人生100年時代のメッセージの威力? ~今年届いた現役世代からの年賀状が熱い~


私も長い間仕事を続けており、毎年関係者から年賀状が沢山届いていました。しかし、数年前から人生の終末を意識して年賀状をスリム化し始めました。いわゆる「年賀状じまい」。それでも過去一緒に苦労した仲間から届く年賀状は懐かしく嬉しいものです。特に今年届いた仲間の希望溢れる内容には元気をもらいました。

人生100年時代における巷の話題は、もっぱら高齢になっても働く(働ける)シニアのことです。とは言っても誰もが長く働ける訳ではありません。長くなる人生を見据え自分らしく生きるために、新しいことにトライする40代50代の人も現れています。長くなる老後に備えた準備があってこそ、長生きも嬉しいと気づき始めたのでしょう。まさに「老後は一日にして為らず」。
今回は、高齢者施設の入居者の変化、届いた年賀状、地域のサークル活動参加などで気づいたことをお話します。

希望をもらった年賀状から

今回の年賀状は、ファイナンシャルプランナー(以下FP)として昔一緒にボランティアをした人や資格取得の勉強をした友人等から届いたものです。

Aさんからは、難関のアメリカの試験に合格の報告がありました。
FP協会の研修会で、著名な高齢講師(70代後半)の手を引いて会場を案内していた若い頃の気配りのある姿が目に浮かびます。
Bさんは現在も大活躍ですが、これからの環境変化に対応できるよう研究職を目指すために学び直すとのこと。変化を前向きに捉えての挑戦に頭が下がります。
Cさんからは、今の役所でのパートをひと休みして、水泳の大会出場のために頑張っている便り。やりたいことを目指すバイタリティに脱帽です。
Dさんは、数年前に奥様を亡くされ月命日は欠かさずお墓参りをしつつ、リタイア後の自分の今を精一杯楽しんでいる便りです。クルーズ参加の写真に和みました。
Eさんからは、長い独身生活に句切りをつけ61歳で結婚する報告がありました。社会保険労務士を一緒に勉強した仲間です。良き伴侶に恵まれて一歩踏み出す気になったのも長寿化だからでしょう。

他にもいろいろありますが、共通しているのは将来を見据えつつ皆さん前向きなことです。精一杯やってきたからこそやってみたいことが明確に見えてくるのでしょう。
お陰で、私も年齢と体力を理由に迷っていた新しいことへの挑戦に取り組む気になりました。持つべきものは身を持って示して後押ししてくれる友人ですね。

長寿化で男性入居者割合の増加が予想される

以下の表からわかる通り、高齢者施設の入居者の平均年齢は86.6歳、女性が76.1%。まさに高齢者施設は女性の園。要介護度の平均は2.8ですが、重度者は高齢の女性が多くなっています。将来的に男女とも平均寿命が伸びると予想されており、その分要介護度も重度化することが予想されます。
例えば、A施設の3F(重度の認知症)では21名中8名 (2019年1月現在は21名中9名) が男性で約38% (約43%) と男性の割合が増えつつあります。今後男性の寿命が伸びれば今以上に男性の認知症の人の施設入居(入所)者は増えることが予想されます。「夫を見送った妻がひとりで入居」から「夫婦で入居」のケースも増えそうですね。

高齢者施設の入居者数(女性が76.1%)
ざっくり住分 元気な人 医療依存者 元気 認知症の人 元気な人
1F 2F 別館 3F 4F 男女比
男性 3人 4人 1人 8人 6人 22人 23.9%
女性 11人 15人 7人 13人 14人 70人 76.1%
14人 19人 8人 21人 20人 92人 100%

2018年10月31日現在

高齢者施設の年齢構成(全体の平均86.6歳)
60
~64歳
65
~69歳
70
~74歳
75
~79歳
80
~84歳
85
~89歳
90
~94歳
95
~99歳
100歳~ 平均年齢
0人 2人 4人 7人 15人 25人 27人 10人 2人 86.6歳
構成比率 0% 2% 4% 8% 16% 27% 29% 11% 2% 100%
男性 0人 2人 0人 4人 4人 4人 6人 2人 0人 22人
女性 0人 0人 4人 3人 11人 21人 21人 8人 2人 70人

※男性の平均寿命約81歳以上の入居者は女性より少ないが、今後は増えそう。

高齢者施設の介護度(全体の平均2.8)
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 平均
男性 0 1 9 2 6 3 1 2.3
女性 3 1 11 18 14 9 14 3.0

※都内 A介護付有料老人ホーム

地域のサークルの実態 ~男性の参加者が少ない~

私は地域でストレッチの体操に週2回通っており、うち1つは受講生25名のうち男性1名、他は受講生12名ほどのうち男性1名。月一の歴史散歩の会も11名中男性4名(すべて夫婦参加)。いずれにしても高齢期は女性が元気。些細なことに笑い楽しむ生き方は参考になります。世の男性の多くは会に参加する目的(大義名分)がないと行動(参加)できない人が多いようです。

我が家の場合も、面白そうな催しやお稽古事の良い先生を探してくるのはすべて私。夫はその企画に乗って参加するだけ。現役時代あんなに輝いていたのに、組織に所属していたから行動できていただけと気づかされました。これではまずいと妻の私が参加した会の楽しさと体験の日程、申込みの締切り日などさりげなく会話にちりばめ、「妻に言われたからやってみようか・・」の気持ちにさせて夫を「外」に連れ出しました。今では夫に「活発な奥さんで良かった」と感謝されています。

夫婦育ての結果は老後に分かる

夫婦の在り方は他人がとやかくいうことではありませんが、最近いろんなことが見えてきました。何でも夫(妻)の言うとおりに従っているのが本当に良妻(夫)賢母(父)なのだろうかと・・・
人生が短いときは我慢する期間も短いからいいけど、長くなったときが怖い。夫婦で認知症の人の場合、押さえつける夫に対し今までおとなしかった妻が反乱する姿を見ました。自分を抑えることができない状況のとき、人は本音がでるのでしょう。

『老後こそ「夫」を外に出すことが大切』とは私の友人(80代)の口癖。友人の夫は要介護状態ですが趣味の碁や麻雀などを目当てに週に何回も外に出て行くとのこと。ひたすら尽くす妻とはほど遠い友人ですが、高齢期の暮らしを豊かにする処世術のポイントは「自立・自律」かもしれませんね。

長く働く環境は退職後のことを考える時期を先送りする分、リタイア後の対策が遅れがちです。そのため、40~50歳位から早めに老後のことを「考える」必要性が大。共働きが増えた今、女性も例外ではありません。増え続けると予想される単身者は、より周りとの人間関係を築くこと、そして1人で生きる「覚悟」が必要なのは言うまでもありません。きょういく(今日行くところ)と、きょうよう(今日用がある)がある幸せづくりの着手に遅すぎることはありません。