昨今は消えた年金や宙に浮いた年金の話題のお陰で「年金」に興味を持つ人も増えました。現在、日本年金機構(平成21年12月までは社会保険庁)は、かなりの費用を投じて国民に情報提供を積極的に実施しています。私も年金相談時届いた書類などを利用して説明しています。ただ、書類が届いていることすら気づかない人もいます。お聞きすると、「そう言えば、何か届いていたような気がする」や、「読んでも分らないので読まなかった」のお答えがかなりあります。年金の加入歴はその人の人生そのものです。せめて封書をあけたり、ハガキの内容をみて欲しいと願うのは無理な注文でしょうか。
年金は請求しないともらえません
年金は受給資格を満たした人が受給できる年齢になり請求して初めてもらえます。今年60歳になる昭和25年生まれの人は男女とも60歳から報酬比例部分が支給されるので、60歳で年金の請求をします。ただ、加入した内容で請求の時期や届く書類が異なるので以下のような注意が必要です。
60歳の3ヶ月前に「年金請求書」が届く
では、年金の請求に関係する書類は、いつどんなものが届くのか、みてみましょう。現在、60歳になる3ヶ月前に黄緑色のA4版の封書が届くので、同封の印字された「年金請求書」で年金の請求をします。請求窓口は、年金事務所(以前は社会保険事務所)や街角の年金相談センター(以前は年金相談センター)です。国民年金の1号被保険者期間のみの人は最寄の市区町村役場です。なお、60歳になる人全員に年金請求書が届く訳ではありません。届かない人には、60歳になる3ヶ月前に、年金請求書の代わりに「ハガキ」が届きます。このハガキに重要な情報が入っているので必ず内容を確認しましょう。
60歳になる3ヶ月前に届くハガキ
(1)老齢年金のお知らせ
老齢基礎年金の受給資格はあるが厚生年金の加入期間が1年未満または、国民年金のみに加入した人に届きます。このハガキが届く人は、65歳になる3ヶ月前に黄緑色の封筒に同封された「年金請求書」で年金を請求します。
(2) 年金加入期間の確認について
自分の年金の加入期間のみでは年金をもらえない人に届きます。例えば国民年金のカラ期間(第18回:まさかの無年金のコラム参照)を含めないと年金をもらえない人などです。ハガキが届いたら年金事務所などで加入歴を確認しましょう。
(A) 受給資格がない人は国民年金に任意加入などの対策が必要です。
(B) 受給資格期間を満たし、厚生年金の加入が1年以上なら60歳から年金を請求できます。厚生年金の加入が1年未満なら65歳から年金を請求できます。年金の請求は年金事務所などにある青い「年金請求書」でします。
お金に興味を持ちましょう
高齢期は年金が大切な収入源です。せめて自宅に届く書類には目を通しましょう。もっと早く年金をもらっていたら、貴重な高齢期の生活がもっと豊かになっていたかも知れません。
ひょっとしたらもっと早くもらえた年金で、いろいろな楽しみにトライするチャンス、欲しいものを手に入れる喜びを自分で捨ててしまっていたかも知れませんね。
執筆:音川敏枝(ファイナンシャルプランナー)CFP®
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士、DCアドバイザー、社会福祉士。
仲間8名で女性の視点からのライフプランテキスト作成後、FPとして独立。金融機関や行政・企業等で、女性の視点からのライフプランセミナーや年金セミナー、お金に関する個人相談、成年後見制度の相談を実施。日経新聞にコラム「社会保障ミステリー」、読売新聞に「音川敏枝の家計塾」を連載。 主な著書に、『離婚でソンをしないための女のお金BOOK』(主婦と生活社)、『年金計算トレーニングBOOK』(ビジネス教育出版社)、『女性のみなさまお待たせしました できるゾ離婚 やるゾ年金分割』(日本法令)。
HP: http://cyottoiwasete.jp/