春は卒業や新入学・入社、転勤など別れと出会いの季節であり、また、新生活の始まる季節です。でも実は、意外な支出が発生し、家計の舵取りが難しいのもこの時期です。どうしたら上手にコントロールして乗り切れるか、また春以降、継続的に支出増になる場合に、支出を抑える節約のポイントも整理してみましょう。
春は家計に大きな変化が!
春は、家計に変化が現れるときです。まず、一時的な支出が発生します。たとえば、新入学や転勤にともなうお祝いや歓送迎会などの交際費支出、引越し代であったり、わが子の新入学であれば、学用品や制服を買い揃える、入学金や授業料を支払うといった大きな支出も発生します。
また、家計の変化として、子供が塾や習い事を始めたり、進学によってかかる教育費が継続的に増える、といったことが挙げられます。さらに、自己投資として、大人であっても習い事や資格の勉強を始めたり、場合によってはリカレントで大学院へ通う人などもいるでしょう。
交際費や教育費など一時的な支出が発生するとともに、支出そのものが継続的に増加する、2つの意味で家計が変化します。
一時的な支出は「特別支出」で管理を
年間を通してこの季節だけに発生する支出については、普段の毎月の家計とは切り離し、「特別支出」として別会計にした方が管理しやすいでしょう。そうしなければ、接待交際費や一時的な教育費支出で、家計は当然、赤字になってしまいます。
特別支出は、ボーナスなどから一定額を取り分け、専用口座などに入れておくのもいいでしょう。あるいは、家計の予備費として生活費の半年分を準備されている方も多いと思いますが、そのお金を特別支出と兼用にするのも1つの方法です。その代わり、使用して減った分は次のボーナスでまた埋めることも大事です。
継続的な支出増には節約で!
一方、春を境に継続的な支出増となる場合もあります。それには、支出の見直し(節約ですね)で対処する必要があります。
家計は固定支出とやりくり支出に分けられます。固定支出は生活を維持するのに毎月固定的に出ていく支出で、やりくり支出は使い方に気を配れば節約も可能なものです。
固定支出の見直し
毎月ほぼ決まった額が出ていってしまい、「節約」しにくいのが固定支出です。固定支出を削減すると、そのときは生活への影響も少なくはありませんが、一度メスを入れると継続的な支出減になるのも、固定支出の特徴です。
▼住居費
住み替えで家賃を下げるのも手です。ただし、引越しコストなども加味してメリットがあるかどうか検討しましょう。住宅ローンは、同じ金利タイプでより金利の低いローンがあれば、借換えるのも1つの方法です(注:借換え効果がでるかきちんとシミュレーションが必要です)。
▼車関係費
2台ある車を1台に減らしたり、排気量を下げる、普通車から軽に変える、駐車場代を安いところにするといったことで引下げもできます。
▼生命保険
見直し効果が出やすいのが生命保険です(内容によっては見直しが必要ないケースや、できないケースもあります)。保障オーバーがあれば削減しましょう。また、同じ保障額でも掛け捨て中心にすると、目先の保険料を下げる効果があります。
やりくり支出の見直し
やりくり支出は人によってお金の使い方に差が出るところでもあり、費目の優先順位も異なるので、それぞれの家庭で削り易い順番で考えましょう。また、削減は急激に行わず段階的に実施するといいでしょう。
▼食費
使いすぎてしまう人は、食費だけの家計簿をつけて原因を見つけましょう。上手にストックして廃棄を減らすことも大事です。外食の頻度が高い人は、家で食べる頻度を増やすことも節約になります。
▼日用雑貨
買い置きできるものは、セールでまとめ買いをします。ポイントなども上手に活用を。
▼水道代光熱費
水道に節水コマを入れたり、シャワーヘッドを節水タイプに変えるといいでしょう。家電は節電タイプを選びましょう。冷暖房とも、設定温度を調整(高め・低めに)するのも節約になります。
▼通信費
携帯電話は自分に合った割引プランを使用しましょう。メールを中心にして、通話を減らすのも節約になります。パソコンのプロバイダも使い方に合わせて選びましょう。
▼新聞図書費
本は図書館も利用すると節約になります。
▼被服費
着なくなったらネットオークションで売るのも手です。ブランド品は年間予算を決めて、セールや海外旅行時に買うといいでしょう。
▼家族の小遣い
小遣いも引下げれば、毎月の支出を抑えることになります。
大きな支出にはあらかじめ目的別貯蓄を
上手に節約をして支出増を乗り切りたいものですが、ただし、教育資金がかさむ子供の大学生の時期など、どうしても節約だけでは埋められない場合もあります。そんなときには、(1)あらかじめ取り崩すことを見込んで貯蓄を用意しておく、(2)妻が仕事をするなどして世帯収入を上げる、(3)奨学金やローンを利用する、といった方法を検討する必要もあります。
大きな支出が想定されるなら、あらかじめ目的別貯蓄をしておくことが家計管理上はとても大事だといえます。
シニアリスクコンサルタント
ファイナンシャルプランナー
豊田真弓