退職時の手続き、意外と面倒! ~年金・雇用保険の手続きの流れを知るとスムーズにできる~


年金・雇用保険の手続きの流れを知るとスムーズにできる

会社がすべてしてくれた厚生年金や健康保険、雇用保険などの社会保険の手続き、 退職後は何でも自分でします。企業によっては50歳代にセカンドライフに備えたセミナーを開催し、定年退職間際に社会保険の手続きの仕方などを社員に伝えているところもあります。 但し、そうしたセミナーなどを開催していない企業も多く、退職後の諸手続きの大切さに気づかず、しばらくたってから年金の入金がないなど慌てるケースもあります。今回は、 定年退職時に必要な年金と雇用保険の手続きに絞ってお話ししましょう。


60歳になったら年金請求を ~ 但し、働き方で提出書類が異なる

今年60歳になった人が退職した場合、その後継続して厚生年金に加入して働く、または働かず失業給付(基本手当)を受給するに関わらず60歳で年金の請求をします。
今年60歳になった男性は60歳から報酬比例部分、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給できます。女性は63歳から報酬比例部分、63歳から報酬比例部分と定額部分、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給できます。


年金請求を遅くする、よくある勘違い

60歳になっても年金請求をすぐしない人の質問で多いのが以下の2つ。

① Q: 在職中で年金が一部または全額停止だから退職後に請求した方がお得?
A: 年金請求を遅らせても在職中停止された年金額の一部、または全額は戻ってきません。停止額を除いた年金額が請求後支給されるだけです。
② Q: 60歳からの金額が少ないから年金額が多い63歳から請求した方がお得? (女性)
A: 60歳から受給すると報酬比例部分の金額がずっと続くと勘違いしていますが、年金額は60歳~62歳、63歳~64歳、国民年金加入期間かある人は、65歳~と3段階で増えていきます。遅く請求しても過去分の総額が請求後に支給されるだけです。


60歳で退職後、雇用保険の失業給付(基本手当)を受ける場合
  Aさん(男性60歳)・B子さん( 専業主婦の妻・58歳)

Aさんは、退職後、年金請求と失業給付(基本手当)の手続きが必要です。60歳未満の専業主婦の妻B子さんは、第3号被保険者から第1号被保険者になる手続が必要です。
一般的には、「年金事務所」後「ハローワーク」で手続きをします。但し、雇用保険から失業給付(基本手当)を受給している間は65歳前の報酬比例部分や定額部分は受給できません。基本手当終了後年金を受給するには、ハローワークに手続き後、年金事務所などに「雇用保険受給資格者証」と「老齢厚生・退職共済年金受給権者支給停止事由該当届(以下、支給停止事由該当届)」を提出します。

手間を省きたいときは、次の順序で手続きをするとスムーズにできます。


60歳で退職後、賃金が退職時の75%未満に低下して働く場合
  Cさん(男性60歳)・D子さん( 専業主婦の妻・58歳)

退職時より賃金が75%未満に低下したとき雇用保険から支給される高年齢雇用継続給付の手続きは一般的に会社がします。退職後、Cさんは年金請求をし、60歳未満の専業主婦の妻D子さんは、第3号被保険者から第1号被保険者になる手続きが必要です。一般的には、「年金請求」後、約2~3ヶ月後に届く「高年齢雇用継続給付支給決定通知書」と「支給停止事由該当届」を年金事務所などに提出します。

手間を省きたいときは、次の順序で手続きをするとスムーズにできます。


何のために手続きをするのか確認を!

会社任せの現役時代と比べ退職後は何でも自分で手続きをします。書類忘れは即老後の収入に響いてきます。面倒でも届いた書類はきちんと読み、提出書類に不備はないか確認しましょう。何のためにこの手続きが必要で、そのために必要な書類は何かを考えると手続き忘れも減るでしょう。わからないときは、ぜひ年金事務所などで気軽にご相談ください。

今回は触れませんでしたが、退職後の手続きは年金や雇用保険以外に健康保険の手続きも必要です。抜けがないように、やるべき手続き、聞いておきたい質問などを箇条書きにし、提出書類などと合わせて整理して準備しておくと良いでしょう。