日本はいわずと知れた地震大国。もしも、地震が原因の火災で焼失した時、火災保険だけでは補償されないのはご存知でしょうか? 地震に対して備えるには「地震保険」への加入が必要です。2007年度から新たに地震保険料控除も創設され、以前より入りやすくなりました。未加入の方は、これを機会に検討してみては・・・。
地震保険ってどんなもの?
地震保険は、地震や噴火、津波によって発生した火災・損壊・埋没・流失による損害を補償する保険です。最近は、地震保険単体で入れるものも出てきましたが、一般的には火災保険にセットして加入することになっています。
地震は自然災害であるため、地震保険は他の保険と異なり、「地震保険に関する法律」に基づき、その責任の一部を再保険(保険契約上の責任の一部または全部を転嫁すること)として政府が引き受けています。
地震保険の契約金額は、主契約である火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、しかも、建物は5,000万円、家財は1,000万円が契約の限度額になります。最近では、100%まで補償をつけられるものや、世帯人数に応じて補償額が決まる商品なども登場しています。
=主契約の火災保険の保険金額の30~50%
かつ 建物は上限5,000万円、家財は上限1,000万円まで
次に、地震保険の保険料については、建物の構造(鉄筋コンクリート造・鉄骨造か木造か)と都道府県により異なります。地震保険では、住んでいる都道府県によって、地震発生のリスクごとに4つに区分され、1等地から4等地の順に保険料が高くなっています。
1等地 | 北海道、福島、島根、岡山、広島、山口、香川、福岡、佐賀、鹿児島、沖縄 |
2等地 | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、山梨、鳥取、徳島、愛媛、高知、長崎、熊本、大分、宮崎 |
3等地 | 埼玉、千葉、福井、長野、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
4等地 | 東京、神奈川、静岡 |
また、地震保険には、建物の耐震性能などに応じた割引制度もあります。昭和56年6月1日以降に新築された建物は10%の割引になるほか、住宅の耐震等級によっては10~30%の割引を受けられます。さらに今後、「免震」による割引も導入される予定です。
これは、住宅性能評価制度で「免震建築物」と認定された建物が対象で、割引率は30%の予定。もし、すでに地震保険に加入していて、割引に該当することに気がついたら、その時点で代理店などに相談してみましょう。
地震保険料控除の仕組みは?
ところで、税制改正により、2007年から「地震保険料控除」がスタートしたのをご存知でしょうか? 今年から地震保険の保険料の一定額が所得から控除されることになり、地震保険加入者にとってはうれしい限りです。(実際には、所得税は2007年分から、住民税は2008年分から適用されます)
控除できる保険料は、所得税が最高5万円までの地震保険料額、また住民税が地震保険料の1/2で最高2.5万円となっています。
所得税=地震保険料全額(最高5万円)
住民税=地震保険料の1/2(最高2.5万円)
なお、この地震保険料控除が新設された代わりに、従来の火災保険や傷害保険等に対する損害保険料控除が2006年12月末で廃止されました。
ただし、経過措置も設けられていて、保険期間10年以上の満期返戻金がある長期契約で2006年12月31日以前に補償が開始しているものについては、これまでの損害保険料控除の対象となります(地震保険料控除も適用する場合は、地震保険料控除の限度額が上限)。これについては、平成19年の確定申告時に迷わないよう、頭を整理しておきましょう。
地震保険で安心を・・・
今年は亥年。阪神淡路大震災が起きたのも12年前で、亥年は大きな災害が起きる年とも言われているようです。そんなジンクスはともかく、地震保険は万一のことが起きたときの被害が甚大であることを考えると、やはり加入した方が安心といえます。
地震保険は、保険料が高いからと敬遠する人もいますが、保険料控除や前述の割引などを利用すればコストを抑えることもできます。火災保険の契約期間の途中であっても加入できますので、気になったら代理店などで相談してみるのもよいでしょう
マネーカウンセリングネットWealth
ファイナンシャルプランナー
豊田真弓