クルマを保有している人にとって、5月末にかけて自動車税の納付期限もあり、出費のかさむ時期。他にも維持費として無視できないのが保険料で、平成17年4月から自賠責保険の保険料が改定されています。今回は、なぜどのように改定されたのかチェックしてみましょう。
自賠責保険の保険料ってどう決まるの?
自賠責保険(共済)は、ご存知のとおり、すべての自動車(原付含む)を保有する人が1台ごとに加入を強制されている保険です。加入していなければ、車検を受けることもできません。自賠責保険は、人身事故による被害者を救済することを目的に、ケガや後遺障害や死亡による損害・治療関係実費・休業損害や逸失利益・そして慰謝料について、一定限度額の範囲でカバーしています。
その補償限度額は、1人あたり
- ケガでは120万円まで
- 死亡では3,000万円まで
- 後遺障害の程度によって、著しい障害で常時介護が必要な場合では4,000万円まで
となっています。
そして、この自賠責保険の保険料は、以下のように決まります。
基準保険料 | – | 国からの保険料等充当交付金 | = | 私たちの支払う保険料 |
- 「基準保険料」は、自賠責保険の支払保険金について、過去の事故のデータ等から予想して算出されます。
- 「基準保険料」から、国による補助金である「保険料等充当交付金」を差し引いたものが、実際に私たち契約者が負担する保険料となります。
今回の保険料改定はどの部分の影響が大きい?
国からの「保険料等充当交付金」とは、平成14年度の制度改正(政府再保険制度の廃止など)により、過去の累積運用益をもとに平成14年度から6年間にわたり補助金として還元されるものです。
特に平成14年度からの3年間は厚めに配分されていたので、平成17年度からは、前年度よりも「保険料等充当交付金」が減り、それによる契約者の負担は平均11.7%増といわれています。なお、この負担増の割合は、平成19年度まで「保険料等充当交付金」の残額に応じて毎年変わります。
一方で、「基準保険料」は、収支状況や運用益等から、従来より平均6.3%引き下げになりました。しかし、「保険料等充当交付金」の減額の影響が大きいため、最終的に私たち契約者の保険料は平均5.4%の負担増となっています。なお、この平均の増加率は、保険期間1年、全車種用途の平均の例なので、実際の保険料の増加幅は、保険期間や用途車種により異なっています。
どのくらいの保険料アップになる?
では、一般に私たちが利用する自家用乗用車の保険料は、どのくらい保険料がアップしたのでしょうか? 代表的なものを下記の表にまとめてみました。
<自家用乗用車の自賠責保険の契約者が負担する保険料>
本土用 〔離島以外の地域(但し沖縄県を除く)〕
車 種 | 区分 | 37カ月 契約 |
36カ月 契約 |
25カ月 契約 |
24カ月 契約 |
13カ月 契約 |
12カ月 契約 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
乗用自動車 (自家用) |
自家用/乗用 | 42,800 | 41,820 | 30,780 | 29,780 | 18,510 | 17,480 |
前年度保険料との差 ( )内は増減率% |
+3,540 (+9.0%) |
+3,430 (+8.9%) |
+2,250 (+7.9%) |
+2,150 (+7.8%) |
+1,030 (+5.9%) |
+920 (+5.6%) |
今後、自賠責保険料はどうなる?
今後は、自賠責保険料の段階的なアップが予想されています。なぜなら、先に触れた「保険料等充当交付金」の将来の額が減っていく可能性が大きいからです。H14年度からH16年度までの3年間で還元されたのは6900億円。それに対し、H17年度から3年間の還元額合計が1200億円という予算で、今後は更に減る可能性があります。そして今から3年経過後のH20年度には、国からの「保険料等充当交付金」は完全になくなり、段階的な保険料引き上げが再度行われる予定なのです。
なお、250cc以下のバイクは車検が不要で保険期間を選べるので、予算に合わせて長期間の契約を選択する方法がベターだと思います。インターネットによる自賠責保険加入も浸透しつつあるので、近い将来の保険料アップも見据えて選んだほうがいいでしょう。
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))
吹田朝子