地域デビューは、仕事をしながら族がベストかも! ~暇ができればやりたかったことが何でもできると考えるのは甘い~


暇ができればやりたかったことが何でもできると考えるのは甘い

先日、所属する青色申告会の女子部の会が主催する「ランチ+フラメンコ見学の会」に参加しました。私も年齢を重ね、このまま仕事漬けでいいのかと思うところがあり、ヒントを探す意味で、今まで付き合ったことがない人との交流会に参加してみたのです。初めて参加の私の感想は、女性たちから「たくましい元気」をもらい「参加して良かった!」です。 ちなみに私は自営業者ですが、意識は典型的なサラリーマン家庭の妻です。 今、あらゆる場面で中高年の女性が元気です。小洒落たお店のランチタイム、人気のミュージカル、地域の趣味の会、行政が主催する中高年向き啓蒙セミナーの参加者の多くは女性です。団体旅行に友人たちで参加も主に女性たちです。まさに、リタイア後の世界は「女性」のことを知らずして充実した生活を送れないといっても言い過ぎではなさそうです。 今回は、退職後からリタイア後の暮らしの充実のための対策をとったのでは遅いことを事例でお話ししましょう。私の周りをみていても、よほど特殊な職場でない限り、一般的に男女を問わず定年後数年で職場仲間との付き合いは減っていきます。だからこそ、定年をまたず、今仕事をしながら定年後も続けられる趣味などに着手し、地域で暮らす人、主に女性の心理など理解しておくといいと思うからです。

90歳まで生存している者の割合は、男性は21.3%・女性は45.4%

一昔前は人生80年時代と言われましたが、今や人生90年時代といっても過言ではありません。統計によれば、90歳まで生存している者の割合は、男性は21.3%・女性は45.4%と驚異的な数字です。 同級生のうち半数が生存すると期待される数字(寿命中位数)は、男性82.55年・女性88.99年です。いずれにしても、まさに高齢期は「女性の世界」ですね。

寿命中位数(表)

特定年齢まで生存する者の割合

 

仕事をしながら族で、リタイア後を快適に

先の青色申告会の女性たちの生き方に共通していたのは、時間の使い方が実に上手なことです。自営業の家族を支えて働く、またはご自分が自営業を営んでいて忙しくしているにも関わらず、時間の隙間を利用していろんな企画に参加しています。そのうちの1人A子さん曰く「忙しいときの方がいろんなところに行ったわね」の一言が身にしみました。 さらに「仕事をしながら趣味も楽しむ習慣をつけておいても、年を重ねるとだんだん外出が億劫になってきた」とのこと。多くの人がリタイア後は自由時間がたっぷりあるから、現役中にやれなかった趣味を積極的に楽しみたいと希望しています。しかし、自由で規制のない趣味だからこそ、やらない選択も自由。時間があればやるイコール時間があってもやらない選択になることもありそうです。なぜなら地域デビューは口で言うほどた容易くありません。そして、リタイア時は確実に現役時の今より年齢が高くなっているからです。

「 時間がある = 時間を有効に使える 」 とは限らないのだね!忙しいからこそ、あいた時間を有効に使おうとすることもあるよ。まさに、忙しいときこそ仕事しながら族でやりたいことを初めておくといいね。

地域などはリーダーを求めていないかも・・・

日々の生活の中での女性の影響力が強くなった実感はありますが、それでも職場では未だに男性社会(男性思考優位)と感じることもあります。但し、少しずつですがリタイア後の世界が女性の世界だと気づかず、現役時代の思考を継続させて失敗している男性も現れています。リタイア後は、現役時代の延長ではないことを知っておきたいものです。 地域で活動経験がある私も感じたのですが、ボランティアなど含め地域での活動に大切なのは、どれだけそのグループに貢献しているかであり学歴や前職の地位ではないようです。事例でお話しましょう。

