしまうと、後戻りはしにくくなるということ。周りの雰囲気に飲まれ、安易に私立受験を狙うと親子ともども苦しい立場に追い込まれかねません。受験体制に入る前に、将来的にも無理のない出費なのかどうか、しっかりと考えるようにしたいものです。
年間収入ではカバーできない部分を準備
さて、教育費に1,000万円以上もかかると聞くと、それを事前に用意しなくてはならないの?と思われる方も多いようです。教育費以外にもマイホームの取得があったり、車の購入があったり、お子様が小さいうちは何かと出費も多く、教育費全てを事前に貯蓄するのは難しいですね。一般的な収入と支出は、次の図のようなイメージになります。
支出の方が収入を上回っている年は、収支が赤字になるということで、この期間は貯蓄を取り崩しながら乗り切る必要がありますね。赤字になる年がいつ頃くるのか、そしてその赤字金額がどのくらいになるのかの見通しがつけば、その時点に向けて貯蓄すればよいと、目標が作れます。
いつ頃、そしてどのくらいの赤字金額になるのかは、お子様の人数や年齢の差、そして進路によってさまざまでしょう。将来に向けてのキャッシュフロー予想を立ててみることが、いつまでに、いくらを教育費として準備するのかを把握する一助となるはずです。
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
高田晶子