ライフプランとは、自分や家族の将来にわたる生活設計を言います。前提に個人の生き方や価値観を表すライフデザインがあり、ライフプランを実現するための経済的準備を数値化したものがファイナンシャル・プランです(日本FP協会テキスト参考)。
2020年5月現在、コロナ被害は収まりそうもなく不安とストレスは募るばかり。制限された暮らしの中で、改めて「普通に暮らせた日々」の有難さを実感する毎日です。ただし嘆くだけでは解決しないと気持ちを切替えてみました。私の場合、外出が必要な仕事や趣味の会は全て中止でゆとりができた時間で日頃から気になっていた以下のことに取組みました。
- 台所の戸棚などの大掃除
- 庭に草花を植える
- たまった「書類」と「本」の整理
- 専門分野(障害年金・成年後見関係)の学び直し
お陰様で部屋はスッキリ、気分は爽快、体調も軽快、新たな生きがい発見といいことずくめです。先行きはまだ暗いため、何が起こるが分からない人生を視野に入れたライフプランの組み立ての必要性にも気づきました。ライフプランの必要性に年齢は関係ないからです。
今回は、老後の経済的準備に欠かせない、令和2(2020)年5月12日衆院で可決参院での審議を経て成立予定の「年金改正法案」の内容についてお話します(2020年5月14日現在)。主な改正は令和4(2022)年4月から順次施行されます。難しいから専門家に丸投げでなく、自分で理解し、分からないことを質問できるようにし、納得して今後の準備の参考にして欲しいからです。
公的年金の主な見直し
①被用者保険の適用拡大~令和2年10月から段階的に~
対象となる企業規模を現在の501人以上から、100人超(令和4年10月)、50人超(令和6年10月)に段階的に引き下げます。
②在職老齢年金制度~令和4年4月施行~
60~64歳のしくみを65歳からと同じにし、減額基準額を28万円(令和2年度額)から47万円(令和2年度額)に引上げます(支給停止とならない範囲の拡大)。なお、厚生年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、男性は令和7年度・女性は令和12年度に60歳代前半の報酬比例部分がなくなります。
③受給開始時期の選択肢の拡大~令和4年4月施行~
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を60歳から75歳の間に拡大します。繰下げ受給は、現在の上限70歳から75歳に拡大します(施行日時点で70歳未満が対象)。繰下げ増額率は現在と同じ月0.7%(0.7%×最大10年(120月)=+84%)。
見直しで繰下げた場合どう変わるのか事例でみてみます。
ちなみに繰上げ減額率は現在月0.5%から0.4%(0.4%×最大5年(60月)=-24%)になります。
<70歳以降に請求する場合の5年前時点での繰下げ制度>
<請求時期による受給の選択肢(見直し案)>
見直しの繰上げ減額率・繰下げ増額率は、平成27年簡易生命表の65歳時の平均余命21.8年(男女平均)等を使用して算出されています。
繰下げは、国民年金のみ、厚生年金のみ、国民年金と厚生年金併せて可能です。但し、単に増額率や減額率のみでなく、加給年金や振替加算の対象か、在職老齢年金の支給停止分は繰下げの対象とならないなど複雑なので注意が必要です。
④在職定時改定の導入~令和4年4月施行~
高齢期の就労が予想される中、老齢厚生年金の受給権を取得した65歳以上の人が在職中でも年金額が改定(毎年10月分から)され、退職を待たずに年金額に反映されます。年金を受給しながら働く人を応援する改正です。
何がしたいのか、どう暮らしたいかを決めることから・・
年金って大切なのに、ほんとうに難しいですね。年金事務所や街角の年金相談センターの窓口では仮の設定で見込み額を試算してくれます。但し、単に年金額増のみでは判断できません。健康状態、寿命、他の社会保険や税金、家族構成、我が家の収支・負債と資産状況、何より自分は何をしたいのか、これからどう生きたいのか、何歳まで働きたいのか等「年金改正」をきっかけに考え学ぶのもいいでしょう。人生長くなったとは言え、楽しく働き自分のお金を自由に使える期間は意外と少ないのです。思っていたことが叶うチャンスがいつ来てもギュッと掴めるように、準備をしておきましょう。「やるだけやった、いい人生だった」と自分に言えるように生きられたら最高ですね。