工事中の設計変更には要注意
- 5.設計変更や工事中止の場合の損害負担をどうするか
- リフォーム工事を進めていると、当初の予定を変更したくなることがありますが、その場合の取り決めが記載されています。工事の追加や一部の変更、中止などは可能なのですが、原則的に一定の負担が出てくることは避けられません。追加工事や一部の設計変更を行うときには、そのつどどれだけの予算が必要になるのかを確認、納得しながら実行していくようにします。また、工事を中止するときはそれまでにかかった費用の補償を求められても仕方がありません。リフォームを始めてからのトラブルでは、この設計変更に関する問題に起因するケースが多いので、特に注意しておきたい点です。
- 6.火災などの不可抗力による損害の負担をどうするか
- 7.工事中の火災保険に関する定め
- 工事中に地震や台風などの天災、火災などの人災が発生したときの取り決めです。原因が不可抗力によるもので、工事請負業者の管理にも問題がないと判断されるときには、残念ながら注文した人の負担になります。ただし、火災保険や建設工事保険などに加入していれば、負担は軽減されます。業者がそうした保険に加入しているかどうかを確認しておきましょう。
- 8.竣工検査と引渡時期
- リフォーム工事が終わったときには、発注した人と請負業者の両者の立ち会いのもとで契約通りの工事が行われているかを確認します。これが竣工検査と呼ばれるもので、工事箇所にキズなどがある場合には、必ず補修してもらいます。明かに工事上のミスと見なされる場合には、注文した人の負担は発生しません。業者が無償で行うことになります。しかし引き渡し後にクレームをつけても、「それはお客さんがつけたキズでしょう。竣工検査のときにはなかったですよ」などといわれて、水掛け論になりかねません。細心の注意を払って確認した上で引き渡しを受けるようにしましょう。
各種のトラブルが発生したときの対応
- 9.履行遅滞など、債務不履行の場合の延滞利息や違約金の定め
- 工事業者の事情によって工事が遅れ、引渡日がズレ込んだときには、注文した人が違約金を請求することができます。違約金はすでに工事が終了している部分と搬入が終わっている材料の代金を差し引いた額に対して、1日につき14.6%の金額になります。残っている工事部分の代金が50万円で、3日間遅れたとすれば、50万円×0.146×3日で21.9万円という計算です。ただし、この工事の遅れはあくまでも工事業者側の責任によるものであって、天候や注文者側の事情などによる場合には適用されません。
他方、注文した人が引き渡しを受けたのに代金を支払わなかった場合の規定もあります。工事が遅れた場合と同様に、支払いが遅れた金額に対して、1日につき14.6%の違約金です。引渡日にキッチリと精算できるようにお金を用意しておきましょう。ローンなどの事情で支払いが遅れる場合には、契約書でその旨キチンと明記しておかないと、あとでトラブルのもとになります。
- 10.区分所有に関する定め
- マンションのリフォームに限る項目です。リフォーム工事が共有部分に影響を与える場合には管理組合の承諾が必要になります。事前に承諾を得ておかないと工事に着手できません。誰がいつまでに承諾を取るのかを定めることになります。依頼者が自分でやらないといけない場合もあるので、管理組合に関する手続きなども事前も調べておき、着工までに承諾が取れるようにしておきましょう。
- 11.契約に関する紛争を解決する方法
- 契約書がシッカリしていれば、各種のトラブルはかなりの確率で未然に防げるものですが、それでも紛争が発生することがないとはいえません。そのときには、訴訟という事態もあり得るわけですが、その際には工事物件所在地を管轄する裁判所で行うことが原則です。訴訟を起こされた場合、工事業者も工事物件と同じ裁判所の管轄内ということが多いでしょうが、業者の本社が遠隔地の場合、そこの裁判所が訴訟の舞台になると、発注した人は時間、費用の面でたいへんな負担を強いられます。そんなことはないことを願いたいものですが、万一に備えて、契約書に書かれている紛争の際の管轄裁判所の記述も一応確認しておきましょう。
- 12.瑕疵の保証に関する定め
- リフォーム工事に瑕疵、つまり欠陥があったときの保証に関する項目です。依頼した業者が独自に3年間の保証制度を実施していれば、たとえば、引き渡し後3年以内に瑕疵が発見された場合には、業者の負担で補修を行うことなどが明記されています。保証制度の充実した業者なら、半年後、1年後に定期点検を行うことなども記載されていたりします。新築住宅だと、建物の構造にかかわる部分に関しては法律で10年間の性能保証が義務づけられていますが、中古住宅やリフォーム工事に関してはいまのところそうした規定はありません。業者の独自の取り組みになっているので、そうした制度があるかどうかは業者選びの重要なポイントになります。
独自の保証制度がない場合には、通常は「目的物に瑕疵がある場合、請負者は民法に定める責任を負う」と書かれていることが多いようです。民法では、請負契約においては引渡後1年間が瑕疵担保期間とされています。したがって、引渡後1年以内に瑕疵を発見した場合には、無償で補修を求めることができることになります。
- 工事内容
- 請負金額
- 着工の時期と完成の時期
- 代金の支払い方法
- 設計変更や工事中止の場合の損害負担をどうするか
- 火災などの不可抗力による損害の負担をどうするか
- 工事中の火災保険に関する定め
- 竣工検査と引渡時期
- 履行遅滞など、債務不履行の場合の延滞利息や違約金の定め
- 区分所有に関する定め
- 契約に関する紛争を解決する方法
- 瑕疵の保証に関する定め
住宅リフォーム推進協議会の請負契約書(pdfダウンロード:371Kb)