事例1

男性Aさんは、サラリーマン生活の大半を単身赴任で頑張りました。リタイア後は自宅でゆっくり趣味を楽しみながら暮らす予定でしたが、現実は予定外の生活が待っていました。なぜなら、リタイア後の小遣いを妻から渡してもらえなかつたからです。退職金、年金もかなり受け取っていますが、全て通帳は妻が管理しています。小遣いの交渉をしようと思っても感情的な妻にかないません。妻の言い分は、家庭のことを何も面倒をみてもらえなかったからの一点ばり。今ではAさんは、給与を現金で受け取れる小さな会社を探す毎日です。 極端な例ですが、現役時代の夫婦のコミュニケーション不足でここまでこじれました。 現実的に、お金の名義は本人なので金融機関の口座を変えれば全て解決ですが、それからが泥沼になりそうです。この例のように「女性の世界」には理論だけでは解決できないこともあります。イヤなものはイヤの世界ですね。 似たような例で、家計を握る妻に認知症の兆しがみえた80代の夫婦の場合は更に深刻でした。ひとりで抱え込んだ通帳などの管理ができなくなった妻に夫は戸惑うばかりです。

家族のために仕事をして稼いだから家族が暮らせたという男の理論は女性には通用しないことも。妻の苦労もしっかり理解していたなら、思いを伝えておくことも必要だったかも!夫婦とも大変な生活だったのに、苦労が報われず虚しさが残るばかり。

事例2

趣味も10年続ければ他の人に教えることも可能です。レッスン料がいただければ何より励みになるでしょう。但し、ときに熱心になりすぎて自分自身と他の人の居心地を悪くしてしまう人もいます。Bさんもそんな1人でした。趣味の音楽を楽しむことより、自分に対する評価が気になり、他人を評価してばかりです。高齢期に趣味を続ける目的は上達することばかりではありません。何より、コミュニケーションをとる手段でもあることを知っておきましょう。趣味は自分を楽しくするものである筈です。

事例3

男性Cさんは頭脳明晰、現役時代もそれなりに出世しリタイア後も悠々自適の暮らしぶりです。リタイア後始めたボランティアを楽しんでいますが、どうも仲間の女性の反応はよくありません。なぜなら相手が話している最中にその結論が見えてしまうらしく話を遮ったりするからです。「あなたの言い分は分かった、その他に言いたいことは!」的なニュアンスが見え隠れする対応からは、本音の会話が見えてきません。 女性の会話は、話の内容があっちこっち飛びます。いろいろやりとりしているうちに、そこからまた面白い会話に発展するケースもあり私などはそれが楽しいのです。合理的な考えをする男性などはそれが我慢できないみたいです。しかし、職場がなくなるリタイア後を楽しみたいなら、家庭と地域に暮らす女性に合わせる知恵も大切です。人の話は最後までじっくり聞いてあげましょう。そこからゆったりした時間を楽しめ、あなたの居場所も確保できます。

リタイア後の1週間、1日のスケジュール、どのくらい埋まりますか?

事例4

介護付き有料老人ホームに入居しているDさんの会話は、いつも昔の自慢話とひたすら周りに怒っています。でも他の入居者は誰も相手をせず無視です。きっと現役時の職場や家族と暮らしていたときは、部下や同僚や家族の誰かが止むを得ずであったかも知れませんが、必要最小限の話し相手をしてくれたと思います。こんな状況にしたのはDさん自身の生き方にも関係しているかもしれません。 過去の素晴らしい実績はそれはそれでご自身の心の中で自分に自慢していいことですが、自分で広報するものではありません。本当に素晴らしい人は、自分で言わなくても人が過去ごと今のあなたを認めてくれるものです。Dさんの例は、現役時とリタイア後の切り替えが上手くいかなかったようです。何も考えずにリタイアを迎えてしまった人に多い例です。

今からの行動がリタイア後に効いてくる!

リタイアしたら即バラ色のセカンドライフが始まる訳ではありません。リタイアを意識して自分なりの意識改革と行動が必要です。貴方の人生で一番若い今から備えたらいかがでしょう。長くなったセカンドライフの有り余る時間を「消費する」から「楽しむ」に変えてみませんか。最後まで「お金」と「時間」は有効に使えたら最高ですね。