時代と共に環境も変わっていると知っているが・・・
少子高齢化で目まぐるしく変わる社会保険と税金が気になる昨今、誰もが先が読めない不安を抱いていますが、自分の老後に向けた具体的な対策をしている人は意外と少ないのも現実。統計によれば、会社員などに扶養されている専業主婦が減り、働き始める女性が増えており、私も30代、40代の女性対象にハローワークで税金や年金のお話をする機会が増えています。若い世代が働く意味を自分で理解して、「家庭」と「仕事場」の両方に自分の居場所を見つけ、退職後に「地域」で老後も充実した暮らしを見つけていただけたら嬉しい限りです。何故なら、今の延長上にあるのがセカンドライフだからです。
人生長くなったとは言え、70代、80代になってからではベストな対策はたてられません。
今回は、こんな筈ではなかったと思う前に、変わる時代に合わせた事前対策も必要だと言うことを知って欲しい願いを込めてお話しします。
変わる制度 ~公的年金の保険料引き上げ終了(固定)など~
国民年金の保険料は平成17年度から毎年280円ずつ引き上げ、平成29年度以降は16,900円(平成16年価格)で固定されています(平成16年の改正)。但し、実際の平成30年度の保険料は、16,900円に保険料改定率0.967を乗じた16,340円です。
厚生年金の保険料率は平成16年10月から段階的に引き上げられており、平成29年9月から18.3% (労働者と事業主で折半)に固定。一元化された共済年金は段階的に引き上げられており18.3%に固定されます。
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平成16年度に決められた金額 |
計算式 |
実際の保険料 |
---|---|---|---|
平成17年度 |
13,580円 |
13,580円×1.000 |
13,580円 |
平成30年度 |
16,900円 |
16,900円×0.967 |
16,340円 |
平成31年度 |
17,000円 ※ |
17,000円×0.965 |
16,410円 |
※平成31年4月から第1号被保険者に対する、産前産後期間の保険料免除制度の施行に伴い、16年度価格16,900円に月額100円の引き上げ。
平成16年10月~ |
平成17年9月~ |
~ |
平成28年9月~ |
平成29年9月~ |
---|---|---|---|---|
13.934 % |
14.288 % |
~ |
18.182 % |
18.300 % |
保険料からみても、公的年金の保険料収入は固定(増えない)され、高齢者は当分の間増え続けるため、年金支払い(給付)が増えるしくみです。若い世代に比べ専業主婦世代が多い団塊世代は残された遺族(妻)への支払いも続き、年金財政の厳しさが伝わってきます。
今後、財政上や世代間の公平化から、若い世代の公的年金の支給開始年齢の引き上げ(65歳→65歳過ぎ)や、非課税の遺族厚生年金などへの課税も問題になりそうです。つまり、今の制度がいつまで続けられるのか保証はありません。家計と同じように、国も収入の範囲内でやりくりせざるを得ないでしょう。以上は年金の収支ですが、高齢期ほとんどの人が医療と介護のお世話になっており、私たちの負担増は避けられそうもありません。
変わる ~働き方~
公的年金の加入者は6,731万人と19万人(前年度末比0.3%)増えており、特に厚生年金加入者(第1号~4号)が138万人(前年度末比3.3%)増えているのが目立ちます。また、国民年金の第1号被保険者が93万人(前年度末比5.5%)減少、第3号被保険者が26万人(前年度末比2.9%)減少と働く女性が増えているのが見えてきます。
変わる ~高齢期の膨大な時間をどう過ごす~
少し前は人生80年時代、定年は60歳で60歳から80歳になるまでの余暇をどう過ごすが課題でした。しかし、今や、定年または退職後から100歳までを全て余暇とすると時間を持てあましそうです。今の様子では、70歳以降も働くのが当たり前の時代になりそうです。
若い世代は年金の支給が遅くなりそうと不安を持つだけでなく、そのために今から自分(配偶者を含めて)に何ができるのか、考えておくといいでしょう。
リタイア後の時間をどれだけ楽しく暮らせるか、どれだけ主体的に自立して暮らせるかが、長生き時代の質を高めるポイントでしょう。与えられた膨大な時間をどう過ごすか、過ごせるかです。時間を単に消化で過ごす人と、やりたいことをどんどん見つけて行動する人の豊かさの差です。それなりに高齢になった私が、周りの素晴らしい人を観察しての実感です。
時代と環境が変わったことを知り、今から自分を変えてみませんか? 自分に与えられた大切な時間を使い切って長寿時代を楽しむために。